The Band’s Visit

迷子の警察音楽隊  (ザ・バンズ・ヴィジット)

2019年2月8日  ニューヨーク、エセル・バリモア・シアター

特にブロードウェイが得意というわけでもないので、現在ブロードウェイの舞台を半額で見せるブロードウェイ・ウィークというのが数年前から始まっているということを知らなかった。NYではレストラン料金が半額になるレストラン・ウィークというのがあって、それなら私も知っているし何度か利用したこともある。わりと成功して続いている企画のようだから、それを真似てブロードウェイにもっと客を呼ぼうという試みだろう。 

 

タイムズ・スクウェアにあるTKTSでは、基本的に通年ブロードウェイのチケットを半額で買える。とはいえこれは余っているチケットを早い者勝ちで売り出すもので、見たい舞台のチケットが確実に手に入るわけではない。それでだいたい並んでいる者は時間のある若者か、いくつか見たい候補がある旅行客と相場が決まっている。 

 

いずれにしても、うちの女房が目ざとく今がブロードウェイ・ウィークということを調べてきて、「ザ・バンズ・ヴィジット」を見に行こうと提案する。彼女のオフィスはミッド・マンハッタンにあって、近くのブライアント・パークでブロードウェイのショウから出演者がさわりを聴かせるパフォーマンスを行っていて、それで聴いた「バンズ・ヴィジット」が結構よかったらしい。私もトニー賞をとってたり、主演が曲者の「モンク (Monk)」のトニー・シャルーブであることくらいは知っていたので、話に乗る。 

 

話はエジプトの音楽隊がイスラエルでの式典での演奏に招かれるも、行程を間違えて辺鄙な田舎町にたどり着いてしまい、行きがかり上そこで滞在することになって町の人と交流するという、他愛もないというと他愛もない話だが、これが結構面白い。 

 

それはともかく、見終わって満足して家に帰ってきて、女房があれこれと調べていて、へえ、この舞台、オリジナルの映画があったんだ、と言った瞬間、タイトルが頭の中で明滅した。あった。確かにあったそういうタイトルの映画、数年前に公開されていた。なんで今の今までこれっぽっちも思い出さなかったのが不思議なくらいだが、そうか、元ネタの映画があったのか。道理でこんな無理筋の話がブロードウェイで製作できたのかわかった。最初からそこそこ知名度があったからか。 

 

因みに私たちの見た舞台ではシャルーブはもう役を降りていて、オリジナルの映画の方の「迷子の警察音楽隊」で主演のサッソン・ガーベイが主演を務めていた。ある意味正しい見方をしたとも言える。音楽隊長なんて役を演じているからある程度音楽の素養があるのは当然だろうが、歌も味があってよかった。この舞台、4月には最終公演を迎えるそうだ。見といてよかった。  





 

 

 





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