放送局: UPN
プレミア放送日: 3/21/2000 (Tue) 21:00-22:00
製作: レヴィンソン/フォンタナ・カンパニー Levinson/Fontana Company
製作総指揮: バリー・レヴィンソン、トム・フォンタナ
製作: アーニャ・エプスタイン
監督: バリー・レヴィンソン (第1話)
脚本: トム・フォンタナ
撮影: アレックス・ザカレウスキ
編集: ケン・エルート
出演: デレク・セシル (マイク・ドリガン)、マーク・ラファロ (ゼーン・マリネリ)、ヘザー・バーンズ (ベアトリス・フェルセン)、ポピー・モンゴメリ (エリザベス・ワクラウェク)
物語: ニューヨーク市警で働いて3年目になる制服警官のマイクとゼーンは、職場でも私生活でも多くの悩みを抱えていた。マイクは看護婦のエリザベスとの結婚を間近に控えていたが、家に帰るとほとんどアルコールを手から離さないため彼女と言いあいになり、つい結婚の延期を口にして彼女を怒らせてしまう。ゼーンのガール・フレンドのベアトリスは精神不安定で多くの薬を常用しており、時として突拍子もない行動に出てゼーンを唖然とさせる。愛想を尽かしたゼーンはマイクのアパートに転がり込み、ゼーンが電話に出ないのに腹を立てたベアトリスは怒ってゼーンのアパートに火を放つ。一方職場でも後から後から事件が起こり、ゼーンとマイクは現場と署に帰っての書類の山と私生活での雑事に忙殺されながらも、何とか一日一日を乗り切っていくのだった‥‥
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NBCの「ホミサイド」、HBOの「Oz」等の硬派ドラマ製作で知られているバリー・レヴィンソンとトム・フォンタナのチームによる新しいコップ(警官) ドラマ。「ホミサイド」、「Oz」のヒットにより、フォンタナ/レヴィンソンというブランド名は完全にアメリカTV界に定着している。さらにレヴィンソンは最近でも「ワグ・ザ・ドッグ」や「スフィア」等ヒット映画演出もしている。
そのブランド・チームが新進ネットワークのUPNで新番組を手掛けると聞いて、おや、と思ってしまった。なんせUPNと聞いて人が思いだすのはプロレス中継くらいで、ネットワークといえどもこのチャンネルでヒットしている番組はほとんどない。せいぜい「スタートレック:ヴォイジャー」と、黒人シンガーのブランディが主演のシットコム「モエシャ」くらいである。チャンネルが有り過ぎるために自分の好きなチャンネル以外はあまり見ないという視聴者が多くいるアメリカにおいて、絶対視聴者数の少ないチャンネルで新番組を製作するのは実に危険なことなのである。どんなに質の高い番組を製作しても視聴者を獲得できない可能性が高いだけでなく、悪くすると自分の名前に傷がついて将来のキャリアに大きく影響しかねない。
その危険性を持った「ザ・ビート」であるが、見て納得した。視覚的実験が豊富で、これはABC、CBS、NBCの3大ネットワークでは企画が通らなかっただろうというのが実感である。若い視聴者層に強いFOXでもこの企画に首を縦に振ったかは疑わしい。とにかくレヴィンソン/フォンタナのブランド名が欲しかったUPNだからこそこの企画を通したのだろう。まず番組の冒頭、バーで飲んでいる主人公のゼーンとマイクの元に、パジャマ姿のゼーンのガール・フレンド、ベアトリスが姿を現すというオープニングからして普通じゃないが、この番組の意外性はこれからが本番である。なんと番組は途中でなんの前触れもなくほとんどモノクロに近い色調に移行し、そしてなんの前触れもなくまたカラー画面に戻る。
最初、これは彼らのプライベートのシーンをカラーで撮り、勤務中のシーンをモノクロで撮ることで違いを出したかったのかなと思ったが、それほどこの移り変わりの違いは明確ではない。勤務中でもカラーになったり、プライベートでもモノクロになったりする。この変換の説明はまったくない。また、モノクロ・シーンになるとカメラの動きが急に激しくなり、やたらと傾け、編集の繋ぎも荒くなる。「ホミサイド」で意図的に編集でコマを飛ばすジャンプ・カットを多用し、不安定さを強調してそれなりの効果を上げたという実績はあるが、これはそんなレヴェルではない。
フォンタナは「ホミサイド」のジャンプ・カットも最初は視聴者を面食らわせた点を指摘し、視聴者はこのような新機軸にもすぐに慣れるものだとコメントしている。確かに番組が進むに連れてあまり気にならなくなったことは確かだが、しかし、そういう問題ではないでしょう。私は特に、色のチェンジはともかく、カメラをやたらと傾けるというのはどうにも我慢がならない。話のポイントでちょっとした効果を得るために斜めの構図を入れてみるというのならまだわかるが、そのほとんどが傾いていると、カメラの水平がとれないのをごまかしているのかと文句の一つも言いたくなる。こちらの批評ではカラーとモノクロの移り変わりについてあれこれと言っているのが多かったが、それよりも私はこのカメラの傾きの方がずっと気になった。
主演の二人、マイクとゼーンを演じるのは、デレク・セシルとマーク・ラファロ。ラファロは「54」等に出演しているが、知名度という点から見ると二人ともほとんど新人である。まあ、こういう実験的な番組に名の売れた俳優を起用するわけにはいかなかったのはよくわかる。二人のガール・フレンド、ベアトリスを演じるヘザー・バーンズ、エリザベスを演じるポピー・モンゴメリもほとんど新人に近いが、モンゴメリはわりとよくできたSFのTV映画「冷たい方程式」に主演している。私はこの「冷たい方程式」が結構気に入っていたのでちょっと彼女に期待していたのだが、プレミアを見る限りあまり出番はなかった。どちかというとベアトリスとゼーンの関係の方に焦点が行っていた。まあ、ベアトリスの方がエキセントリックでドラマになるからしょうがないか。とにかく、この番組の将来はというと、「不安」としか言い様がない。ストーリーそのものはそれなりに面白いのだが‥‥
