プレイオフズに入った今年のツアー、最初のプレイオフ、バークレイズは今回はニュージャージーのリバティ・ナショナル開催だ。しかもニュージャージー州ジャージー・シティという地名はなんと私が今住んでいる住所と一緒、つまり近い。以前NYのクイーンズに住んでいた時はロング・アイランドのベスペイジまで車を飛ばせば30分だったが、今回はフリーウェイに乗って飛ばさなくても下の道を使うだけでリバティ・ナショナルまで10分で着く。

最近飛行機が落ちたり飛行機とヘリコプタの衝突事故等でなにかと話題の多いハドソン・リヴァーの向こうはすぐにマンハッタンで、CBSの中継で映る自由の女神像は実はニュージャージー側からだと後ろ姿になってしまう。私んちから歩いてすぐの坂上からでも遠くに似たような角度で自由の女神が見える。これだけ近いとよほど実際に見に行こうかとも思ったが、この週末はハリケーン・ダニーの影響で雨風模様、それにいくらタイガー・ウッズやフィル・ミッケルソンが出ていようとも、折り返し時点で彼らはだいぶ下の方にいる。彼らが優勝に絡まないんではなと、億劫に思ってしまう。

これがテニスのUSオープンなら誰が出ていようとも一日は必ず見に行くんだが、ゴルフの場合、臨場感やプロのプレイを楽しむというよりも、歩き回されて疲れそうだなというのが先に来て、TVの方が楽でいいと思ってしまうのだ。それできっとウッズの回りは人垣で満足に見れないんだろうと思うとやはり二の足を踏んでしまう。

それよりも印象的なのはプレイの合間合間に映る背景のニューヨークの摩天楼や自由の女神像で、やっぱりニューヨークって絵になるなと思うのであった。いつかプロを見るためではなく、自分でプレイするためにリバティ・ナショナルに行こうと心に決める。

さて勝負の方は3日目にウッズがスコアを縮めて順調に上位に肉薄する。天候がよくないため、こんなにNYに近いくせにギャラリーはあまりおらず、これなら本気で見に行ってもよかったかなと思う。たとえばテニスのUSオープンでは、当然雨が降ると客足が鈍るわけだが、日中降っててもナイト・ゲームが晴れるとプレイは続くわりにはスタンドはがらがらだったりする。そうすると主催者判断で開催地のクイーンズの住民には入場料無料で開放するという告知が突然出たりする。そんな感じでバークレイズもただにするとか言ってくれたらすぐに車かっ飛ばして見に行くんだがなと思ったりした。

話を元に戻して3日目終了時点で9アンダーで首位は、ポール・ゴイドスとスティーヴ・マリノ。7アンダーにフレドリク・ヤコブソンとウェブ・シンプソン、6アンダー、スティーヴ・ストリッカー、5アンダー、ヒース・スローカム、4アンダーにウッズ、ザック・ジョンソン、パドレイグ・ハリントン、マット・クッチャー、イアン・ポールターら5人が並ぶ。

最終日はゴイドスとマリノが伸び悩み、ウッズは絶好調とは言えないながらもそれでも地道にスコアを伸ばす。アーニー・エルスも久しぶりに上位に絡んだりして勝負を面白くする。最後の最後は9アンダーで首位に立つスローカムとストリッカーに、その時8アンダーのウッズが並べるかどうかにかかる。

500ヤード超の18番パー4でウッズは完璧なティ・ショットと第2打でカップまで6フィート。これまで何度も見てきたシーンで、このパットをウッズが外すなんてあり得ない。しかしそのバーディ・パットは無常にもカップの左に逸れ、打ったウッズですら信じられないという表情。結局8アンダーでレギュレイションを終える。

一方ストリッカーとスローカムは18番で共にティ・ショットを右と左のバンカーに入れ、二人とも同様にサンド・ショットがバンカーに阻まれ3オン。スローカムは25フィート、ストリッカーは5フィート残す。もしかしたらこれは二人とも外してプレイオフという筋書きもありかと思わせといて、スローカムはこのパットを沈め優勝に王手、ストリッカーは5フィートを外してスローカムがツアー3勝目を手にした。

ウッズは全米プロに続きまさかの敗退。好調の時ならまず間違いなく勝っていたトーナメントを連続で落とした。4番パー3では3フィートのパー・パットを外したし、パー5でバーディをとれなかったのも痛かった。いつもならグリーン回りの第3打のチップを必ずカップに絡めてバーディをとるのに。ヘンな負け癖がつかなければいいが。

8アンダー2位はウッズ、ストリッカー、エルス、ハリントンが並んでおり、このメンツを押さえて勝ったスローカムの粘り腰を誉めるべきだろう。スローカムは7番パー4で第2打をホール・インさせるイーグルがあり、ツキもあった。第一、先週までスローカムはバークレイズに出れるか出られないかもわからない線上で、、やっと先週のウィンダムが終わってから125人中124人目で出場権を手にして、勝った。ある意味ウッズ並みのドラマと言える。