Spartacus: Blood and Sand   スパルタカス: ブラッド・アンド・サンド

放送局: Starz (スターズ)

プレミア放送日: 1/22/2010 (Fri) 22:00-23:00

製作: タパート・ドーネン・レイミ、スターズ

製作総指揮: ロブ・タパート、サム・レイミ、ジョシュア・ドーネン、スティーヴン・デナイト

製作: クロイ・スミス

監督: リック・ジェイコブソン

クリエイター/脚本: スティーヴン・デナイト

撮影: アーロン・モートン

美術: イアン・エイトキン

編集: ジョノ・ウッドフォード-ロビンソン

音楽: ジョゼフ・ラドゥーカ

出演: アンディ・ホイットフィールド (スパルタカス)、ジョン・ハナ (バティアタス)、ルーシー・ロウレス (ルクレティア)、ピーター・メンサー (ドクター)、マヌ・バネット (クリクサス)、ヴィヴァ・ビアンカ (イリティア)、クレイグ・パーカー (グレイバー)、ジェイ・コートニー (ヴァロ)、エリン・カミングス (スーラ)、レスリー-アン・ブラント  (ナイヴィア)


物語: トロキアの戦士スパルタカスはローマ軍の要請によって他の者共々傭兵として駆り出されるが、自分たちの村のことは考えようともしないローマ軍に愛想を尽かし、反旗を翻す形で村に帰る。しかし時遅く、既に村はほとんど壊滅的打撃を受けていた。スパルタカスもローマ軍によって捕らわれの身となり、妻のスーラも拉致される。ローマ軍を裏切った代償として、スパルタカスは奴隷としてコロシアムで死を前提とした剣闘の場に出されるが、案に反してスパルタカスは敵を皆殺しにして勝ち残り、熱狂した観衆によってヒーローに奉られる。バティアタスはスパルタカスの身柄を引き受け、剣闘士として要請することを王に申し出る‥‥


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私は映画やTVを見ることを趣味や仕事にしているが、かといって特にそれらに出ているスターのプライヴェイトな生活に興味があるわけではない。トレンディ・スポットや繁華街を出歩いたり夜遊びをするよりは、家でビール片手にカウチに寝っころがってTVを見ている方なので、ニューヨークで働いているとはいっても、スターやセレブリティに遭遇したことは数えるほどしかない。


マンハッタンを歩いていると、非常に高い頻度でTVや映画の撮影現場に遭遇するので、そこで気長に待ちさえすれば、TVやスクリーンで顔を知っている誰かを垣間見ることぐらいはいつでもできると思うのだが、そんな気になれない。要するに不精なのだった。それでも、普通に生活していても、そこはそれ、何度かはセレブリティを見かけたことはある。そのうちの最も印象的な遭遇の一つが、ルーシー・ロウレスを見かけた時だ。


ロウレスは、人が覚えているのはなんといっても「ジーナ (Xena: Warrior Princess)」の主人公ジーナ (正確にはズィーナの方がより近い。ジーナといってもアメリカ人には通じるまい) だろう。先週書いた「カプリカ (Caprica)」の本編、「バトルスター・ギャラクティカ (Battlestar Galactica)」に出ていたこともある。そのロウレス、「ジーナ」撮影の合い間を縫って、一時期ブロードウェイの「グリース (Grease)」に出演していたことがある。私がロウレスを見たのはその時だ。


当時私が勤めている会社は49丁目のウエストという、ブロードウェイの中心地からすぐそこの場所にあった。気分によって帰り道を変えると、すぐシアター街になる。そこでたまたま、「グリース」のために劇場入りロウレスを見かけたことがある。ファン、というよりもパパラッチのうるさいカメラに半分は嫌そうなのを無理に笑顔で応対していたという感じだったのだが、それでも、えっ、彼女って素顔はこんなに美人なの、と思うくらい綺麗だった。


「ジーナ」ではアマゾネス風の男勝りのヒロインというキャラクターであり、髪を上げるとやや丸顔っぽい点が強調され、身体つきも締まっているのだが、私服で髪を下ろすと印象がかなり柔和になるだけでなく、着痩せするタイプであるのだろう、スタイルもよく見えた。なによりも、いかにも業界の人ですというオーラを全身から発散させており、人の目を惹きつけてやまないところがあった。なるほど、これが旬の業界人というものかと痛く感心したことを覚えている。


そのロウレスが「スパルタカス」に出ている。とはいえ、だからといってそれだけでは「スパルタカス」を見る理由にはならない。それが痛く食指をそそられたのは、番組ではロウレスは脱ぐというのを聞いたからだ。ロウレスだけでなく、「スパルタカス」は古代ローマのほとんどフリー・セックス的な世界を描く話だそうで、その他に出演する妙齢の女性たちは、ほとんど裸になるらしい。こいつは気になるのだった。


というわけで、いそいそとチャンネルを合わせて見てみたのだが、なるほど、予告通りにロウレスをはじめ主要女優陣は皆脱いで熱演しているのだが、問題はそれ以外のところにある。女性の裸だけでなく、当時のヴァイオレンスも活写した話である由だが、いかんせんそれが「300」の二番煎じに過ぎないのだ。つまり、アクション描写は「300」、裸だらけの王宮やパワー・ゲームの様子はHBOの「ローマ (Rome)」、ついでにそれにリドリー・スコットの「グラディエイター (Gladiator)」を足して割れば、ほとんどすべて事足りる。全部どこかで見たようなものばかりでまるで新味がない。これじゃあなと思ってしまう。


むろん「300」も「ローマ」も「グラディエイター」も見ていない者が見れば、かなり楽しめるであろうとは思う。しかしその3つとも見たことがある者なら、だから何? と思うのは避けられまい。特にCGを駆使したスロウモーションで血飛沫満載のヴァイオレントなアクション描写は、興奮するというよりも、ここまで恥も外聞もなく「300」をパクっていることに、むしろ見ている方が恥ずかしくなるくらいだ。CGが進化しているとかならともかく、物真似以上のものにはまったく見えない。これならまだパロディに徹した「ほぼ300 (Meet the Spartans)」の方がましだと思ってしまう。


一方ロウレスだけでなく、スパルタカスの妻スーラを演じるエリン・カミングス、イリティアを演じるヴィヴァ・ビアンカ、ナイヴィアに扮するレスリー-アン・ブラントらは、脱いでの熱演。どうやらこの番組に出る女優は皆脱いでくれるようで、その辺は眼の大きな保養というのを認めるのは吝かではない。


男優陣では、主人公スパルタカスを演じているアンディ・ホイットフィールドは、英国生まれでオーストラリアのTVに出ていた経歴の持ち主。いい男であるのは認めるが、どうしても「グラディエイター」のラッセル・クロウや「300」のジェラルド・バトラーと比較されて分がよくないし、バティアタスのジョン・ハナは、シリアス過ぎてハナの持ち味が今一つ出てないような気がする。


ドクターを演じるピーター・メンサーは、史実というよりも「グラディエイター」のジャイモン・フンスーが演じた役をパクったようにしか見えない。それに視覚的には「300」のロドリゴ・サントロを足して割ったような感じ。要するにこういう点が、番組が二番煎じと感じさせる理由になっている。既に「300」が公開されてから3年経っている現在、「300」を真似るにしてもパロるにしても、何か芸を見せてもらいたい。そこに何かしら進化が必要だろう。








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スパルタカス: ブラッド・アンド・サンド   ★★1/2

 
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