Rizzoli & Isles    リゾーリ&アイルズ

放送局: TNT

プレミア放送日: 7/12/2010 (Mon) 22:00-23:00

製作: オスター・プロダクションズ、ハードラー・プロダクションズ、ワーナー・ホライゾンTV

製作総指揮: ジャネット・タマロ、ビル・ヘイバー、ジョー・フィールズ

製作: クリス・グリフィン、ボニー・ワイス

監督: マイケル・ロビン

脚本: ジャネット・タマロ

原作: テス・ジェリッツェン

出演: アンジー・ハーモン (ジェイン・リゾーリ)、サッシャ・アレグザンダー (モウラ・アイルズ)、ロレイン・ブラッコ (アンジェラ・リゾーリ)、ブルース・マクギル (ヴィンス・コーサック)、リー・トンプソン (バリー・フロスト)


物語: ボストン警察のリゾーリ (ハーモン) は直情径行猪突猛進型で、捜査はもっぱら足とカンに頼っていた。一方検屍官のアイルズ (アレグザンダー) はすべて理詰めで考えるタイプで、逆にそのためか二人はウマが合い、プライヴェイトでもつき合う間柄だ。リゾーリはかつて連続殺人鬼のホイト (マイケル・マッシー) を逮捕していたが、その時危うく自分も殺されかけたという経緯があり、それがトラウマとなっていまだに心の傷が癒えてなかった。そのホイトの手口に酷似した殺人事件が連続して起こる。しかしホイトはいまだに刑務所にいる。リゾーリらは、ホイトが捕まる前に手口を教えていた弟子がいた可能性を探る。そしてそのホイトが刑務所を脱走したという知らせが入る。彼の狙いはただ一人、好みのタイプと公言するリゾーリだった‥‥


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「リゾーリ&アイルズ」は、今夏、ケーブルTVで最も多くの視聴者を獲得したドラマだ。ボストン刑事の腕利きの刑事ジェイン・リゾーリと、病的に細かい検屍官モウラ・アイルズの女性コンビの活躍を描く。リゾーリを演じるのがアンジー・ハーモン、アイルズを演じるのがサッシャ・アレグザンダーだ。


「リゾーリ&アイルズ」はテス・ジェリッツェンの、二人の活躍を描くミステリ・シリーズのTV化だ。毎回出版されれば確実にニューヨーク・タイムズのベストセラー・リスト入りする人気シリーズだそうだが、最近本は日本の本格ミステリ一辺倒の私は、実はこのシリーズを知らなかった。


人気ミステリ・シリーズというと、私がよく知っているのはジャネット・イヴァノヴィッチのステファニー・プラム・シリーズだ。これだって実は私より先に女房の方が読み出して、面白いから読め読めと勧められたから読んだのであって、さもなければ知らないままだったろう。


そうやっていったん名前を知ると、書店では目のつきやすいところにちゃんと平積みになっていることに気づく。「リゾーリ&アイルズ」もそうで、ちゃんと平積みで何作も置かれている。なんだ、本当に人気シリーズだったのか。そうやって、これまでは目の前にあってもまったく気づかなかったものが、名を知った途端、いきなり目に飛び込んでくるようになる。


「リゾーリ&アイルズ」シリーズは「外科医 (The Surgeon)」がシリーズ第1作で、これが好評なためにシリーズ化された。TV番組としての「リゾーリ&アイルズ」は、シリーズ第2作となる「白い首の誘惑 (The Apprentice)」をプレミア・エピソードとして映像化している。かつてリゾーリが捕らえた連続殺人鬼と同様の手口による殺人が連続して起こる。しかしその男ホイトはいまだに刑務所に収監されている。最初はコピーキャットによる手口を真似ただけの事件かと思われもしたが、それにしては関係者しか知らない些細な点まで酷似している。もしかしてホイトには弟子がいて、彼の犯罪を引き継いでいるのではないか‥‥ というのが第1話だ。


あらすじだけを聞くとかなりシリアスな犯罪ドラマという感じがするが、ところが実はかなりコミカルな要素も多い。同じくTNTの人気ドラマである「ザ・クローザー (The Closer)」に近いと言える。あるいは、コメディ的なライト・ドラマで現在ケーブル・チャンネルで断トツの人気を誇るUSAの「バーン・ノーティス (Burn Notice)」、「救命医ハンク (Royal Pains)」、「コヴァート・アフェアーズ (Covert Affairs)」あたりに挟まれている方がよほどしっくり来るなと思ったくらいだ。「セイヴィング・グレイス (Saving Grace)」のようなこれまでのシリアス色が強かったTNTドラマと比較すると、かなり軽いという印象を受ける。原作はこってりとシリアスなミステリ・ドラマらしいので、これはUSAを真似て視聴者をつかもうと考えているTNTによる意図的なものだろう。


このノリはむしろイヴァノヴィッチだなと思ったのも、私が「ステファニー・プラム」を思い出した理由の一つだ。だったら「リゾーリ&アイルズ」ではなく、なぜ「ステファニー・プラム」シリーズをTV化しないのかと思う。私ですら知っているあれだけの人気シリーズなのだ。しかも元々コメディ・タッチで、いかにもTVシリーズ向きという気がする。それこそUSAがTV化していても不思議はないと思うのだが、もしかしたら作者がTV化を望んでいないのかもしれない。


主人公の片割れリゾーリに扮するハーモンは、3年前にABCが、こちらはジェイムズ・パターソンの人気シリーズをTV化した「ウイメンズ・マーダー・クラブ (Women’s Murder Club)」にも主演していた。刑事役が続くのは、活動的でアスレティックな印象を買われているのだと思うが、しかし番組第2話の冒頭のベイスボールに興じるシーンでバットを構えたフォームから察するに、実は運動神経はそれほどでもないような気がする。リゾーリとコンビ役のアイルズに扮するアレグザンダーは、CBSの人気シリーズ「NCIS」で知られている。


上述のように「リゾーリ&アイルズ」は今夏、だけでなく、これまでのところ今年最大のケーブル・ヒットになっている。これまでのシリアス色が強かったTNTカラーから気持ち軽めになったところが今の視聴者気質とマッチしているようだ。USAのヒット・ドラマ・シリーズといい「リゾーリ&アイルズ」といい、時代はライト・アクションという感触が濃厚だ。








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リゾーリ&アイルズ   ★★1/2

 
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