The Brian Boitano Project   ザ・ブライアン・ボイタノ・プロジェクト

放送局: HGTV

プレミア放送日: 1/16/2014 (Thu) 23-23:30

製作: コンセントリク・エンタテインメント

製作総指揮: クレイグ・アンダーソン

ホスト: ブライアン・ボイタノ


内容: ブライアン・ボイタノが祖先の出身地であるイタリアの故郷に里帰りして、そこで一族が住んでいた陋屋を譲り受け、リノヴェイションを施す。


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The Brian Boitano Project


ザ・ブライアン・ボイタノ・プロジェクト  ★★1/2

もう冬季オリンピックが終わってだいぶ経つよと言われるのは重々承知だが、ブライアン・ボイタノだ。といっても、現在30代以下の者には、ボイタノといってもピンと来ないかもしれない。


という前置きを、以前、ボイタノがホストを務めたフード・ネットワークのクッキング・リアリティ、「ホワット・ウッド・ブライアン・ボイタノ・メイク? (What Would Brian Boitano Make?)」について書いた時にも書いた。どうにも今では知る人ぞ知るという感じになっているので、ボイタノって誰という話から始めないと話にならない。


ボイタノの詳しい経歴はやはり「ホワット・ウッド・ブライアン・ボイタノ・メイク?」の項を読んでもらうとして、今ではたまさかのスペシャル番組がある時くらいしかスケーターとしては人前に出ないので、どんどん人の目に触れる機会は減っている。だからこそそのたまに目にする時に、クッキング・ショウのホストなんかしているとびっくりする。現役時代にライヴァルとしてカルガリで対決したブライアン・オーサーが、今では一流のコーチとして引っ張りだこで、羽生結弦という日本人スケーターとして初のゴールド・メダリストを育てて、自身も脚光を浴びたのとは対照的だ。


「ホワット・ウッド‥‥」以外で最近ボイタノの名を聞いたのは、今回のソチ五輪に際してやっとゲイだとカミング・アウトした時くらいで、それだって既にオーサーはだいぶ前にカミング・アウト済みで、ここでも遅きに失している。別にもうスケートしないつもりなら、今さらカミング・アウトもないだろうにという印象しか持てなかった。


そしたら今回は家屋のリノヴェイション・リアリティのホストだ。多趣味というか節操がないというか、クッキングだけじゃなくてインテリア・デザインにも手を出していたのか。


私たち夫婦は、時間もないので日本のTV番組はこちらでやっているフジ系の朝のニューズ以外はまず見ないが、DVDを買ってきても見ている日本の番組が、特別編成の東京放送の「SASUKE」を別にすると、一つだけある。朝日放送の「大改造!! 劇的ビフォーアフター」で、これだけはかなりよく見ている。日系スーパーマーケットのミツワに行くと、隣接しているDVD屋さんで、ほぼいつもこれだけは買って帰る。リアリティ・ショウは家ものが最も面白いというのが、我々夫婦の一致した意見だ。当然今回のボイタノ・リアリティにも食指が動いたのは言うまでもない。


今回ボイタノは親の出身地であるイタリア北部ジェノヴァ地方の小さな町ファヴァーレ・ディ・マルヴァロを訪れる。そこにはボイタノの親戚一族郎党が当然今でも住んでいる。ボイタノって特に多い名前ではないと思うが、それでもここにもあそこにもボイタノさんがいる。ただし本人は100%アメリカ人のボイタノは、イタリア語は片言しか話せない。話が込み入ってくると通訳を必要としている。


ボイタノはその親族の一人に案内されて、かつてボイタノの親が暮らしていたという、今では誰も住んでいない古い二階建ての家を見せられる。人が住んでないから朽ち果てるに任せているとはいえ、土台はしっかりしており、ちゃんと補修工事を施してリノヴェイションすれば今でも人は住める。


この家は今は誰の持ち物なのかというボイタノの質問に対し、あんたもその一人だという答えが帰ってくる。ボイタノにも相続権があるのだった。とはいえ彼一人のものというわけではなく、同様に相続権を持つ親戚は何人もいる。ボイタノはその19人全員の承認をとりつけ、25,000ユーロという破格の親戚価格でその建物を購入する。


マリアとアルマという、なんだかグリム童話かなんかに出てくる双子の魔女みたいなおばさん二人に案内されて中をチェックすると、今だに使える家具が結構残っている。使える家具どころか、骨董の価値がついてかなり値打ちものになっているのではと思える。思わずにんまりするボイタノ。しかしいったんアメリカに帰って色々な準備をしたボイタノが再度その家を訪れると、それらの貴重な家具がすべて跡形もなく消え去っていた。しかも裏庭には何かを燃やした跡がある。これは金になると見たマリアとアルマが、使える家具だけは運び出して売り払い、邪魔な残りは裏庭で焼き払ったのだ。がっくりと意気消沈するボイタノ。


話は変わるが、以前私が個人売買でジープを買おうとした時、その相手から、正当なクルマの持ち主であることを証明するタイトルという証書が今は手元にないと言われたことがある。それはヘンだとちょっと疑惑が湧いたので、私の職場の白人アメリカ人の同僚に、クルマを売ろうとするやつがタイトルを持ってないということがあるかと訊くと、従兄の弁護士というのに訊いてくれた。それによると、あり得ない話ではないがそいつはイタリア人かと言われたそうだ。なんでもアメリカで小さな詐欺紛いの手口で人を騙そうとする輩の、多くがイタリア系なのだそうだ。だからその相手がイタリア人なら注意した方がいいというアドヴァイスだった。人種的偏見はよくないだろうが、事実は事実なのだった。今回ボイタノが遭った境遇を見て、そのことを思い出した。同郷の者どころか、血が繋がっている者すらカモにするか。私の場合、相手はイタリア系というよりは東欧系で、その後タイトルも見せられ、4,000ドルというリーズナブルな値段だったのでまあいいかとそのジープを買ったのだが、結局すぐあちこちにガタがきて2、3年で買い替えを余儀なくされた。うまい話にゃ裏がある。


さてボイタノの場合は捨てる神あれば拾う神ありで、がっくり来ていたボイタノのところに別の親戚がやって来て、保管してあった別のテーブルやらの家具をもらえることになった。建築関係の業者も手配し、従兄弟はとこの力を借りまくり、気をとり直してリノヴェイションに着手する。


ボイタノは建築家としては素人だろうが、インテリア・デザイナーとしての趣味は悪くない。一応こういう番組を作ろうと考えるだけのものはある。段々リノヴェイションが形をとり始めると、へえ、なかなかいいじゃない、ちょっとこんな家、お呼ばれしてみたいかもと思わせる。


姪っ子のなかなか可愛いおねえちゃんたちもそういう勉強をしている者たちのようで、アイディアを出して自分たちでペイント塗ったり家具を作り直したり改造したりしている。彼女らもボイタノも工具を使う手つきはちと頼りないが、それは「ホワット・ウッド‥‥」でボイタノが包丁を使う時も同様だった。プロじゃないが、ゆっくりやればなんとかなる。ボイタノがモノづくりにいくらかの才能があるのは確かなようだ。










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