初日: フォーサム


前回に引き続きインターナショナル、グレッグ・ノーマン、USAフレッド・カップルスのキャプテンで挑む今回のプレジデンツ・カップ、場所はオーストラリアだ。近年のカップはUSAがインターナショナルを圧倒しているので、今回は接戦を期待する。


とはいえ勝負を上回る注目は、キャプテンズ・ピックで登場したタイガー・ウッズだ。先週はオーストラリアン・オープンに出場し、3位に入って復活をアピールした。それでも今回結果を残せなければ、ウッズだけでなく、ウッズを選んだカップルスもボロクソ言われるに決まっている。ここは正念場だ。


そのウッズが初日、今夏クビにした元キャディのスティーヴ・ウィリアムズをキャディとして雇ったアダム・スコットと対戦する。むろんウッズがスティーヴと勝負するわけではなく、ウッズ/スティーヴ・ストリッカー組とスコット/K. J. チョイ組が対戦するわけだが、巷ではウッズとスティーヴ (W) ばかりに話題の焦点が当たる。この組み合わせはもちろんノーマン、カップルスの意図的なもので、これによって外野の火消しを図ったものだ。


第6マッチのこの勝負、開始前にウッズもスティーヴ (W) と握手を交わし、予定通りにこの話に幕を引く。しかし勝負の方は予定通りには行かず、前回と打って変わってまるで調子の出ないウッズ/ストリッカー組は、まるでいいところなく、スコット/チョイ組に7&6という大差で敗れる。


第1マッチの石川遼/アーニー・エルスは、バッバ・ワトソン/ウェブ・シンプソンと対戦、前半は調子よさそうだったがすぐ挽回され、4&2で敗れる。第2マッチはビル・ハーズ/ニック・ワトニー (US) とジェフ・オグルヴィ/シャール・シュワーツェル (Int’l) がAS、第3マッチ、ダスティン・ジョンソン/マット・クッチャー (US) とアーロン・バッデリー/ジェイソン・デイ (Int’l) もAS、第4マッチ、フィル・ミッケルソン/ジム・フューリック (US) がレティーフ・グーセン/ロバート・アレンビー (Int’l) を4&3で下し、第5マッチはハンター・メイハン/デイヴィッド・トムズ (US) がキュン-テイ・キム/Y. E. ヤンを6&5で下す。


結局この日インターナショナルで勝ったのは最後の組のスコット/チョイ組だけで、ウッズ/ストリッカーは完膚なきまでに叩きのめされたという格好。 これで初日、USA4ポイント、インターナショナル2ポイント。



2日目: フォーボール


第1マッチのエルス/石川組はこの日も不調、というか特に石川が不調で、ワトソン/シンプソン組にまたもや2&1で敗れる。第2マッチではウッズもまたたま勝てず、ジョンソンと組んでバッデリー/デイ組と対戦するも、1ダウンで敗れる。


第3マッチはミッケルソン/フューリックがスコット/キムを2&1で下し、第4マッチはチョイ/オグルヴィがハーズ/ワトニーを1アップで下す。第5マッチはクッチャー/ストリッカーがアレンビー/ヤンを4&3で下し、第6マッチはシュワーツェル/グーセンがメイハン/トムズを2&1で下す。これでこの日USA、インターナショナル、共に3ポイントずつを獲得して、通算USA7ポイント、インターナショナル5ポイント。



3日目: 午前: フォーサム


乾いて風が強かった最初の2日間からがらりと変わって雨模様の第3日、三度ペアを組んだエルス/石川組が、クッチャー/ハーズを1アップで下し初白星を挙げる。午前でインターナショナルが獲得したポイントはこの1勝だけだったから大きい。特に石川は16番の10フィート、17番15フィート、18番下りの難しい4フィートの、3 つとも外すとホールを落とす重要なパットを連続して沈めた。午後のフォーボールのスケジュールはフォーサムの途中で発表になるが、これを見た後だったらノーマンも午後石川を休ませずに再度起用しただろうに。


他の午前の結果はワトソン/シンプソンがアレンビー/オグルヴィを1アップ、メイハン/トムズがグーセン/シュワーツェルを5&4、 ウッズ/ジョンソンがスコット/チョイを3&2、ミッケルソン/フューリックがデイ/バッデリーを2&1とUSAがすべて勝った。ウッズも今回初白星。USA4ポイント、インターナショナル1ポイントで、これでUSA11ポイント、インターナショナル6ポイント。午後もこの調子だと早々と勝負が決まってしまう。なんとかインターナショナルに頑張ってもらわないと。



午後: フォーボール


時折強い雨が降る午後のフォーボール、まずグーセン/シュワーツェルがワトソン/シンプソンを2&1で下して、初めて今回ワトソンとシンプソンに土をつける。キム/ヤンもジョンソン/ウッズを1アップで下す。ウッズのカップの縁に蹴られるパットが数個入っていただけで、結果はまるで逆になっていただろう。オグルヴィ/チョイもストリッカー/クッチャーを1アップで下すが、残る2マッチはUSAのハーズ/メイハンがバッデリー/デイを2&1、フューリック/ワトニーがエルス/スコットを1アップで下す。フォーボールはUSA2ポイント、インターナショナル3ポイントで、これで通算してUSA13ポイント、インターナショナル9ポイントと4ポイント差。さて、インターナショナルはシングルスで挽回できるか。



最終日: シングルス


前半を若手、後半をヴェテランで固めたUSAの若手勢が前半ことごとくインターナショナルに敗れる。キムがシンプソンを1アップ、シュワーツェルがジョンソンを2&1、石川がワトソンを3&2、オグルヴィがハーズを2アップで下す。特に石川/ワトソン戦で、石川1ダウンで迎えた3番パー3で、石川のティ・ショットでボールがグリーンから転がり落ち、2打目も届かずほとんど同じ場所に転がり落ちてきた時は、これで2ダウン、ダメだこれは勝てないとほとんど諦めた。その直後にワトソンのバーディ・パットもグリーンを転げ落ち、逆に石川がボギーでホールをとった時には、これがマッチ・プレイの醍醐味と思わせられた。これで流れが変わってあとは押せ押せになったわけだから、本当にマッチ・プレイってわからない。


一方、今回わりと台風の目的存在だったデイはこの日何をやってもうまくいかないという感じで、メイハンに5&3といいところなく敗れる。ワトニーもチョイを3&2で下す。スコットはミッケルソンを2&1、グーセンもクッチャーを1アップで退けるも、残りのマッチはわりとUSAが大差でリードしており、前回より数字の上では競っているとはいえ、どう見てもインターナショナルに勝ち目はない。フューリックはエルスを危なげなく4&3で下して今回5戦全勝。トムズはアレンビーを7&5と、完膚なきまでに叩きのめす。


最終的な決着は、この日安定して、こういう時はこの男はまず負けないというウッズがバッデリーを4&3で下した時点で着いた。その後ストリッカーもヤンを2&1で下した。シングルス成績はUSA、インターナショナル、共に6ポイントずつを分けあった。最終的なスコアはUSA19ポイント、インターナショナル15ポイント。


2003年の引き分けという灰色決着の影響で、現在プレジデンツ・カップのシングルスにはハーヴドはなく、すべてどちらかが勝つまで続くそうだ。しかし、それでも最終的にポイント同数となる可能性もあると思うんだが、その時はやはり代表を出してサドン・デスになるのだろうか。


今回キャプテンのピックだったUSAのウッズとハーズは、実は二人とも負けている方が多いのだが、それでも勝つ時は印象的な勝負を演出したり重要なポイントだったりで、それなりに活躍したという印象があった。一方インターナショナルの方は、バッデリーはともかくアレンビーが大誤算の5戦全敗で、このうち一つ勝っていただけでどう勝負が転んだかわからなかった。ノーマンのチョイス・ミスという指摘は避けられず、次回ノーマンはキャプテンには任命されないことがほぼ決まっているらしい。




最終結果

USA 19  – インターナショナル 15









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9回プレジデンツ・カップ   ★★★

2011年11月17日-11月20日

オーストラリア、ヴィクトリア、メルボルン、ロイヤル・メルボルン・ゴルフ・クラブ

 
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