一人で勝手にノミネートして授賞して盛り上がる個人的アカデミー賞の第8回。
作品賞 (Picture)
「ファミリー・ツリー (The Descendants)」
「ドライヴ (Drive)」
「ヒューゴの不思議な発明 (Hugo)」
「スーパー・チューズデー (The Ides of March)」
「J.・エドガー (J. Edgar)」
「ウィン・ウィン (Win Win)」
並べてみると、今年は粒は揃っているものの、この一本という特に推したい気にさせる作品というのはなかった。「アーティスト」ももちろんいいが、しかし、これが年間を代表する作品かというと、ちょっと考えてしまう。それならば私としては「ウィン・ウィン」を推したい。「ミッドナイト・イン・パリ (Midnight in Paris)」だって、ウディ・アレンにはもっといい作品が腐るほどある。楽しいといえば非常に楽しくはあったが。というわけで候補を並べてみると、やはりそれはそれで皆、上質という感じでどれにするか悩むのだった。今、この瞬間に選ぶとすれば「ファミリー・ツリー」かな。
監督賞 (Director)
トマス・アルフレッドソン「裏切りのサーカス (Tinker Tailor Soldier Spy)」
ミシェル・アザナヴィシウス 「アーティスト (The Artist)」
クリント・イーストウッド「J.・エドガー」
トマス・マッカーシー「ウィン・ウィン」
アレクサンダー・ペイン「ファミリー・ツリー」
マーティン・スコセッシ「ヒューゴの不思議な発明」
ニコラス・ウィンディング・レフン「ドライヴ」
ここにテレンス・マリック「ツリー・オブ・ライフ」を入れられないところが歯がゆい。イーストウッドもスコセッシも彼らの実力を知らしめてくれたが、かといって今回の作品が彼らのベストかというと、それらよりもいい作品を既に過去に撮っている。しかしこうやって作品を並べてみると、どれも彼らが撮った作品とすぐわかる刻印をちゃんと定着させており、感心する。結局どれが監督賞でも納得なのだが、やっぱりイーストウッドに与えてしまうのだった。
主演男優賞 (Actor)
ジョージ・クルーニー「ファミリー・ツリー」
レオナルド・ディカプリオ「J.・エドガー」
ポール・ジアマッティ「ウィン・ウィン」、「アイアンクラッド (Ironclad)」
ライアン・ゴズリング 「ドライヴ」、「スーパー・チューズデー」
マイケル・シャノン「テイク・シェルター (Take Shelter)」
「ウィン・ウィン」1本だけならさすがにどんなに上手と思ってもジアマッティにあげることはなかったと思うが、しかし、「アイアンクラッド」の魂抜けた演技もあるし。
主演女優賞 (Actress)
ルブナ・アザバル「灼熱の魂 (Incendies)」
メリル・ストリープ「マーガレット・サッチャー (The Iron Lady)」
アマンダ・サイフライド「赤ずきん (Red Riding Hood)」、「Time/タイム (In Time)」
ミシェル・ウィリアムズ「ミークズ・カットオフ (Meek’s Cutoff)」
サイフライドは将来性を買った。ウィリアムズは独特の存在感に。しかし選ぶのはストリープかアザバル。今回私が選ぶのはアザバル。
助演男優賞 (Supporting Actor)
ケヴィン・ベーコン「X-Men: ファースト・ジェネレーション (X-Men: First Class)」
ニック・クラウス「ファミリー・ツリー」
アーミー・ハマー「J.・エドガー」
タイ・シンプキンス「インシディアス (Insidious)」
「裏切りのサーカス」のサーカスの面々
クラウスの間抜けさ加減って、なぜだか非常に印象に残っている。しかしここはハマー。
助演女優賞 (Supporting Actress)
ローズ・バーン「インシディアス」、「ブライズメイズ (Bridesmaids)」、「X-メン: ファースト・ジェネレーション」
ジェシカ・チャステイン「ザ・デット (The Debt)」、「テイク・シェルター」
キャリー・マリガン「「ドライヴ」
レスリー・マンヴィル「家族の庭」
「ヘルプ (Help)」で実際にオスカーにノミネートされているチャステイン。「テイク・シェルター」1本でも充分あんたにあげる。
脚本賞 (Original Screenplay)
ウッディ・アレン「ミッドナイト・イン・パリ」
ミシェル・アザナヴィシウス 「アーティスト」
トマス・マッカーシー「ウィン・ウィン」
ここは「アーティスト」のアイディア勝ちだな。
脚色賞 (Adapted Screenplay)
ジョージ・クルーニー、グラント・へスロフ、ボー・ウィリモン「スーパー・チューズデー」
ジョン・ローガン「ヒューゴの不思議な発明」
アレクサンダー・ペイン、ナット・ファクソン、ジム・ラッシュ「ファミリー・ツリー」
「ヒューゴ」と脚本賞の「アーティスト」と併せて、今回は映画の創生期へオマージュが捧げられることになった。
外国語映画賞 (Foreign Language Film)
「灼熱の魂」
「サラの鍵 (Sarah’s Key)」
「灼熱の魂」。