ザ・コルベア・レポート   The Colbert Report

放送局: コメディ・セントラル

プレミア放送日: 10/17/2005 (Mon) 23:30-0:00

最終回放送日: 12/18/2014 (Thu) 23:30-0:00

製作: スパルティナ・プロダクションズ、バスボーイ・プロダクションズ

製作総指揮:  スティーヴン・コルベア、ジョン・スチュワート

ホスト:  スティーヴン・コルベア


内容: 9シーズン続いた深夜トーク・ショウの最終回。


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The Colbert Report


ザ・コルベア・レポート  ★★1/2

今春、デイヴィッド・レターマンがCBSの「レイト・ショウ (Late Show)」の電撃引退発表し、それに間髪を入れず、スティーヴン・コルベアの次期ホスト就任が発表された。もちろん、ということは現在コルベアがホストを担当しているコメディ・セントラルの深夜トーク・ショウ「ザ・コルベア・レポート」が最終回を迎えることでもある。


「コルベア・レポート」は、2005年から始まっている番組で、かのジョン・スチュワートがホストの「ザ・デイリー・ショウ (The Daily Show)」直後の11時半に編成されており、コメディ・セントラルではヴェテランの部類に入る。元々「デイリー・ショウ」でレポーターを演じていたコルベアが一人立ちして始まったのが、「コルベア・レポート」だ。


「コルベア・レポート」の最大の特色は、ホストのスティーヴン・コルベアが、本人ではなく、がちがちの右寄りの政治的に偏った人間スティーヴン・コルベアというキャラクターを演じていることにある。その偏った視点から、社会の様々な事件についてコメントする。要するに「デイリー・ショウ」でそういうキャラクターだったのをそのまま生かして始まったのが、「コルベア・レポート」なのだ。


とはいっても告白すると、私はまともに「コルベア・レポート」を見たことはこれまでにほとんどない。なんといっても番組の始まる午後11時半という時間帯は、裏番組に「レイト・ショウ」、NBCの「トゥナイト (Tonight)」があり、さらに昨年からは「ジミー・キメル・ライヴ (Jimmy Kimmel Live)」も始まった。これではコルベア本人か「デイリー・ショウ」のファンでもない限り、番組を見る余裕がない。エミー賞常連の「デイリー・ショウ」ですら、これまでに見たことは数えるくらいしかない。正直言って「コルベア・レポート」に割く時間はなかったというのが実情だ。


ところで私は最近までずっと、番組名を「コルベア・レポート」ではなく「コルベール・レポート」だと思い込んでいた。これは9年前に「コルベア・レポート」が始まった時、コルベアがレターマンの「レイト・ショウ」にゲスト出演して、そこでレターマンがコルベアに向かって、で、あんたの名前はなんて発音するんだ、と訊いた時のことが影響している。


コルベアの綴りはColbertだ。英語読みだとコルバートだが、フランス語読みだとコルベア、あるいはコルベールと聞こえる場合もあるかもしれない。当時コルベアはまだ一部の好事家にしか名前が知られていなかったから、本人も、人によって好きなように呼んでいる、コルバートもいればコルベールもいればコルベアもある、みたいなことを言っていた。要するに自分だとわかればそれでいい、みたいな感じでしゃべっていたので、それで私もふーん、じゃあコルベールでいいんだなと思い込んで、それでそのまま9年が過ぎてしまった。


そしたら、気がつくといつの間にやら、たぶんオリジナルの発音に最も近いコルベアで世に定着していた。実際、番組を最初から見ると、アナウンサーはどう聞いても「コルベア・レポート」と発音しており、本人自身もコルベアと発音している。なんだ、やっぱり「コルベア・レポート」だったのか、と思ったのだった。だったら最初からそう言えよ。


往々にして傲岸な印象を人に与えるアメリカ人の最大のウィーク・ポイントは、国の歴史の浅いことから来るコンプレックスだ。ほとんどのアメリカ人は遡れば母国であるヨーロッパ諸国に憧憬を抱いており、俳優なら英国人俳優が一番だし、アートとフードならフランスだ、と思い込んでいるアメリカ人は多い。英国訛りの英語 (という言い方もヘンだが) はお洒落だし、子音を発音しないフランス風の発音は格好いい、と思っているのだ。


ボーイズ・バンドの98ディグリーズ出身でジェシカ・シンプソンの元旦那であるニック・ラシェイ (Lachey) は、同様に昔はレイチーとも呼ばれていた。というか、そちらで呼ばれることの方が多かったようだ。当時の知人がある時ラシェイに再会してレイチーと呼んだら、本人に違う、ラシェイだと訂正されたそうで、その知人は、昔はみんなレイチーと呼んでたのに、と不服そうだったのをなんかの記事で読んだことがある。ま、売れてなんぼの商売だし、名前でも少しでも箔をつけたいと考えるのは、わからんではない。


さて、その「コルベア・レポート」、最終回を迎える週のゲストは下記の通り。


12/15 (月): セス・ローゲン

12/16 (火): ケンドリック・ラマー

12/17 (水): フィル・クレイ

12/18 (木): 死神 Grimmy


ローゲン、ラマーはともかく、フィル・クレイというのは誰だか知らなかった。作家だそうだ。最終回は死神とチェスをしているコルベアが、いかさまがばれそうになって死神と揉め、撃ち殺してしまったコルベアが、これで私が代わって不死の無敵の存在になったというオチになっている。


そして締めの「ウィル・ミート・アゲイン (We'll Meet Again )」を歌い始めると、ピアノの伴奏をしているのは、永遠の不良中年ランディ・ニューマン、そこに登場したのはスチュアートと、なんかいかにもコルベアの最終回らしい人選。と思ったのも束の間、後から後からセレブリティ・ゲストが登場して一緒に歌う。


カメラが切り替わると、そこにいるのはウィリー・ネルソンとブライアン・クランストン、それにどこぞの政府団体のお偉方。さらにトム・ブロコウにマンディ・パティンキンに、なんでヨー・ヨー・マまでここにいるんだ? この後も出るわ出るわ、シンディ・ローパー、サム・ウォーターソン、ジェフ・ダニエルズ、ケイティ・コーリック、ケン・バーンズ、チャーリー・ローズ、マイケル・スタイプ、ジェイムズ・フランコ、カリーム・アブドゥル-ジャパー、バリー・マニロウ、NY市長のビル・デブラジオもいる。そういや「コルベア・レポート」はマンハッタンのはずれのステュディオで収録されているのだった。


その後もクリチャン・アマンポア、パトリック・スチュワート、アラン・アルダ、ジョージ・ルーカス、イーライジャ・ウッド、ヘンリー・キッシンジャー、ボブ・コスタス、ビル・クリントン、果ては宇宙ステーションからも中継、J. J. エイブラムスと続いて最後はたぶん関係者全員がステュディオで大合唱だ。


とにかく錚々たる顔ぶれで、半年前にジミー・ファロンが「トゥナイト」を始めた時、そのプレミア・エピソードでセレブリティが続々と登場して、おお、さすが「トゥナイト」と思ったものだが、今回もそれに負けず劣らずの大盤振る舞い。というか、数では完全にこちらの方が圧倒している。「コルベア・レポート」って、こんなにメイジャーな番組だったっけ?


そして本当に最後の最後、番組を終えてビルの屋上でこれから何をすればいいか迷うコルベアを迎えに来たのは、サンタ・クロースとエイブラハム・リンカーン、そしてアメリカTV界最年長ゲーム・ショウ「ジェパディ (Jeopardy)」ホストのアレックス・トレベックだ。そして4人はトナカイの引く橇に乗って旅立って行く‥‥というので幕。なかなか豪華な最終回だった。


現在「コルベア・レポート」が去った後の午後11時半枠には、新トーク・ショウの「ザ・ナイトリー・ショウ・ウィズ・ラリー・ウィルモア(The Nightly Show with Larry Wilmore)」が始まっている。コメディ・セントラルは現在、深夜零時からもゲーム/トーク・ハイブリッドの「アット・ミッドナイト・ウィズ・クリス・ハードウィック(@midnight With Chris Hardwick)」を編成、ネットワークの深夜トークに飽き足らなくなった視聴者にアピールしている。TBSでは11時に「コナン(Conan)」もあるし、熾烈な深夜トークの争いはまだまだ続く。












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