第1日

フォーボール

第34回ライダー・カップ、午前中に行われた最初のフォーサムはアメリカがタイガー・ウッズとポール・エイジンガー、欧州がダレン・クラークとトマス・ビヨーンのペアだ。ウッズ、エイジンガーのティ・ショットではウッズのショットで小さめのどよめきが起きる他ほとんど何の歓声も聞こえないのに、クラークとビヨーンが打つとギャラリーが沸く沸く。今回は敵地に乗り込んでの勝負なんだなあという感触がひしひし。それにしても本当にライダー・カップだけはゴルフというよりもなんか他のコンタクト系のスポーツを観ている感覚に近い。


さて、勝負の方は第1試合のウッズ/エイジンガーは2ダウンとなった17番のドーミーで一つ返し、18番でもエイジンガーが第2打をピンそば1.5フィートにぴたりとつけコンシード、引き分けはほぼ確実と思われたが、ビヨーンが15フィートのバーディ・パットを沈めてクラーク/ビヨーン組が1アップで勝った。ヨーロッパは続くセルジオ・ガルシア/リー・ウエストウッド組もデイヴィッド・デュヴォール/デイヴィス・ラヴ3世のペアを4&3で破り、コリン・モンゴメリ/バーンハルト・ランガー組もスコット・ホーク/ジム・フューリック組を4&3で破っていきなり3連勝。最終ペアのデイヴィッド・トムズ/フィル・ミッケルソンのペアは、ニコラス・ファース/パドレイグ・ハリントンに対し、最初は楽勝と思わせといて追い上げられ、最終18番ホールでハリントンのパットがカップを一周して外れなければ引き分けに持ち込まれるところだった。これで午前中を終わり、ヨーロッパ3ポイント、USA1ポイント。


フォーサム

午後のフォーサムはスコット・ヴァープランク/ハル・サットン組がクラーク/ビヨーン組を2&1で下すが、マーク・カルカヴェッキア/ウッズ組はガルシア/ウエストウッド組に2&1で破れ、トムズ/ミッケルソン組対モンゴメリー/ランガー組は引き分け、しかしスチュアート・シンク/フューリック組はハリントン/ジョン・マッギンリー組を3&2で破り、午後はヨーロッパ1.5ポイント、USA2.5ポイントで、1日目を終わり4.5ポイントのヨーロッパ勢が3.5ポイントのUSAをリードする。この日は特にビヨーンのパットが冴え、午前のフォーサムではクラッチ・パットを決めるかと思えば、午後のフォーサムではいきなり80フィートのフリンジからのパットを決めるなど、ことごとくパットを沈めていた。この日ウッズは勝ち星なし。



第2日

2日目は初日と異なり、まずオールタネイト・ショットでプレイするフォーサムを午前中にプレイ。USA、ヨーロッパ、共に2勝ずつを上げて、これで欧6.5-米5.5ポイント。この日は午後のフォーボールの方が断然面白く、見どころの多い勝負が連続する。


ベスト・マッチはウッズ/ラヴ組対ウエストウッド/ガルシア組の勝負で、まず勝負どころのリーチャブルの10番パー4で、最初に打つウエストウッドとガルシアは二人共ドライヴァーで1オン狙い、ウエストウッドは見事にグリーンに乗せ、バーディ。刻んでパーに終わったウッズ/ラヴ組に対し、1アップとリードする。ポイントは17番パー5で、ガルシアが2オンしたのに対し、ウッズは第3打でピンそば8フィートにつけるも、ガルシアはピンの上3フィートに寄せる。ガルシアのバーディは固く、ウッズのパット次第と思われたところから、ラヴがグリーン手前からのフロップ・ショットの第4打を直接カップ・インさせ、先にバーディを決める。逆にプレッシャーのかかるガルシアは下りの3フィートのバーディ・パットを外し、17番を終わってオール・スクエア。18番はパーで上がったウッズ/ラヴ組に対し、まずガルシアが6フィートのパー・パットを外した後、今度はウエストウッドが3フィートのパー・パットを外してしまい、ウッズ/ラヴ組が1アップで勝った。その他の勝負もUSAが善戦、特にデュヴォール/カルカヴェッキア組は、ファース/パーナヴィク組に3ダウンからの逆転勝ちで、これで2日目を終わった時点で欧8ポイント-米8ポイントと並ぶ。最終日のシングルスが待ち遠しい。



最終日

最終日のシングルスは、ヨーロッパがモンゴメリやランガー等ヴェテランを最初の方に固め、間にムード・メイカーのガルシアを挟むなど、最初の方でリードしておいて先行逃げ切りを図る布陣。一方のアメリカは、最後の二人がワールド・ランキングNo.2のミッケルソン、トリがNo.1のウッズで、最後の最後に勝負を賭ける。


勝負が始まってしばらくして、ヨーロッパ・チームの監督サム・トーランスの目論見通りにヨーロッパの最初の6人がすべてリードしているのを見た時は、愕然としてしまった。私はこれまではライダー・カップは特にどちらを応援するということはなく、いい勝負が見られればいいと思っていたのだが、やはりアメリカに住んで長くなると、知らず知らずのうちにアメリカ贔屓になってしまったようだ。ま、それならそれで逆に応援するチームがあると勝負にも身が入るというものだ。今回はアメリカの逆転を期待して応援しよう。


この日のベスト・マッチは、文句なしに第2試合のトムズ対ガルシア。まず5番パー4で、トムズは第2打を煉瓦敷きのカート・パスの上から直接打たされる。あれはアメリカならまずフリー・ドロップだが、ヨーロッパではゴルファーに対して甘くない。しかしトムズはそこから見事にグリーンに乗せる。よくアイアンを折らなかったものだ。トムズはその直後の80フィートのバーディ・パットを決め、一方でガルシアは8フィートのバーディ・パットを外す。10番パー4でも、1オン狙いのガルシアはティ・ショットをグリーン奥のラフまで持っていくが、なんとそこからのアップ&ダウンに失敗し、刻んでバーディを奪ったトムズがホールを奪う。トムズは15番パー5でバーディを奪い、1アップとした後、18番パー4でガルシアがティ・ショットをクリークに落とし、その後トムズが第2打を安全にグリーンに乗せたのを見てコンシードし、熱戦に終止符を打った。


その後も熱戦は目白押しだったが、特にエイジンガーが16番を終わって2ダウンとほとんど覚悟したところから、17番でバーディを奪って一つ返し、18番でもバンカーからの難しい第3打を直接カップ・インさせて引き分けに持っていった時なんかは、まだまだ勝負はわからないと思い、直後のフューリックがまたまた似たような位置からのバンカー・ショットをこれまたもう少しでカップ・インさせようとした時などは、本当にTVを見ていて力が入った。結局勝負自体はそのフューリックと戦っていたポール・マッギンリーが8フィートのパー・パットを決めて引き分けた時点でヨーロッパが14.5ポイントと過半数に達し、勝負を決した。


最終的にシングルスはヨーロッパは7.5ポイント、アメリカ4.5ポイントで、通算でヨーロッパ15.5ポイント、アメリカ12.5ポイントと、近年では85年にやはりベルフリィで行われたライダー・カップ以来のポイント差がついたわけだが、見ている感じでは手に汗握る接戦だった。いやあ面白かった。因みにこの日、アメリカ側で勝ったのはトムズとヴァープランクだけで、後の2.5ポイントはすべて引き分けから得たポイントである。勝負が終わった後、ラヴが「もうライダー・カップはこりごりだ。しかしまたもう一度やるのが待ちきれない」と言っていたが、さもありなん。見る方としても、再来年がまた楽しみだ。







< previous                                    HOME

 

34回ライダー・カップ

2002年9月28-30日   ★★★★

英国サットン・コールドフィールド、ザ・ベルフリィ

 
inserted by FC2 system