ザ・メレディス・ヴィエイラ・ショウ   The Meredith Vieira Show

放送局: シンジケーション (NYではNBC)

プレミア放送日: 9/8/2014 (Mon) 14:00-15:00

製作: NBCユニヴァーサル

製作総指揮: リッチ・サイロップ、メレディス・ヴィエイラ

バンド・リーダー: エヴェレット・ブラッドリー

ホスト: メレディス・ヴィエイラ


内容: メレディス・ヴィエイラがホストの日中のシンジケーションのトーク・ショウ。


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The Meredith Vieira Show


ザ・メレディス・ヴィエイラ・ショウ  ★★1/2

アメリカTV界に女性パーソナリティは星の数ほどいれど、メレディス・ヴィエイラほど人から好かれているパーソナリティはまずいない。例えば好感度というと、やはり真っ先に思い出すのはヴィエイラが後継者を務めたNBCの「トゥデイ (Today)」のケイティ・コーリックだが、そのコーリックですらCBSの「イヴニングニューズ (Evening News)」に移籍した時は、なにかと陰口を叩かれたものだ。


一方ヴィエイラの場合は、どうネットワークを移動しようと、まったくネガティヴな反応を耳にしない。彼女の場合、好感度云々ではなく、誰とでも友だちみたいなところがあるためだ。誰も自分の友人を、好感度という物差しで測ったりはしない。


ヴィエイラは病気の旦那さんの看病等もあって惜しまれながら「トゥデイ」を辞めた後、しばらくシンジケーションのゲーム・ショウ「フー・ウォンツ・トゥ・ビー・ア・ミリオネア (Who Wants To Be a Millionaire)」のみ仕事をしていた。それも退いた後、もうTVには復帰しないのかと思っていた。今回、そのヴィエイラを起用して製作されたシンジケーションのトーク・ショウが、「メレディス・ヴィエイラ・ショウ」だ。


そこで思うのは、やはりなんでまた今頃? ということだ。「トゥデイ」を辞めた時は、たぶんもう一線に復帰してくることはないだろうなという雰囲気がぷんぷんしていた。当然ヴィエイラも、視聴者がそう思っているだろうということは承知している。それで今回は、番組の冒頭、なぜ再びこういう番組を始めたかというモノローグから始まった。


端的に言ってしまうと、ヴィエイラ自身がスタジオの観客に向かって「アイ・ミス・ユー」と口にしていたように、彼女自身、人が、そしてこの仕事が好きだったということだろう。しかし前回大きな辞める理由の一つだったはずの旦那さんの看病はどうなったんだ、もしかして死んじゃったから看病の必要がなくなったとかいう話だったりするか。


と思ったら、ちゃんとその旦那さんもスタジオに来ていた。恰幅のいい昔の写真と比較してかなり肉が落ちており、杖も持っている。まだ多少呂律の回らない点が見受けられるが、一応かなり回復しているようだ。二男一女の紅一点の娘リリィもおり、結構美人。


そのリリィと旦那さん、息子たちがヴィデオでヴィエイラのプライヴェイトでの素顔をばらすと、案の定、家では興奮しやすく涙もろいらしい。ヴィエイラが息子たちは一人は中国、一人はワシントンで今日はここには来れないけれども‥‥と言うと、現れたのはその二人の息子たち。久しぶりの家族の再会で、やはりぼろぼろ泣いているところを見ると、これはプロデューサーが企画したサプライズだったようだ。


次はゲスト・パフォーマンスによるブロードウェイ・ナンバーで、「アラジン (Aladdin)」に主演しているジェイムズ・モンロー・イグレハート、「シカゴ (Chicago)」主演中のピーター・ギャラガー、「ママ・ミア (Mamma Mia!)」のキャスト、そしてトリは毎年のニューヨークの風物詩、「クリスマス・アット・ロックフェラー・センター (Christmas at Rockefeller Center)」でお馴染みのザ・ロケッツからのライン・ダンスだ。


その途中でスタジオの観客全員にHPラップトップ・コンピュータをプレゼントするとの発表もある。スタジオの観客へのプレゼントは、かつての「オプラ (Oprah)」や「ロージー (Rosie)」が定着させたもので、番組収録中に今日はこれこれ何々のプレゼントがありますと言うと、スタジオが沸いて盛り上がる。


栄えある最初の正式ゲストはジェニファー・ロペスで、子育てと、実は今、男探しに大変という話を一くさり。まあどれだけ美人でスタイルよくて金持っていようとも、男運女運というのは確かにあるかもしれない。


次は「トゥデイ」の仲間だったホーダ・コッブが現れ、ロペスの運転するオープン・カーのセットの助手席と後部座席でヴィエイラとコッブが交互にアカペラで歌を歌い、何を歌っているかをロペスが当てる。FOXの「アメリカン・アイドル (American Idol)」だとかNBCの「ザ・ヴォイス (The Voice)」だとかを見ていると、アメリカ人は全員歌がうまいみたいな錯覚を起こしかけるが、もちろんそんなことはない。音痴だって大勢いる。ヴィエイラとコッブもそうで、二人とも楽しそうに歌っているが、何歌っているかさっぱりわからない。歌詞を知らなければまず当てようがない。


次のコーナーではバレエを習っている身障者の子供たちが出てきて、サポートされながらバレエを披露する。最後はスタジオの観客から選ばれた黒人女性がステージで目隠しされ、手探りで行う名前当てゲーム。例えば箱の中から顔を突き出した男性がおり、女性はそれを触ってぎょっとする。その隣りには本が置いてあり、要するに意味するものはFacebookという具合だ。女性は無事2問正解し、ジューサーをもらっていた。


番組第2回にはセス・ローゲンが登場、これはセレブリティ・ゲストという意味合いではなく、アルツハイマーのアウェアネスを高めるため、妻と共に出演だ。なんでもローゲンの妻の母は若年性アルツハイマーを発症し、まだ50代だというのに自分が誰だかわからなくなってしまったらしい。


セレブ・ゲストとして登場したのは、現在NBCの「アメリカズ・ガット・タレント (America's Got Talent)」でジャッジを担当しているメルB。彼女はとにかく蜘蛛が大っ嫌いらしく、ちょっと蜘蛛のことを匂わせただけでスタジオ中を走って逃げ回っていた。


等々、最初の数回を見ての感想は、忙しないというものだが、ヴィエイラ自身が、番組は彼女がこれまでにTVでやってきたことを寄せ集めたものと言っていたから、最初はとにかくアイディアを詰められるだけ詰め込んで、後から徐々にマイナー・チェンジを施しながら軌道修整していくものと思われる。


こうやって久し振りにヴィエイラを見てみると、彼女も歳をとったものだと思う。かといってそれはTVで昔の芸能人を見て、この人、歳とったなあと感じるのとは種類の違う感懐で、何年か振りに昔の友人に会って彼彼女の顔や首に皺が寄るのを見て、ああ、オレも歳をとったんだなと思わせる類いのものだ。


こないだオフィスでTVを点けっぱなしにしながら仕事していると、来客があり、その時たまたま「メレディス・ヴィエイラ」が流れていた。客はかつてソープのディレクターをしていた元業界関係者で、ヴィエイラとも面識があったらしい。TVに映ったヴィエイラを見て、彼女も痩せたねえと言っていた。私はヴィエイラの体重が落ちたとはまったく思ってなかったのだが、古くからのヴィエイラを知っていると、痩せて見えるらしい。


いずれにしても、ヴィエイラはそういう、古くからの気のおけない知人に会ったような感情を人にもたらす。ヴィエイラ自身、よく人からあんたは私の友人や母親や姉、妹にそっくりと言われるそうで、それを何よりも誇りに思っていると言っていた。その等身大の親近感が、パーソナリティとしてのヴィエイラの最大の強みであることは言うまでもない。むろんだからといってそれがそのままTVの視聴率に結びつくかは誰も保証できないが、少なくとも番組が気になるのは事実だ。










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