放送局: CBS

プレミア放送日: 9/27/2001 (Thu) 22:00-23:00

製作: レイディアント・プロダクションズ、ステュディオスUSA、CBSプロダクションズ

製作総指揮: ウォルフガング・ペーターゼン、ゲイル・カッツ、マイケル・ベックナー、ショーン・キャシディ

共同製作総指揮: エド・ズッカーマン

製作: ロバート・サイモン

共同製作: ジョー・ラザロフ

監督: アレックス・ザクリュウスキ

脚本: ジェイムス・バノン

撮影: ジェイムス・バグドナス

音楽: ジョン・アーリック

編集: アン・ホルブルック

美術: ビル・アイゲンブロット

出演: ギル・ベロウズ (マット・キャラン)、ロッキー・キャロル (カール・リース)、デイヴィッド・クレノン (ジョシュア・ナンキン)、ロニー・コックス (アレックス・ピアース)、ウィル・パットン (ジャクソン・ヘイスリー)、グロリア・ルーベン (リサ・ファブリッチ)、ペイジ・ターコ (テリ・ロウエル)


物語: フィデル・カストロの暗殺計画が秘密裏に進んでいるとの信頼できる情報がCIAにもたらされる。カストロは合衆国入りして国連でのスピーチが予定されており、よりにもよってその時に暗殺が決行される気配が濃厚となる。リサはマイアミに飛び、カストロを忌み嫌っていた男に会って身辺を探るが、その男も殺されてしまう。カストロ暗殺に最も近いと思われている男がピックアップされるが、その男の行方は杳として知れない。ついにカストロがニューヨーク入りする日となり、暗殺者の身元が割れないまま、国連を中心に警備が強化される。そしてぎりぎりにCIAのコンピュータが割り出した暗殺者は、国連の清掃職人として既に現場入りしていた‥‥


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今シーズン、CBSが編成した新番組「エージェンシー」ほどついてない番組はなかった。今シーズンは「エージェンシー」だけではなく、ABCで「エイリアス (Alias)」と「シーヴス (Thieves)」、NBCで「UC: アンダーカヴァー (UC: Undercover)」と、同工異曲のアクション番組が次々と編成され、視聴者は番組を区別するのに一苦労だった。その中で「エージェンシー」は、この種の番組としては初めて、エージェンシーことCIA (Central Intelligence Agency) が番組製作に協力するということで話題となった。


CIAが実際にネタを提供することで、本当に起こりそうな事件をリアルに描くというのが番組の売りになっていた。そのプレミア・エピソードの内容は、なんとオサマ・ビン・ラディンがロンドンの高級デパート、ハロッズにテロを仕掛けるというものだった。そしたら9月11日のテロリスト・アタックである。ハロッズのオーナーのモハマド・アル・フェイドはCBSに対してハロッズの名前をプレミアから削除するよう要請、CBSとしてもビン・ラディンの名をテロに敏感となっているアメリカの視聴者の前にそのまま提示するわけにはいかず、プレミアを棚上げにするしかなくなってしまった。


「エージェンシー」は他の回に少し手を入れ、プレミアに回すことで始まったまではよかったが、不運はまだまだこれだけでは終わらなかった。 番組の10月11日放送予定のエピソードは、ちょうどその日にブッシュ大統領の所信表明演説があったため、全ネットワークはそれを中継せざるを得ず、この日放送予定のエピソードは次週に持ち越しとなった。そのエピソードというのが、炭疽菌によるバイオ・テロを扱った内容だった。翌週そのエピソードを放送するまでに、炭疽菌関連の事件は全米を震撼させる重大事件となり、CBSは今度もこのエピソードを棚上げせざるを得なくなった。本当についてないとしか思えない番組だ。


しかしもちろん、1エピソード100万ドルの製作費をかけて製作したものを、いつまでもお蔵入りさせたままでいるわけはない。いつかは絶対放送するはずとは思っていたが、それは意外と早くやって来た。まず11月1日に、ビン・ラディンとハロッズの部分を撮り直した本当のプレミア・エピソードが放送された。ビン・ラディンの名はもっと一般的なアルカイダという名にぼかされ、ハロッズの名は撤去された。その翌週には炭疽菌を扱った回も放送された。この辺では、CBSはむしろこういった番組の不運続きを逆にパブリシティとして煽っており、この変わり身の早さはさすがアメリカのネットワークと思わせた。


そういった裏話はともかく、この番組、CIAが情報を提供しているだけあって、それなりに話自体には説得力がある。私が見た、急遽差し替えられて放送されたプレミアは、実際にカストロがニューヨーク入りしてスピーチするという最近本当にあった話を下敷きとして使用しているため、こういうアクション・ドラマにありがちの突飛過ぎる印象がなく、うまく現実と作り話を融合させている感じは確かにした。元々第2回目以降に予定されていたエピソードに、主要人物が初登場するシーンを本当のプレミアから持ってきて編集し直し、強引にプレミア・エピソードとして放送したものであったわけだが、登場人物の初顔見せの仕方など話の作り自体はわりとまとまっており、その点でも違和感はなかった。今シーズン、ABCで放送が始まったスパイ・ドラマの「エイリアス」や「シーヴス」が、まったく作り物の世界としてのファンタジーとして機能していることに対し、「エージェンシー」はその対極のリアルなアクション・ドラマとして存在意義を推し出しているわけだが、その試みはわりと成功しているように思う。


主人公のマットを演じるのは、「アリーmyラブ」のギル・ベロウズ。「アリー」での軟派なイメージがわりとはまっていたので、今回CIAエージェントと聞いて大丈夫かなと思っていたのだが、多分ジムで鍛えたのだろう、上腕に力こぶをつけ、顔をきりりと締めるとそれなりに様になる。他に「ER」のグロリア・ルーベンや「この森で、天使はバスを降りた」のウィル・パットン、「シカゴ・ホープ」のロッキー・キャロル、「サーティサムシング」のデイヴィッド・クレノンといった面々が脇を固めている。


製作総指揮にウォルフガング・ペーターゼンの名があって驚くが、多分名前を貸しているだけなのだろう、脚本や演出にまでタッチしている様子はない。本当にペーターゼンが力を貸しているなら、もっとペーターゼンの名を前面に持ってきて推し出しそうなものだ。しかしペーターゼンの名から想像しそうな、リアリスティックな演出という点はちゃんと継承しており、なるほどと思わせる。「エージェンシー」は、とかく内容よりも現実との関係にまつわる話題が先行し過ぎた嫌いが大きいが、見てみるとそれなりにまとまっており、別に悪くない。CIAの協力はちゃんと番組作りに活かされているという感じがする。しかし関係者は、今度また番組に描かれているのと同様の事件が起きるのだったら、放送が済んだ後に起きてもらいたいとは心底思っていることだろう。


この番組がわりと面白いと思われているということは、裏番組に現在アメリカTV界で最高最強のドラマ、「ER」がNBCで編成されているのにもかかわらず、それなりの視聴率をとっていることからも窺える。かれこれ7年前に「ER」が木曜夜10時に編成されてからというもの、これまでこの時間帯に面白い裏番組が編成されたことなぞなかった。どの放送局だって自分たちの番組を潰されたくはないのである。それがここへ来て初めて、少なくとも「ER」が再放送の時はこれを見てもいいかなと思える番組が現れた。少なくとも「ER」が少しお涙頂戴に過ぎると思っている視聴者は、既に「エージェンシー」を見ているということははっきりと数字に現れている。CBSはこれで木曜8時に「フレンズ」に対して「サバイバー」、9時台の「ウィル&グレイス」に対して「CSI」、そしてこの「エージェンシー」と、ここ数年敵なしを誇ってきたNBCの木曜夜の「マスト・シーTV」に本気で戦いを挑んでいる。これは「ER」もうかうかしてられない。アメリカのTV界もますます面白くなってきた。







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ジ・エージェンシー   ★★★

 
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