The 21 Best of the 21st Century Comedies
21世紀の21本のベスト・コメディ (2021年7月)
The 21 Best of the 21st Century Comedies
21世紀の21本のベスト・コメディ (2021年7月)
先頃、ニューヨーク・タイムズが「21世紀の21本のベスト・コメディ」と題して、21本のコメディを選出した。
実はタイムズは2年前にも、こちらは「『ザ・ソプラノズ (The Sopranos)』以降の20本のペスト・ドラマ」というタイトルで、時代を代表する20本の番組を選んでいる。とはいっても、ドラマと銘打っているくせにコメディやアニメーションがあったり、確かに「ザ・ソプラノズ」は一時代を画したドラマではあり、1999年放送開始という時期も時代の節目という感じはしないではないが、それでもその区切りの理由が恣意的に過ぎて感じられ、特に興味は惹かれなかった。
それに較べると今回は、語呂合わせにしても逆にお祭り的で、これはこれで面白いと感じさせる。というわけで、以下がその番組。選ばれた21本には順位はついてなく、放送開始日順ということになっている。
「ラリーのミッドライフ★クライシス (Curb Your Enthusiasm)」HBO (2000-現在)
「シャペルズ・ショウ (Chappelle’s Show)」コメディ・セントラル (2003-2006)
「ブルース一家は大暴走! (Arrested Development)」FOX (2003-2006), Netflix (2013-2019)
「ジ・オフィス (The Office)」NBC (2005-2013)
「ザ・カムバック (The Comeback)」HBO (2005-2014)
「フィラデルフィアは今日も晴れ (It’s Always Sunny in Philadelphia)」FX (2005-2012), FXX (2013-現在)
「サーティー・ロック (30 Rock)」NBC (2006-2013)
「パーティ・ダウン (Party Down)」スターズ (2009-2010)
「パークス・アンド・レクリエイション (Parks and Recreation)」NBC (2009-2015)
「コミ・カレ!! (Community)」NBC (2009-2014), Yahoo (2015)
「ルイ (Louie)」FX (2010-2015)
「ボブズ・バーガース (Bob’s Burgers)」FOX (2011-現在)
「キー&ピール (Key and Peele)」コメディ・セントラル (2012-2015)
「ガールズ (Girls)」HBO (2012-2017)
「ネイサン・フォー・ユー (Nathan for You)」コメディ・セントラル (2013-2017)
「ブロード・シティ (Broad City)」コメディ・セントラル (2014-2019)
「ボージャック・ホースマン (BoJack Horseman)」Netflix (2014-2020)
「クレイジー・エクス-ガールフレンド (Crazy Ex-Girlfriend)」CW (2015-2019)
「アトランタ (Atlanta)」FX (2016-現在)
「ベター・シングス (Better Things)」FX (2016-現在)
「ペン・フィフティーン (Pen15)」hulu (2019-現在)
次点
「レヴュウ (Review)」コメディ・セントラル (2014-2017)
「ザ・ブーンドックス (The Boondocks)」カートゥーン・ネットワーク (2005-2014)
「ジャックアス (Jackass)」MTV (2000-2003)
「ヴィープ (Veep)」HBO (2012-2019)
「リック・アンド・モーティ (Rick and Morty)」カートゥーン・ネットワーク (2013-現在)
一見して気づくのは、見事にステュディオ・マルチカメラ撮影の、いわゆるシットコムが一本も入ってないことだ。これがもし時代が90年代も含まれるなら、「サインフェルド (Seinfeld)」、「フレンズ (Friends)」、「Hey! レイモンド (Everybody Loves Raymond)」等のシットコムが選出されないわけがない。「ビッグバン★セオリー (The Big Bang Theory)」は入ってくると思ったんだが。
4大ネットワークからCBSとABC番組が一本も選出されていないのも悲しいところ。ケーブルでは、コメディ専門チャンネルのコメディ・セントラル番組が何本かあるのは当然として、特にコメディに力を入れているという感じがするわけではない、というか、むしろドラマ専門だろうという印象のあるFX番組がそこそこ選ばれているのも意外。
この中では一番古い番組の「ラリーのミッドライフ★クライシス」が、いまだ現役だ。主人公を演じるラリー・デイヴィッドは、今ではミッドライフどころか初老の仲間入りだ。元々ハゲ親父だったから、20年前と今でも実は見かけ上はあまり変わっているようには見えず、その点では番組製作上メリットがあるとは言えるか。
「ボブズ・バーガース」、「ボージャック・ホースマン」というアニメーションも2本選ばれている。次点の「ザ・ブーンドックス」と「リック・アンド・モーティ」も入れれば4本だ。唯一1時間番組の「クレイジー・エクス-ガールフレンド」も、コメディとして選出されている。
アニメーションにおける声優を含めなければ、パメラ・アドロンが「ルイ」と「ベター・シングス」に、ドナルド・グローヴァーが「コミ・カレ‼︎」と「アトランタ」に、共に主演級で出ている。グローヴァーは他にもゲスト出演で「30ロック」と「ガールズ」にも出ているから、最多選出の俳優だ。「キー&ピール」の片割れジョーダン・ピールは、今ではコメディではなく、ホラー演出家としてアメリカを代表する監督だ。実はコメディとホラーは紙一重なのだった。