第1日

フォーボール

前回膝の故障で欠場していたタイガー・ウッズが今回は出場しているが、しかし自力出場ではなく、キャプテンのコーリー・ペイヴンのピックによるものと、はっきり言って理由は冴えない。しかもカップ当日になって、ウッズの浮気のセックス・テープが市場に出回るの出回らないのという噂がニューズ・ネタになる。これって、明らかにヨーロッパに勝たせようとする何者かがカップに合わせて情報をリークしていると思わざるを得ない。ヨーロッパ・ファンというよりも、ヨーロッパに大金賭けているんだろう。実際の話、最近ヨーロッパは地元では負けないし。


人選ではUSでは前回印象に残った、ポイントでは9位とぎりぎりのアンソニー・キムは今回選ばれなかった。キャプテンのピックはウッズとザック・ジョンソン、スチュワート・シンクと、まったく大穴というか、意外だったポイントでは20位のリッキー・ファウラー。これで活躍しなかったら、ファウラーではなくペイヴンはぼろくそ言われるだろうな。


ヨーロッパはキャプテンはコリン・モンゴメリ。キャプテンズ・ピックはパドレイグ・ハリントン、ルーク・ドナルド、エドアルド・モリナリ、ピーター・ハンソン。こちらもポイント9位のポール・ケイシーをまさか入れないとは思わなかった。今季後半あれだけ活躍しているのに。これでポイント15位で選ばれたハンソンが勝てないと、モンゴメリもメタクソ言われるに違いない。


いずれにしてもいきなり悪天候の今回のライダー・カップ、結局初日は午前中に終わるはずのフォー・ボールの途中で日没順延となった。その時点での途中結果は、 マーティン・カイマー/リー・ウエストウッド (E) 1Up フィル・ミッケルソン/ダスティン・ジョンソン (US)、スチュアート・シンク/マット・クッチャー (US) 2Up ロリ・マキロイ/グレム・マクドウェル (E)、タイガー・ウッズ/スティーヴ・ストリッカー (US) AS イアン・ポールター/ロス・フィッシャー (E)、バッバ・ワトソン/ジェフ・オヴァートン (US) 1Up ルーク・ドナルド/パドレイグ・ハリントン (E) と、ややUS優位に進行しているが、このくらいのリードなぞ、ライダー・カップではほとんどなんの意味もないのはもちろんだ。シンクのパットが絶好調で30フィートくらいのを連続して決めて絶不調のクッチャーをカヴァーして一人で勝っていたのが印象に残ったが、それも明日には変わるだろう。シンクは是非とも今日中に決着つけたかったろうと思うが、雨に文句を言ってもしょうがない。



第2日

2日目は初日の残りがだいぶあったこともあり、朝早くからのプレイ。アメリカ時間では朝、というか深夜2時から中継が始まると聞いて、生で見るのは断念して録画で見ることにする。ESPN-NBCのマラソン中継で、そのまま予定では夕方6時まで16時間連続の中継だ。時差を考えるとたぶん午後2時くらいからは録画で再放送になるんだろうが、いくらライダー・カップがゴルフの華とはいっても、これでは見るこちらの身が持たん。


フォーボール

一夜明けてのフォーボールの続きは、第1マッチはカイマー/ウエストウッドがミッケルソン/ジョンソンを3&2で下す。第2マッチのシンク/クッチャー vs  マキロイ/マクドウェルは、17番パー3でマキロイがまさかの30フィートのバーディ・パットを沈めて追いつき、結局分けた。本当に、パットって寝て翌日になると、あれだけ決まっていたシンクのパットが入らなくなるのが不思議。第4マッチはワトソン/オヴァートンが3&2でドナルド/ハリントンを下し、時間的には最後に終わった第3マッチは、ウッズ/ストリッカーが1アップでポールター/フィッシャーを下す。しかしウッズは、18番パー5で第2打を大きく左に曲げ、第3打は素人みたいなダフリで、まだまだ本調子じゃないのはありあり。フォーボールを終わってUSA 2 1/2ポイント、ヨーロッパ 1 1/2ポイント。


フォーサム

プレイはそのまま本当は初日分のフォーサムに移る。ウッズ/ストリッカー (US) はストリッカーのパットがよく決まり、ミゲル・アンヘル・ヒムネス/ピーター・ハンソン (E) を4&3で下す。ザック・ジョンソン/ハンター・メイハン (US) はモリナリ兄弟 (E) を2アップで下し、ウエストウッド/カイマー (E) はジム・フューリック/リッキー・ファウラー (US) と分ける。ハリントン/フィッシャー (E) はミッケルソン/ジョンソン (US) を3&2で下し、ポールター/ドナルド (E) はワトソン/オヴァートン (US) を2&1で下す。シンク/クッチャー (US) はマクドウェル/マキロイ (E) を1アップで下す。17番で30フィートをマキロイが沈めた分けたフォーボールに対し、まったく同じメンツのフォーサムで、同じ17番で今度はシンクが30フィートのバーディ・パットを沈めてマキロイ/マクドウェルをうっちゃった。これでUSA 6ポイント、ヨーロッパ4ポイント。


勝負はそのまま2日目分のフォーボールとフォーサムを一緒くたに6マッチが組まれた第3セッションに移る。第1マッチのドナルド/ウエストウッド vs ウッズ/ストリッカーはフォーサムだが、第2マッチのハリントン/フィッシャー vs フューリック/ジョンソンはフォーボール、第3マッチのマクドウェル/マキロイ vs ジョンソン/メイハンはフォーサム、第4マッチのハンソン/ヒムネス vs ワトソン/オヴァートン、第5マッチのモリナリ兄弟 vs シンク/クッチャー、第6マッチのポールター/カイマー vs ミッケルソン/ファウラーはフォーボールであるなど、せめてフォーボールならフォーボールを続け、フォーサムに移るとかすればまだわかりやすいのに、フォーボールとフォーサムを中途半端に交互にやる意味がよくわからない。


いずれにしても最大のポイントは、これまた途中日没順延となった第3セッションのすべてのマッチでヨーロッパがリードしていること。特にウッズ/ストリッカーは、ドナルド/ウエストウッド相手に9番までで4ダウンと大きくリードを許し、二人とも本調子ではないことを露呈した。



第3日

本当なら最終日のはずの3日目、雨は止まず、結局第3セッションだけを終え、シングルスは月曜に行うことになった。その第3セッション、ヨーロッパのリードは揺るがず、ドナルド/ウエストウッドはウッズ/ストリッカーを6&5と完膚なきまでに叩きのめす圧勝。その他のマッチも後半USが多少は巻き返すが、シンク/クッチャーがモリナリ兄弟に分けた他は全敗で、いきなり形勢は大きく逆転した。


その中で印象的だったのは、オヴァートンが8番パー4で第2打を直接カップに入れて雄叫びを上げたイーグル・ショット、および11番パー5でファウラーがバンカーからの第3打をこちらも直接カップに放り込んだイーグル・サンド・ショット。どちらのマッチも負けてしまったが。これでヨーロッパ 9 1/2ポイント、US 6 1/2ポイント。USAはかなり苦しくなった。



最終日

シングルス

ヨーロッパは最終日も好調で、マッチが始まってしばらくすると、リードしているのがほとんどヨーロッパばかりになる。これはまたヨーロッパで開催した前々回同様、ヨーロッパの圧勝か。あんまり大味になるのだけは避けてもらいたいと思いながらつらつらと録画を見ていた。ライダー・カップは全マッチ1番ホールからすべて中継するから、中継時間が長い。メイジャーより長い。おまけに今回は4日に渡っているからこちらも寝不足だ。ウッズはモリナリ弟相手にいきなり2ホールで2ダウンと、こんな感じで大味になるくらいならとっとと終わってもらいたいと思っていた。


USAは中盤巻き返し始め、ウッズもモリナリに追いつくが、それでもシングルスでの攻防がタメになったくらいで、既に昨日までで3ポイント差がついているから、ヨーロッパを圧倒するくらいじゃないと勝てない。やはり今回の勝負はヨーロッパのものだろう。


とはいえまず最初のマッチはストリッカーがウエストウッドを2&1で下し、ジョンソン (D) もカイマーを6&4で圧倒する。ジョンソンはPGAチャンピオンシップの借りを返したという感じ。しかしその後は勝ったり負けたりで、勝負の趨勢はやはりヨーロッパ寄り。USAも後半よく挽回し、残り2マッチになってUSA、ヨーロッパが共に13ポイントで並ぶが、しかし最後の2マッチのファウラー vs モリナリ兄、メイハン vs マクドウェルが、共にかなりUSA劣勢でほとんど残りホールがない。さすがにここから挽回は現実的に言って無理だろう。


ファウラーは12番を終わった時点で4ダウンと、ほとんど勝負は決まっていた。13番パー3で一つ返すがそれでも15番を終わった時点で3ダウンでドーミーと、あと3ホール全部とってオール・スクエアだ。そこから16番、17番と連続でホールをとって、1ダウンになって18番パー5を迎える。もしかしてこれもとって本当にオール・スクエアで終われるか。そうなったらメイハンもなんとか挽回して分けさえすれば、USAはカップ保持国だから、総ポイントでタイならUSAのカップ保持だ。もしかしてありえなくないか。


ファウラーは3オンして20フィートのバーディ・パットを残すが、モリナリのバーディ・パットはカップまで2フィートに寄せる。ファウラーがオール・スクエアに持ち込むには是が非でもバーディ・パットを沈めるしかなく、そのパットは最後に軽い左曲がりの弧を描いてカップに沈んだ。本当にホールとった! 3ホール連続だ。オール・スクエアだ。貴重なハーフ・ポイントだ。これでメイハンはなんとかタイに持ち込みさえすれば勝てる! メイハンも11番を終わった時点で3ダウンから、12番、15番をとって1ダウンまで挽回しており、 本気でわからなくなってきた。


と思わせた矢先、マクドウェルは次の16番パー4でバーディを奪ってまた2アップのドーミーとし、今度こそほとんどUSAの息の根を止めたか。17番ではマクドウェルはティ・ショットをバンカーに打ち込むが、メイハンのティ・ショットはグリーンに乗らない。できればこれを直接放り込みたい第2打のチップは、なんとダフってグリーンに届かない。あの、プレッシャーとは無縁のいかにも現代風青年にしか見えないメイハンが、最後の最後でプレッシャーでちびったか。


あとはもうマクドウェルがボギーとしてもメイハンは最悪パーで上がる必要があるが、メイハンはその15フィートのパー・パットを外し、コンシード。記録上はマクドウェルの3アップでの勝利となってヨーロッパの勝ちが決まった。最終ポイントはヨーロッパ 14 1/2ポイント、USA 13 1/2ポイント。いや、USAは後半よく頑張って勝負を盛り上げてくれた。ウッズも中盤、12番パー4で第2打を直接カップに放り込んだイーグルを含め、5連続バーディ (かイーグル) という久しぶりのウッズらしいゴルフで、これでやっと来期に希望が持ててきた。









 

38回ライダー・カップ   ★★★★

2010年10月1日-10月3日、 ウエールズ、ニューポート

ザ・ケルティック・マナー・リゾート

 
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