Red Violin

レッド・バイオリン  (1999年7月)

壮大なドラマではあるが、どうもしっくり来なかった。2時間ちょい、長いな、まだ終わらないのかなと思って見ていた。時代設定や登場人物が変わり、いくらでもドラマティックになって引っ張っていきそうなところを観客にそう思わせてしまうのだから、特に演出力のある監督であるとは言えないと思う。何か、頑張っているのはよくわかるんだけれど。特に最後のオークションのシーンを様々な角度から何度も見せ、何が起こるのかわからないぞと言いたげな演出は、まあわからないんではないが、しかし成功しているかと言うと、なんとも‥‥ 音楽ものは好きなので「ベートーベン」とか「シャイン」とかは堪能したのだが。ジラールはまだ何がなんだかよくわからない「グレン・グールドをめぐる32章」の方が面白かった。


特に違和感のあったのは、話の中で悪の化身のはずだったヴァイオリニストが、むしろ純真な人柄にしか見えなかったことと、最後に平安がもたらされるはずのヴァイオリンが、盗まれることで決着が済んでしまうということ。サミュエル・L・ジャクソンがオークション会場に入り込むシーンなどはそれなりにスリリングで悪くはなかったが。因みに私の女房は、名器なんだから、それに相応しい人に演奏されるようになる、というのが当然の帰結なんではと言っていたが、確かにそれも一理ある。


実は私はヴィクトリアを演じたグレタ・スカツキが結構気に入っている。ヨーロッパ出身だけあって、いかにも気だるい頽廃の感じを濃厚に持っているのがいい。垂れ気味のケツをさらしだす度胸のよさも買う。彼女を発見したのはアメリカのペイTVであるHBOのTV映画「ラスプーチン」で、皇帝ニコライの妃アレクサンドラを演じ、ラスプーチンと爛れた関係になったのを見てからだが、その時もやはりあまりプロポーションがいいとは言えないのに脱ぐ彼女に潔さを感じたものだ。「グッドモーニング・バビロン!」も見ているのだが、その時は気づかなかった。やはり脱がないとだめか。彼女を見ていると「ジェラシー」のテレサ・ラッセルを思い出す。今後もこの路線で頑張ってもらいたい。






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