一人で勝手にノミネートして授賞して盛り上がる個人的アカデミー賞の第10回。
作品賞 (Picture)
アウト・オブ・ザ・ファーナス (Out of the Furnace)
プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命 (The Place Beyond the Pines)
趣味とはいえ骨太ドラマが並んでしまい、「アメリカン・ハッスル」がやたらと浮いて見える。ここへ来てなぜだか誰も話題にしなくなったが、それでも私が推すのは「プリズナーズ」だ。
監督賞 (Director)
ウディ・アレン「ブルー・ジャスミン (Blue Jasmine)」
コーエン兄弟「インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌 (Inside Llewyn Davis)」
バズ・ラーマン「華麗なるギャツビー (The Great Gatsby)」
アレクサンダー・ペイン「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅 (Nebraska)」
マーティン・スコセッシ「ウルフ・オブ・ウォールストリート (The Wolf of Wall Street)」
作品賞ノミニーの監督をそのまま持ってきてもあまり面白くないので、知らないで見ても監督が誰だかわかるヴェテランを並べてみた。この中から選ぶとなると、うーん、今回はアレンという気がするが、しかしあんた、義理の娘の虐待容疑ってのは本当なのか?
主演男優賞 (Actor)
クリスチャン・ベイル「アメリカン・ハッスル」、「アウト・オブ・ザ・ファーナス」
レオナルド・ディカプリオ「華麗なるギャツビー」、「ウルフ・オブ・ウォールストリート」
キウェテル・イジョフォー「それでも夜は明ける」
ヒュー・ジャックマン「プリズナーズ」、「ウルヴァリン: SAMURAI (The Wolverine)」
12年間奴隷として苦渋生活を強いられたイジョフォーに上げたいのは山々だが、しかしそうなると20年間幽閉生活に耐えた「オールドボーイ (Oldboy)」のジョシュ・ブローリンはどうなるのかという話になる。ジャックマン、ディカプリオ、ベイルはそれぞれ印象的な作品に2本ずつ主演しており、こちらも無視できない。さらにその前の「レ・ミゼラブル (Les Miserable)」も考慮して、今回はジャックマン。
主演女優賞 (Actress)
エイミー・アダムス「アメリカン・ハッスル」
ケイト・ブランシェット「ブルー・ジャスミン」、「ミケランジェロ・プロジェクト (The Monuments Men)」
サンドラ・ブロック「ゼロ・グラビティ」
落ちぶれたブランシェット、社交界のブランシェットと、「ブルー・ジャスミン」でほとんど一人二役のブランシェット。
助演男優賞 (Supporting Actor)
ポール・ダノ「プリズナーズ」、「それでも夜は明ける」
マイケル・ファスベンダー「それでも夜は明ける」、「悪の法則」(これは主演だが)
ウィル・フォルテ「ネブラスカ」
ジェイク・ジレンホール「プリズナーズ」
ユリシーズ「インサイド・ルーウィン・デイヴィス」
昨年のリチャード・パーカーに続き、今年も人間外俳優をノミネート。しかしユリシーズはもしかしたら女優かもしれない。しかしここは、あまりにも自然な受けの演技で誰の目からも漏れてしまったフォルテに上げたい。そういえば昨年、個人的にこの賞を進呈した、胡散くささではぴか一だったフィリップ・シーモア・ホフマンも既にこの世にいないのだった。
助演女優賞 (Supporting Actress)
サリー・ホウキンス「ブルー・ジャスミン」
ルピタ・ニョンゴ「それでも夜は明ける」
ルース・ウィルソン「ウォルト・ディズニーの約束 (Saving Mr. Banks)」、「ローン・レンジャー (The Lone Ranger)」
ウィルソンは単純に、顔が好みってのもある。しかしやっぱり助演男優のフォルテ同様、黙って苦行を受け入れるホウキンスは助演に相応しいと思うのだ。
脚本賞 (Original Screenplay)
ウディ・アレン「ブルー・ジャスミン」
デレク・シアンフランス、ベン・コッチオ、ダリウス・マーダー「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ」
アルフォンソ・クアロン、ホナス・クアロン「ゼロ・グラビティ」
アーロン・グジコウスキ「プリズナーズ」
ボブ・ネルソン「ネブラスカ」
エリック・ウォーレン・シンガー、デヴィッド・O・ラッセル「アメリカン・ハッスル」
本当なら作品賞を進呈した「プリズナーズ」のグジコウスキであるべきなんだろうが、そう書こうとすると、「ネブラスカ」が頭の中で明滅してしまうのだった。
脚色賞 (Adapted Screenplay)
ジョン・リドリー「それでも夜は明ける」
テレンス・ウィンター「ウルフ・オブ・ウォールストリート」
原作は絶対政治色の強いノン・フィクションのはずだが、それを大河コメディに改稿してしまったウィンターに。
外国語映画賞 (Foreign Language Film)
一昨年、改装のために外国語映画をよくかけるわりと近めの劇場が休館、先頃やっと再オープンした。これでまたアカデミー賞の外国語映画賞にノミネートされるような作品が見られるようになることを望む。