放送局: FOX

プレミア放送日: 2/21/2002 (Thu) 20:00-22:00

製作: ナッシュ・エンタテインメント、ドン・ウィーナー・プロダクションズ

製作総指揮: ブルース・ナッシュ、ドン・ウィーナー

共同製作総指揮: リチャード・シェイ

製作: トム・ボールズ、アンドリュウ・ジェブ

監督: ドン・ウィーナー

アナウンサー: マーク・トンプソン

解説: ジョージ・シェイ


内容: 大食いコンテスト中継。


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大食い競争、早食い競争というのは、結構いつの時代でもすたれないであったりする。アメリカ、特にニューヨークで有名なのは、毎年独立記念日にコニー・アイランドで開かれるネイサンズ主催のホット・ドッグの早食い競争で、この競争、いかにもアメリカ然としたでぶの大食漢を尻目に、毎年毎年優勝するのが日本人だったりする。独立記念日の翌日にアメリカ人に会うと、必ず、昨日のホット・ドッグ競争見たか、また日本人が勝ったぞ、しかもすごい痩せている奴だった、と、毎年いかにも信じられないものを見たという感じでまくしたてられる。毎年必ずそうなので、最近では私も慣れたが、しかし、私と似たような体格をした人間が、少なくとも私が食べることのできる10倍以上のホット・ドッグを平らげるのを見ると、確かに不思議ではある。なぜ、彼らはあんなに食べきれるんだ?


ホット・ドッグだけでなく、大食い競争というのは色々な種目があり、私は知らなかったのだが、地方に行くと、その地方の特色を出した様々な大食い/早食い競争が至る所で行われているそうだ。コーンの産地に行くとコーンの大食い競争があり、地ビールで知られているところではビールの早飲み競争があるといった具合。今回、そういう多々ある大食い競争をまとめて、大食いチャンピオンを決めようというのが、この、「グラットン・ボウル」である。


実は私は、この手の競争はあまり好きではない。元々そんなに食べる方ではないということもあり、別に腹が減ってるわけでもないのに食い物を腹に詰め込むというのが、到底生理的に受け付けない。自分でその手のことはまったくできないだけでなく、そういうのを見るのも、こちらの胃がぐるぐるして吐き気がしてくる。第一、そんなの食べ物に対しても、その食べ物を用意してくれた人間に対しても失礼だと思う。その上、そういうコンテストを行うために用意された様々な食材は、当然多くが食べきれずに残されるわけだが、多分、それはごみ箱行きなんだろう。今、世界中のどこかで飢餓に苦しんでいる人々がまだ大勢いるというのに、そういう壮大な無駄をして平気でいられる神経というのが、私には想像の埒外だ。あの残った食材、どうにかならんのか。


この種の番組を放送するのがFOXというのも、さもありなんと思わせる。本当にFOXが製作するこの手のリアリティ・ショウ系の番組は、愚劣なやつが多い。ま、それを見てしまうやつもあんまり誉められたもんじゃないが、どんどん下を極めていくFOXの行く末を見届けてみたいという気持ちは、結構強い。しかし、こんな番組を編成するFOXが業界内部からも結構嫌われているのも事実で、FOX=恥知らずと考えている業界関係者は実に多い。昨年、FOXの親会社であるニューズ・コーポレイションのルパート・マードックが金にものを言わせてアメリカ業界1位の衛星放送ディレクTVを買収しようとした時も、なんでここまで抵抗すると思えるくらいディレクTVが頑強に抵抗していた。結局、ディレクTVはニューズに身売りするくらいならライヴァル会社のエコスターに身売りした方がまだましと、普段は反目しあっていたエコスターへの売却を決めたのだが、FOX=ニューズ=マードックは本当に嫌われているんだなあと思わせた。そのFOXがまた新たに編成する低俗リアリティ・ショウの「グラットン・ボウル」は、FOXがまた新たな低みを極めたと散々言われる結果となった。ま、それはしょうがないでしょう。


さて、その「グラットン・ボウル」、勝負はまず、5人ずつが挑戦しての7つの異なる食材の大食い競争が行われ、続いてそれらに優勝できなかった者を集めての敗者復活戦が行われる。最終的にこれらを勝ち抜いた計8人での決勝となる。番組の最初の勝負はゆで卵競争で、もちろんゆで卵を決められた時間内に最も多く食べた者の優勝となるのだが、しかし、ゆで卵なんて、そうそう量を食べきれるもんじゃないだろう。頭上から吊り下げられた大きなバケツが傾くと、そのゆで卵が大量ぶしに落ちてくる。その数、優に1,000個は下るまいと思われる。既に食べきれなかった残りのゆで卵のことを思うと、憂鬱になる。これって、どう見ても900個くらいは余るんだろう。それって、やっぱりごみ箱行きか。結局この勝負に優勝したでぶの黒人男性は、6分間で38個という信じられない数のゆで卵を食べた。全員20個以上は食っており、それらを見ただけで既に私の胃は氾濫気味。


2番目の勝負はバター競争。もちろん最も多くのバター・バーを食った者の勝ちだ。今回は参加者の中に女性も混じっている。信じられないが、この勝負の優勝者は7本のバター・バーを食べた。なぜ、バターだけをこんなに食いきれる。しかも今、1個10セントという印象の卵と違い、バターはそんなに安くないぞ。だいたい4バー入り1パウンドのバター一箱で4ドルくらいする。スタジオの中でただ溶けていくだけの何百本ものバターがもったいない。そして3番目の勝負は、なんと牛タン。1個約3パウンド (1.4kg) の牛タンを水だけで胃の中に流し込むってか。しかし優勝者はそれを食いきり、2個目に突入していた。


そして4番目の勝負を見てびっくり。なんと日本人が出場している。彼は去年、あのホット・ドッグ競争で優勝したやつじゃないか? その紹介を見ると、身長5フィート8インチ、体重130パウンドと、ほとんど私と一緒である。しかしあんな可愛い顔して、食べる量は私の10倍は下らないだろう。それでなんで私と同じ体重なんだ? 世界7不思議のうちの一つだ。そして彼らが挑戦するのが、何あろうホット・ドッグである。解説のシェイは、その日本人、タケル・コバヤシを多分世界一の大食漢と紹介していた。


そのホット・ドッグを多く食うのにはテクニックがあるそうで、隣りでホット・ドッグにかぶりつく他の参加者を尻目にコバヤシがとった方法は、バンズとウィンナを別々にし、バンズはバンズだけを水に浸して食い、ウィンナはウィンナだけまた別に食うというものだった。その方が量が食えるらしい。それでも、見てると、あんた、ほとんど噛んでないよ。あぐあぐと、食うというよりは咽喉の奥の方に押し込められていくホット・ドッグ。そしてコバヤシは易々と他の参加者との間に差を開いていく。すげえ。結局この日コバヤシは31個のホット・ドッグを食い、15個で2位の参加者に大差をつけて勝った。なんでもホット・ドッグ1個で約300カロリーあるそうで、彼は一瞬にして9,000カロリー以上の熱量を補給したことになる。これだけ食えばあと3日は何も食わないでも水だけあれば生きていられるだろう。


5番目の勝負はマヨネーズ競争。これもまた強烈だが、優勝者はボウルで4杯分のマヨネーズを食った。6番目はハンバーガー勝負で、この優勝者は11個のハンバーガーを食べた。7番目はなんと寿司勝負で、これはエビ、キュウリ、アボカド等を巻いた巻き物を食べる。一個の巻き物の長さは15フィート (4.5m) もある。これの優勝者は3フィート8インチ (1m強) 分の寿司を食った。8番目の勝負はワイルド・カード (敗者復活戦) で、これに選ばれた食材は、「ロッキー・マウンテン・オイスター」と呼ばれる去勢牛の睾丸を焙ったもので、3パウンドのこの「オイスター」を最初に食べきった者が決勝へと進んだ。


決勝は上記の勝負を勝ち抜いた8人によって争われた。しかしこれって、予選も決勝も同じ日にやってるみたいだ。ということは、まだ完全に食ったものの消化が行われていない状態で決勝に挑むことになる。既にさっき腹一杯になったはずなのに、まだ詰め込むか。本当に胃が破裂するぞ。聞けば動物は満腹すれば自動的にそれ以上は食わなくなるそうで、食ったものが消化されていないのにまだ次のを詰め込めるのは、肉食動物の脅威から身を守るため、二つの胃で食物を反芻する草食動物だけだそうだ。実際、肉食動物が腹一杯以上にものを食っても、ただでぶへの道をまっしぐらになるだけで、生きていくには不利になるだけだろう。それなのに満腹なのにまだ食えるという本能の壊れた様を見せつけられるのは、結構恐怖である。


さて、その決勝の食材は、雌牛の脳みそ。これは一応火を通してある。しかし、それでもやはり量を食える代物ではないだろう。解説はコバヤシを優勝候補に挙げていたが、ほぼ全員既に腹一杯の状態では、誰が勝つか事前の予想なんてまったく当てにはできない。最初の方で予選を終えて、幾ばくかでも消化が進んでいる奴が有利か。既に予選と敗者復活戦を含め、二度も腹一杯になってしまった奴にチャンスがあるとは到底思えない。案の定、決勝ではそいつは途中リタイアした。しかし勝負の進行は解説の言う通り、コバヤシが圧倒的ハイ・ペースで他を寄せつけない。他の挑戦者が10個、20個の脳みそを食うのに手間取っている中、53個という人間業じゃない数の脳みそを食ったコバヤシが、初代「グラットン・ボウル」世界チャンピオンの座に着いたのであった。ああ、もう吐きそう。








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The Glutton Bowl: The World's Greatest Eating Competition

ザ・グラットン・ボウル   ★1/2

 
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