Stir of Echoes

エコーズ  (1999年9月)

またまたサイコ・ホラー。本当はケヴィン・スペイシー主演の「アメリカン・ビューティ」を見に行こうと思っていたのだが今週は限定公開で、家の近所に来るのは来週からだということでこういうことになった。この手のものは流行りみたいなものがあって、公開する時は一度にどっと公開する。消費者は飽きやすいので絶対早く公開したものが得に決まっている。そういう点でも「シックス・センス」は運もよかったと言える。一か月連続で全米1位の興行成績は、先頃の「ファントム・メナス」よりよいのではないだろうか。


「スティア・オブ・エコーズ」はシカゴの電話会社に勤める普通の中流 (の下) くらいの家庭を持つ主人公 (ベーコン) が、座興で知り合いに催眠術をかけられたことをきっかけに、その家に居着く亡霊の姿を見るようになるというホラー。一人息子は既にその能力を持っているのだが、この設定は既に「シックス・センス」で使われており、意図せずに二番煎じになってしまい、だいぶ損をしている。この点でもこの手の作品は早く公開するに限る。


一方、ベーコンはアメリカのごく一般的な家庭生活をよく体現している。「メルローズ・プレイス」みたいなものではなく、アメリカの家庭の標準は実はこんな感じだ。やっとのことで手に入れた一軒家は猫の額くらいの庭しかなく、結構狭く、散らかっててあまり整頓されていない。しかしそれなりに家庭を愛し、子供を愛し、旧友とパーティやバーで飲むのが息抜きという、本当のアメリカの中流の実態って、そうそう、こんな感じなんだよ、というのがよく出ている。


最近ホラーばかり見ていたので慣れたのか、怖いという感じはあまりなかった。その分冷静に見られて、よかったのか悪かったのか。例えば、途中で出てくるやはり霊を見ることのできる黒人の警官は、さて彼がどんなふうにストーリーに絡んでくるのかと思っていたら、たった2シーンほどで消えた。そりゃあないよ、ああいう風に登場させたからには彼はもっと出番があってしかるべきだろうに。結構面白く見たのだが、やはり「シックス・センス」の方がちょっとばかりできがよかったかな。






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