放送局: MTV

プレミア放送日: 6/18/2001 (Mon) 19:00-19:30

製作: リンチ・サイドロウ・プロダクションズ

製作総指揮: サリー・サスマン・モリーナ

クリエイター: クリスティーナ・マクラクラン、ヴァレリー・アハーン

製作: ジェイソン・シャブ、アンソニー・モリーナ

監督: アンソニー・モリーナ

脚本: サリー・サスマン・モリーナ、クリスティーナ・マクラクラン、ヴァレリー・アハーン

音楽: ドミニク・メッシンジャー

出演: ショーン・バッテン (ナタリア・カーライル)、ジョセフ・カシア (ディミトリ・カーライル)、クリスティーナ・チャンバース (テイラー・ジョーンズ)、ミガリン・エチクンウォーク (チェリッシュ・パーディー)、バイロン・フィールズ (アイヴァン・カーライル)、モニカ・セレーン・ガーニック (ジュリー・ホイットモア-カーライル)、ロバート・ハッチンソン (サッシャ・カーライル)、レイ・ラスカ (ボリス・カーライル)


物語: 息子のアイヴァンとジュリーとの結婚披露宴を翌日に控え、巨大ヴィデオ・ゲーム会社スパイダー・ゲームス社の社長ボリス・カーマイケルは忙しい毎日を送っていた。しかしボリスが本当に可愛がっていた息子は長男のディミトリであり、そのことを隠そうともしないため、アイヴァンや娘のナタリアは内心面白くない。また、末っ子のサッシャも駐車違反で検挙されるなど、カーマイケル家は外見はともかく、内情は全員が腹に一物を持っていた。そして結婚式前夜、ボリスが何者かに殺されるという事件が起きる‥‥


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ミュージック・ヴィデオ専門チャンネルから完全に若者向けの総合チャンネルと化してしまったMTVが、ついにソープ・オペラに挑戦してしまった。それがこの「スパイダー・ゲームス」だ。とにかく近年のMTVの音楽離れには目に余るものがある。というか、MTV経営陣が、音楽ではなく、総合チャンネルを目指していると言い切っているのだから、それはそれでもいいんだが、だったら、「ミュージックTV」を意味しているはずのそのチャンネル名をなんとかしてくれと思ってしまう。


ではいったいミュージック・ヴィデオはどこでやっているのかというと、現在ではそれは姉妹チャンネルのMTV2が受け持っている。こちらの方は看板に偽りなく、24時間ミュージック・ヴィデオばかりなので、最近では私は専らMTVよりもこちらにチャンネルを合わせることの方が多い。


現在のMTVの看板番組と言えば、やはり「ザ・リアル・ワールド (The Real World)」だろう。現在アメリカのTV界を席捲しているリアリティ・ショウの原型とも言えるこの視聴者参加番組は、ついに今年第10シーズンを迎えた。登場人物もそれを見ている視聴者も30歳以下はまずいないこの番組は、とにかく若者には圧倒的人気だ。しかし、勝ち抜きゲーム型でもなく、投票での追放があるわけでもないこの番組は、同年代以外の視聴者にはまったくアピールしない。事実私の目から見ると、ただ若者の生態をとらえただけの退屈な番組にしか見えない。「サバイバー」の裏切りやパワー・ゲームなんかどこにもないのだ。


どちらかというと、「ザ・リアル・ワールド」の姉妹番組である「ロード・ルールス (Road Rules)」の方が、私にはまだ面白い。こちらの方も若い視聴者の参加番組であるが、こっちは世界中に行ってあれしたりこれしたりというようなアクティヴィティがあって、わりと飽きさせない。いずれにしても、MTVは今ではそういう番組を取り揃えるティーンエイジャーご用達のチャンネルと化していて、私は「ヴィデオ・ミュージック・アウォーズ」等の毎年恒例の番組以外、現在ではほとんどチャンネルを合わせることはなくなった。今でも時々見る番組といえば、せいぜい「ジャックアス」くらいだ。


それがついにソープ・オペラである。MTV、おまえもか、といった感じだ。しかし、近年アーロン・スペリングが得意としたプライムタイム・ソープは衰退傾向にあって、あまり人気がない。「メルローズ・プレイス」が終わり、「ビバリーヒルズ青春白書」が終わった時点で、アメリカのプライムタイム・ソープは一つの時代が終わったという感が強い。それは昨年、FOXが放送した「ザ・ストリート (The Street)」と、NBCが放送した「タイタンズ (Titans)」の二つのソープ番組がまったく人気なく、共に数話しか放送されずにキャンセルされてしまったことからでも窺える。それなのに、なぜ今頃になってプライムタイム・ソープなのか。


実はこの番組、現在のようにソープの衰退傾向が誰の目にもはっきりとしている以前から企画があったそうで、まずはそれが第一の理由のようだ。とにかくいったん実現に向けて走り始めてしまった企画は、途中で止めるのが難しい。既に結構の金額を資本投下してしまっているし、ここで止めてしまったら元も子もない。その上、MTVには「アンドレスド (Undressed)」という、実はあまり話題にはならないが、やはりティーンエイジャーなら誰でも知っているという、ソープまがいの人気番組があるのだ。MTVがこれを意識していたのは間違いない。


「アンドレスド」は、何組かのカップルのベッド・ルームでの痴話喧嘩をドラマ化したもので、カメラはベッド・ルームからまず出ることはない。ベイシック・チャンネルのMTVでの放送でもあり、ヌード・シーンがあるわけではないが、結構際どい会話やシチュエイションが豊富にある。実にソープソープした設定で、私の目から見るとただ単にくだらないのだが、そのあまりのくだらなさに、なんでここまでくだらない番組をやっているんだろうと、ついつい見てしまうことがある。要するにそういった番組である。際どいとはいっても、それはティーンエイジャーにとってのことで、20代後半以上の者がこの番組を見て面白いと思うとは、私には到底思えない。しかし、ヴァージンの男の子女の子にはやはり新鮮に映るんだろう、番組が始まってから既に2年経つが、キャンセルされずにいまだに続いている。ニューズウィークはこの番組の大胆さとバカさ加減は、コメディ・セントラルの「サウス・パーク」を超えると評していた。


また、プライムタイム・ソープに限らず、アメリカの日中のソープ・オペラも衰退傾向にあるのだが、その中にあって、NBCの「パッションス (Passions)」なんてソープ界の救世主的人気番組が出てきたことも追い風になったようだ。「パッションス」はなんでもありのソープをさらに一歩進めた、ほとんど抱腹絶倒ものの番組であり、現在、SFホラー・ソープとでも言うべき展開を見せている。主人公は恋敵や政敵だけでなく、あの世から甦ったヴァンパイアまでを相手にして戦っており、ほとんどお笑いの世界に突入しているのだが、ここまでやると逆受けして、結構人気番組になっている。


そういう前例があるから、MTVは「スパイダー・ゲームス」もいい線行くのではないかと算段したようだ。そのプレミアは、とにかく目まぐるしく入れ替わり立ち替わり現れる新キャラの関係把握に忙しく、何がなんだかわからぬうちにあっという間に終わってしまった。この番組、65話で終了が決まっているそうだから、とにかく早めに主要な登場人物を出しておきたいらしい。多分プレミアに登場したキャラクターが、殺されたボリスを除いて最後まで出ずっぱりで、最後の方で話の辻褄が合わなくなったのでいきなり新キャラを出したり、死んだ人間を生き返らせたり、生まれた時に生き別れになった双子の兄がいたなんて展開になったりすることはなさそうだ。それでも多角関係の恋愛模様や裏切り、レイプ、殺人、パワー・ゲームと、ソープの定石はしっかりと踏んでいた。


ということは、はっきり言ってその他大勢のソープと何が違うのかもよくわからないということで、本当に、なぜこの番組をMTVでやらなければいけないのかよくわからない。たとえ「アンドレスド」や「パッションズ」が若い子を中心に人気が出ているとはいえ、いくらなんでもMTVまでもがこういうごく常識的なソープに手を染める意味があるのかと思ってしまう。それに、やっぱりソープって誰も演技なんて気にしてないし、私はプレミアを見ただけで、もううんざりという気になった。放送局には放送局の考え方があるだろうからティーンエイジャーから20代前半に的を絞って編成することには別に異議はないのだが、やはりこの番組を見るために毎日MTVにチャンネルを合わせる気には、到底ならないなあ。







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スパイダー・ゲームス   ★1/2

 
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