一人で勝手にノミネートして授賞して盛り上がる個人的アカデミー賞の第5回。



作品賞 (Picture)

「グラン・トリノ (Gran Torino)」

「愛を読むひと (The Reader)」


別に2008年が特に不作の年だったとは思わないし、「グラン・トリノ」のクリント・イーストウッドにしても他にも「チェンジリング」という良作があり、それを入れてもよかったし、「フロスト/ニクソン」「スラムドッグ・ミリオネア」「ミルク」「ダウト」「ベンジャミン・バトン」も非常に楽しんだ。「アイアンマン」「ダークナイト」「バーン・アフター・リーディング」という線も本気で考えた。「ザ・レスラー」「フローズン・リヴァー」という小粒ながら佳作も捨て難い。


とはいえ今回は、候補に挙げた上記2作のどちらかしか考えられないので、あえてその他の作品には目をつぶった。そして私がどうしてもイーストウッド作品を選んでしまうのは、彼の作品には生きる勇気が詰まっているからだ。イーストウッド作品を同時代で見ることのできる我々は仕合わせだ。



監督賞 (Director)

コーエン兄弟「バーン・アフター・リーディング」

スティーヴン・ダルドリー「愛を読むひと」

クリント・イーストウッド「チェンジリング」、「グラン・トリノ」

ロン・ハワード「フロスト/ニクソン」

ウォン・カーウァイ「マイ・ブルーベリー・ナイツ」

ギャビン・オコーナー「プライド・アンド・グローリー」

M. ナイト・シャマラン「ハプニング」


フィンチャーは、視覚化不可能と言われている原作に取り組んだこと自体は評価できても、それに見合う結果が出たかは疑問なのであえて外した。どんなにけなされてもどの作品にも印象的なイメージが必ずあるシャマランは、どうしても入れてしまう。コーエン兄弟やハワードの職人芸、相変わらず新鮮なカーウァイ等も印象に残っている。ダルドリーは堅実。ここにさりげなくオコーナーを入れてしまうのが私の趣味。いずれにしてもやっぱりここは、「グラン・トリノ」だけでなく「チェンジリング」もあるイーストウッド。



主演男優賞 (Actor)

レオナルド・ディカプリオ「レボリューショナリー・ロード」

ロバート・ダウニーJr.「アイアンマン」

ショーン・ペン「ミルク」

ミッキー・ローク「ザ・レスラー」


ダウニーJr.は「トロピック・サンダー」で助演男優というよりも断然こちらの方が相応しい。ディカプリオは歳をとるほどよくなるが、それでもまだ完全に顔が役に追いついていない。あと4、5年経ったら本当にディカプリオの時代が来るだろう。ペンはいつの間にか重鎮。ロークの復活は涙なしでは見られなかった。悩んだ末、ここはロークに。



主演女優賞 (Actress)

メリッサ・レオ「フローズン・リヴァー」

メリル・ストリープ「ダウト」

ケイト・ウィンスレット「愛を読むひと」、「レボリューショナリー・ロード」


貫禄のストリープ、円熟しつつあるウィンスレット、体当たりの熱演のレオ、どれも受賞に相応しいが、鳥肌もんの興奮をもたらしてくれたストリープは頭一つ抜きん出ていた。



助演男優賞 (Supporting Actor)

ジェイムズ・フランコ「ミルク」

フィリップ・シーモア・ホフマン「ダウト」

ヒース・レッジャー「ダークナイト」

マイケル・シーン「フロスト/ニクソン」

ジョン・ヴォイト「プライド・アンド・グローリー」


今年はレッジャーがいたことがその他のノミニーの不運。



助演女優賞 (Supporting Actress)

エイミー・アダムス「ダウト」

ヴィオラ・デイヴィス「ダウト」

アーニー・ハー「グラン・トリノ」

エイミー・ライアン「チェンジリング」

ティルダ・スウィントン「ベンジャミン・バトン」

マリッサ・トーメイ「ザ・レスラー」


だいたいここはいつも悩むが今年もそれは同じ。昨年が例外だった。本当に名を挙げただけでその人の出たシーンが即座に脳裏に甦る。ここは、うーん、デイヴィスに一票。



脚本賞 (Original Screenplay)

コーエン兄弟「バーン・アフター・リーディング」

アンドリュウ・スタントン「ウォーリー」

J. マイケル・ストラジンスキー「チェンジリング」


久しぶりに童心に帰ったような気分で楽しませてくれた「ウォーリー」に。



脚色賞 (Adapted Screenplay)

ピーター・モーガン「フロスト/ニクソン」

ジョン・パトリック・シャンリー「ダウト」

デイヴィッド・ヘア「愛を読むひと」


私の印象では本当は「ダウト」も「フロスト/ニクソン」も脚本賞に方に入れるのが筋かと思ったんだが、そうするとあまりに脚本賞の方が激戦区になり過ぎてしまうのでバランスをとってこうした。この中では、あー、うー、難しい。どれもいいが結局ヘア。



外国語映画賞 (Foreign Language Film)

「リプライズ」ヨアキム・トリアー


ヨーロッパではそれなりに評価されているようだが、アメリカではあまりに過小評価されているというか、ほとんど話を聞かないので、ここは私が宣伝しておく。








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ごくごく個人的なアカデミー賞    (2009年2月)

 
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