第1日

フォーサム

タイガー・ウッズのいないマッチ・プレイかあと思いながらも見始めた今回のライダー・カップ、あっという間に引き込まれて熱中して見てしまう。やはりマッチ・プレイって本気で面白い。初日午前のフォー・ボール第1組は、アメリカがフィル・ミッケルソンとアンソニー・キムのヴェテラン/若手ペアで、ヨーロッパがパドレイグ・ハリントン/ロバート・カールソンのペア。キムが気負っているのだろう、かなり空回りしていて、それをミッケルソンがカヴァーに回って絶妙のショットを随所に見せて立て直すという、ある意味なかなかいいペア。9番を終わってオール・スクエアからUSAが3連続で落として3ダウンの後、3ホール連続で取ってオール・スクエアに戻すなど見ている分には最もお面白いアップ&ダウンを演出。マッチは結局分けたが、かなり面白かった。


第2マッチはUSがジャスティン・レナード/ハンター・メイハン、ヨーロッパがヘンリク・ステンソン/ポール・ケイシーで、これもレナード/メイハンのヴェテラン/若手ペアがうまく噛み合い、ステンソン/ケイシー組を3&2で下す。実はレナードはこれがライダー・カップ初勝利だそうだ。ザ・カントリー・クラブでカップ獲得を決めたあの歴史的なロング・パットって、チームの勝利を決めても自分の勝利を決めるものではなかったのか。


第3マッチはUSスチュワート・シンク/チャド・キャンベル vs ヨーロッパ イアン・ポールター/ジャスティン・ローズ。こちらも特にUSのキャンベルが前半調子がよくなく、一時は3ダウンしていたものの後半追い上げ、18番のホールをとって1アップで勝った。シンクは前回のカップでも初日J. J. ヘンリーと組んで、初日3ダウンから追いつくという離れ業を見せていたが、今回もそれを彷彿とさせる逆転劇。


第4マッチはUSジム・フューリック/ケニー・ペリー vs ヨーロッパ セルジオ・ガルシア/リー・ウエストウッドでこちらはフューリック/ペリーが16番を終わった時点で2アップでリードしていたものが、17番をガルシア/ウエストウッドがとり、18番でケリーがティ・ショットをクリークに落とし、結局分ける。これで午前を終わってUSA 3ポイント、ヨーロッパ 1ポイント。近年では珍しくUSAの出だしがいい。ところでガルシアはフォーサムで負けたことがないそうで、これまで8連勝。今回も絶体絶命のところから分けて8勝1分けとなり、いまだに土つかず。

フォーボール

第1マッチは午前同様USAがミッケルソン/キム、ヨーロッパがハリントンとグリーム・マクドウェル。これまた午前同様前半ヨーロッパがリードするが、後半USAが追い上げ、17番、18番と連続でホールをとって2アップでハリントン/マクドウェルを下す。ミッケルソンとキムは二人とも攻めるゴルフをするので、噛み合った時はかなり強い。後半追い上げるという感じになるので、見ていて実に面白い。ミッケルソンは前回4敗1分けだったから、このペアがうまく回っているのがわかる。監督のポール・エイジンガーの采配はぴたりと決まったという感じだ。


第2マッチはヨーロッパのポールター/ローズがUSAのスティーヴ・ストリッカー/ベン・カーティスを4&2で下す。カーティスのパットの調子がよければもっと競ったんだが。第3マッチは今回好調のレナード/ハンターがガルシア/ミゲル・ヒムネスを4&3で危なげなく下す。このペアもいい。


最終マッチはUSAがJ. B. ホームズ/ブー・ウィークリー、ヨーロッパがウエストウッド/ソレン・ハンセンで、初出場のホームズとウィークリーは気合いが空回りして前半2ダウンになるが後半追い上げて1アップと逆転、しかし、18番でヨーロッパがバーディを奪ってホールをとり、オール・スクエア。17番でウエストウッドが第2打をカップまで4フィートにつけたらウィークリーも5フィートにつけ、ハンセンがその内側の4フィートにつけたと思ったらホームズが3フィートに寄せるという攻防なんか、非常にエキサイティングだった。午後はUSA 2 1/2ポイント、ヨーロッパ1 1/2ポイントでこれで初日を終わりUSA 5 1/2ポイント、ヨーロッパ2 1/2ポイント。USAはこの調子を翌日も維持できるか。



第2日

フォーサム

第1マッチはUSAシンク/キャンベル、ヨーロッパがポールター/ローズ。シンクとキャンベルはまったく精彩を欠き、一時は5ダウンまで行く。その後少しは挽回したが結局4&3で破れる。第2マッチはUSAレナード/メイハン、ヨーロッパ ヒムネス/マクドウェル。前半ヒムネス/マクドウェルが2アップでリードするもUSAも巻き返し、17番でレナードが15フィートのバーディ・パットを沈めて1アップとこのマッチで初めてリード。しかし18番ではヨーロッパにバーディを返され、結局分けた。


第3マッチはUSAミッケルソン/キム、ヨーロッパ ステンソン/オリヴァー・ウィルソン。好調のミッケルソン/キムはいきなり4アップまでリードしておきながら、そこから崩れ始め、12番でオール・スクエア。15番で1ダウン、ドーミーとなった17番でも追いつくどころか先に30フィートの大きな左曲がりのバーディ・パットをウィルソンに先に決められる。ミッケルソンの15フィートのパットはカップの右側をかすめ、2&1でステンソン/オリヴァー組が勝った。なんつーかミッケルソン/キムのペアは、調子に乗ると敵なしだが、いったん崩れ始めると自滅する。しかしキムが木の後ろから第2打を打った15番は、オフィシャルに当たらなければ跳ね返ってクリークに落ちることもなかった。オフィシャルにはもっと注意してボールを見ていろと言いたい。なんのためのオフィシャルなんだ。


第4マッチはUSA フューリック/ペリー、ヨーロッパ ハリントン/カールソン。こちらはフューリック/ペリーが1番ホールをとったあとは一度もリードを譲ることなく3&1で勝った。午前中はUSA 1 1/2ポイント、ヨーロッパ2 1/2ポイントで、これでUSA7ポイント、ヨーロッパ5ポイント。



フォーボール

第1マッチはUS ウィークリー/ホームズ vs ヨーロッパ ウエストウッド/ハンセンという初日の再戦。ウィークリーは昨日、マッチ中にいいショットが出ると、ギャラリーに盛り上げるようけしかけるなどした行為がヨーロッパ・サイドで顰蹙を買っていて、それに対してウエストウッドは不服の意を公にしていた。ま、確かにウィークリーは大人気ないといえば大人気なかったと言えるが、NBCのアナウンサーが言っていたように、ヨーロッパ開催のライダー・カップではヨーロッパも同じことやっているよねと言っていて、そりゃそうだと私も思った。あそこまであからさまじゃなかったかもしれないが、ガルシアだってかなりギャラリーにアピールするシーンとか結構あった。


その第1マッチ第1ホール、バーディを決めたUSペアに対し、ウエストウッドもどうだとばかりにバーディ・パットを沈めてお返し。最初からなかなかエキサイティングな出だしとなったが、その後ウィークリー/ホームズがリードし、結局そのまま2&1で逃げ切った。


第2マッチはUS カーティス/ストリッカー vs ヨーロッパ ガルシア/ケイシー。共に譲らず最終ホール、ストリッカーが15フィートのバーディ・パットを沈めるとヨーロッパもそれに答え、結局ハーヴド。第3マッチはUS フューリック/ペリー、ヨーロッパ ポールター/マクドウェル。ヨーロッパは前半のポールターが稼いだバーディでのリードを守り切り、最後もポールターが5フィートとはいえ難しい下りのバーディ・パットを沈めて1アップで勝った。


第4マッチはUS ミッケルソン/メイハン、ヨーロッパ ステンソン/カールソン。USは序盤、ミッケルソンの連続バーディで2アップとリードを奪うが、後半ヨーロッパが反撃に転じ、18番も両方バーディでハーヴド。午後は両サイド共に2ポイントずつを上げ、これでUS 9ポイント、ヨーロッパ 7ポイントと、USAが2ポイントリードして最終日を迎える。USAがリードしているのってなにやらすごく久しぶりという気がする。



最終日

シングルス

最終日のシングルスは、ヨーロッパが初っ端にガルシア、次いでケイシーとヴェテランを持ってくる。一方のUSAはキム、メイハンとルーキーを続け、まず士気を高めようという方策だ。確かにキムとメイハンはエネルギーが有り余っている感じだからな。


これが当たったのがUSAの方で、キムはまるっきりパットが入らないガルシアを相手に一方的に差をつけ、5&4で破る圧勝。キムは勝負が決まった後も次のホールへ行こうとして決着が着いたことを教えられ、14番のグリーンに戻ってガルシアと握手を交わしていた。メイハン-ケイシー戦はオール・スクエアの17番でメイハンが40フィートのロング・パットを沈めて1アップ、がに股摺り足ガッツ・ポーズでギャラリーを沸かすが、続く18番ではメイハンはパーで上がり、ケイシーにバーディ・パットをコンシードして分けた。


第3マッチのレナード - カールソン戦は、カールソンがグリーン上ではほとんど1パットの好調さでレナードを圧倒、5&3でレナードを退け、第4マッチのミッケルソン - ローズは、ローズがミッケルソンを3&2で下した。ミッケルソンは一人だとやはり独り相撲をとってしまう。


しかし中盤の勝負はUSがヨーロッパを圧倒、ペリーがステンソンを3&2で、ウィークリーがウィルソンを4&2、ホームズがハンセンを2&1でそれぞれ下し、第8マッチのフューリック - ヒムネス戦で、17番で1ダウンのヒムネスがバーディ・パットを外した時点でコンシード、これでUSはポイント過半数の14 1/2ポイントに達し、1999年のザ・カントリー・クラブ以来9年振りにカップを奪還した。


その後は消化試合になったわけだが、第9マッチのシンク - マクドウェル戦はマクドウェルがシンクを2&1で下し、第10マッチのストリッカー - ポールター戦はポールターがストリッカーを3&2で破った。第11マッチのカーティス - ウエストウッド戦はカーティスがウエストウッドを2&1で破り、最終第12マッチはキャンベルがハリントンを2&1で退けた。


タイガー・ウッズとコリン・モンゴメリという、これまでのライダー・カップの顔という印象の強い二人がいないライダー・カップだったわけだが、それでもやはりマッチ・プレイは面白いということを改めて感じさせてくれた今回のカップだった。それでも、やはりウッズがいたらなお盛り上がっただろうにという気はしないでもないが、しかし、怪我のために出なかったウッズはともかく、モンゴメリはもう自力で出られなくなったんだなという一抹の寂しさもあるのだった。








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第37回ライダー・カップ

2008年9月19日-9月21日   ★★★1/2

ケンタッキー州ルイヴィル、ヴァルハラ・ゴルフ・クラブ

 
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