放送局: FOX

プレミア放送日: 11/14/2001 (Wed) 20:30-21:00

製作: リージェンシー・テレヴィジョン、ウィルモア・フィルムス、20世紀FOXテレヴィジョン

製作総指揮: ラリー・ウィルモア

製作: バーニー・マック、テリ・シャファー、ケリタ・スミス、ケン・クヮピス、マイケル・ペトック

共同製作: ロビン・チャンバーリン

監督: ケン・クヮピス

脚本: ラリー・ウィルモア、 テリ・シャファー

撮影: ヴィクター・ネリ

編集: ポール・アンダーソン、クリスティーナ・トリロゴフ

音楽: スタンリー・スミス

美術: ジェファーソン・セイジ

出演: バーニー・マック (バーニー)、ケリタ・スミス (ワンダ)、カミール・ウィンブッシュ (ヴァネッサ)、ジェレミー・スアレズ (ジョーダン)、ディー・ディー・デイヴィス (ブリアナ)


物語: バーニーは成功したコメディアン、妻のワンダも会社で昇進したばかりで、子供のない二人はそれなりにゆとりのある文句のない生活を送っていた。しかし、ゆえあってバーニーの妹の3人の子供、13歳の長女のヴァネッサ、8歳の長男ジョーダン、5歳の次女ブリアナを預かることになり、バーニー家はいきなり平和な楽園から、叫び声の絶えない、落ち着く暇のない戦場と化すのだった‥‥


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スパイク・リーがその姿をとらえたドキュメンタリー、「キング・オブ・コメディ」を発表する前から、黒人4人から成るコメディ・グループのツアー、「キングス・オブ・コメディ」はつとに知られた存在だった。現在の黒人スタンダップ・コメディアンとしては、人気の点ではキングス・オブ・コメディの4人とクリス・ロックが双璧だと言える。


その4人、スティーヴ・ハーヴィ、D. L. ヒューリー、バーニー・マック、セドリック・ジ・エンタテイナーのうち、ハーヴィとヒューリーは既にアメリカのネットワークで自分のシットコムを持っている。WBの「ザ・スティーヴ・ハーヴィ・ショウ」は既に始まって長いし、ヒューリーが主演の「ザ・ヒューリーズ」は最初ABCで放送が始まり、現在では黒人が主人公のシットコムが多いUPNに移動して、わりと人気を得ている。そして今、バーニー・マックが主人公の「バーニー・マック・ショウ」がFOXで始まった。


実はマックは、この4人のうち私には最も馴染みが薄かった。「スティーヴ・ハーヴィ・ショウ」と「ヒューリーズ」のように自分の番組があれば、とにかく何かと見る機会があり、「スティーヴ・ハーヴィ・ショウ」に準レギュラーとして出演しているセドリックも然りである。それに較べればマックの露出度は、この4人の中で最も低かった。それが今年も押し詰まってきて、「バーニー・マック・ショウ」がFOXで始まったと思ったら、やはりFOXで放送された「ビルボード・ミュージック・アウォーズ」では出ずっぱりでホストを務め、そしてスティーヴン・ソダーバーグの「オーシャンズ11」では、ジョージ・クルーニー演じる主人公オーシャンと11人の仲間の一人としてマックが登場と、キングス・オブ・コメディの中で最も知名度が低いどころか、一気に世界レヴェルのコメディアンとして知られるようになった。


キングス・オブ・コメディに限らず、クリス・ロックも含めた黒人スタンダップ・コメディアンのギャグは、人種差別ギャグが多い。原則平等とはいえ、いまだに細かい点で差別の残るアメリカを笑い飛ばすというのが、彼らのギャグの基本だ。しかし、プライムタイムに放送され、子供も含む不特定多数の視聴者が対象のTV番組では、どうしてもその毒は薄まらざるを得ない。さもなければ放送は不可能だろう。不定期にHBOの深夜枠で放送され、ほとんど水増しのないクリス・ロックの一人舞台の方が、キングス・オブ・コメディが出演している番組より面白く、笑えるのは当然だと言える。


ネットワークのプライムタイムで、特に人種差別をネタにした毒のある笑いを放送することなど、ほとんど不可能に近い。だから黒人が主人公でも番組はどうしても当たり障りのない普通のシットコムにならざるを得ず、結局白人が主人公のシットコムを見ているのとほとんど変わらない。つまりネットワークのプライムタイムに放送されている黒人が主人公のシットコムは、主人公が黒人ということ以外、他のシットコムとほとんど違いはない。もちろん、どうしてもノリが白人とは違う黒人がメイン・キャラクターとなると、そこはかとないテイストの違いというものはどうしても出てくるが、それが独自の魅力を発揮することもなく、結果として黒人が主人公のシットコムは、ただ黒人が主人公というだけのことで、よほど面白くない限り、主として視聴者も黒人が主体であり、全米的なヒットとはなりにくい。UPNで月曜夜に放送されている黒人が主人公のシットコム群を見ているのは、そのほとんどが黒人だという統計がちゃんと出ている。


これまでに黒人ファミリーを描いたシットコムとして最もヒットしたのが、ビル・コスビーが主演した「コスビー・ショウ」であるというのは疑問の余地がないだろう。「コスビー・ショウ」は白人にも人気が高かったが、そのギャグは完全に普通の家族を題材とした、人種差別とは無縁のシットコムであり、黒人にも白人にも人気があったのは、ただ、単純にシットコムとしてよくできていたからに他ならない。今、その跡を継ごうとしているのが、デイモン・ウェイアンズが主演の「マイ・ワイフ・アンド・キッズ」である。「マイ・ワイフ・アンド・キッズ」は、「コスビー・ショウ」の衣鉢を継ぎながらも独自のテイストを模索している最中であるが、今シーズンはその真価が問われることになるだろう。


「バーニー・マック・ショウ」も、その中味は黒人が主人公であろうが白人が主人公であろうが変わらないタイプのシットコムである。まあ、得意の人種差別ギャグを入れなければ、どうしてもそういう風になってしまうのはしょうがない。ただし、シットコムといえども最近の流行りであるラフ・トラックの入らない、シングル・カメラ撮影のスタジオ収録でないシットコムで、私はこの手のシットコムを今、推しているので、うざったい観客の笑い声が入らない作りであるというだけで、もうそれだけで擁護する。


それ以外の特徴が、これは最近のFOXのシットコムに目立つ特徴なのだが、だらしない父親が主要なキャラクターとなっていることが挙げられる。FOXシットコムは、今人気の「マルコム・イン・ザ・ミドル」を筆頭に、「タイタス」や「グラウンデッド・フォー・ライフ」、「アンデクレアード」、ついでに言うとアニメーションの「ザ・シンプソンズ」まで、主人公家族の父親が皆、おしなべてだらしなく、頼りにならない上に信用できないキャラクターとして性格づけがされている。これらのFOXシットコム以前は、ドラマ、シットコムを問わず、父親というものは家族の要として親しまれ、信頼されるキャラクターであることが多かった。それを信用できないキャラクターとして描くことが、現在のFOXシットコムの一大特徴であり、時代の流れをとらえていると共に、若者を中心に受ける理由となっている。


当然マックもその流れを汲むキャラクターとして設定されている。新しく家族の一員として仲間入りをした3人の子供を相手に、俺が家族の長だ、あれをしてはいけない、これをしてはいけない、これを触る時は俺に訊け、などと盛大に尊大っぽく振る舞うのだが、すぐにぼろが出て、だらしなく、優柔不断の地をさらけ出すことになるのだ。ネットワーク放送の番組であることを考えると、子供に対して脅したり、放送禁止用語すれすれの罵倒語を飛ばす父親というキャラクター設定は、容認できるぎりぎりのところだったと言えるだろう。実際、FOXは放送前に大分世論の反応を心配していたようだ。しかし、こういうのは結構案ずるより産むが易しで、マックのキャラクターはすんなりと視聴者に受け入れられた。既に「バーニー・マック・ショウ」はヒット番組として確立する気配を見せている。


番組製作総指揮のラリー・ウィルモアは、エディ・マーフィが吹き替えを担当していたクレイメイションのシットコム、「ピージェイス (P.J.s)」を製作している。キングス・オブ・コメディからは、バーニー・マックに続き、ついにセドリックも自分の番組を持つことになりそうだ。実はセドリックは、本当はWBのシーズン途中の差し替え番組として、自分の番組「セドリック・ザ・コーチ (Cedric the Coach)」に主演することが決まっていたのだが、番組をプロデュースしていた製作会社のATGが倒産したため、話はお流れになっていた。しかし捨てる神あれば拾う神ありで、「バーニー・マック・ショウ」の好調さに気をよくしたFOXが、最後に残った一人のセドリックに話を持ちかけたものである。来年、もしかしたら、キングス・オブ・コメディの4人全員が主演するシットコムが勢揃いすることになるかも知れない。







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The Bernie Mac Show

ザ・バーニー・マック・ショウ   ★★1/2

 
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