第6回プレジデンツ・カップ

2005年9月22-25日   ★★★★

ヴァージニア州ゲインズヴィル、ロバート・トレント・ジョーンズ・ゴルフ・クラブ

初日: フォーサム

USAはタイガー・ウッズとフレッド・カップルスという強力ペアを第一ペアとして送り込んで勢いをつけようとするも、この二人の調子が今一つで、対するレティーフ・グーセン/アダム・スコットに徐々に差をつけられる。相手だって世界の一流だから、二人とも好調とは言えないというただそれだけが、結果には大きく反映してくる。結局グーセン/スコット組が始終ウッズ/カップルス組を圧倒、4&3で危なげなく勝った。


うってかわって二人のうち一人が好調なら勝てることを証明したのがインターナショナルの最終ペアのトレヴァー・イメルマン/マイク・ウィアー組で、USAのデイヴィッド・トムズ/スチュアート・シンク組を相手に、6&5の完勝。特にイメルマンは、グリーン脇から100フィートのパットを沈めるなど絶好調で、ウィアーはイメルマンの足を引っぱりさえしないようにしていればよかったという感じだった。トムズは先週、心臓の調子が悪くて緊急入院という事態に陥ったが、プレジデンツ・カップには出場してきた。しかし、それでこんな大差で破れたんじゃ本人もがっかりだろう。結局初日はインターナショナル3 1/2 -- USA2 1/2と、インターナショナルが1ポイント、リードする。



2日目: フォーボール

前回は2日目にフォーボールとフォーサムだったが,今回は2日目はフォーボールだけだ。要するにギャラリーの多い週末にフォーボール、フォーサム、そして最終日にシングルスと見せ場を持ってこようという段取りだろう。そうすると全部に出るゴルファーは週末3ラウンドをプレイしなければならず、大変だとは思うが,確かにそちらの方が盛り上がりそうだ。


この日はこれまでなぜだかプレジデンツ・カップでのフォーボールで6連敗というまさかの記録を作っていたウッズが、初めてジム・フューリックと組んでスチュアート・アップルビー/マーク・ヘンスビー組を3&2で下す。結局この日は2マッチがタイ、2マッチがインターナショナル,2マッチをUSAがとって共に3ポイントずつを足し,通算インターナショナル6 1/2、USA5 1/2と、1ポイント差のまま週末を迎える。



3日目: フォーサム/フォーボール

午前中のフォーサム,出足はUSAチームが好調で,5マッチのうち4マッチをリードする。ところが後半,段々インターナショナルが挽回,追いついたり競り始めたりで俄然面白くなる。その中の白眉はやはりウッズ/フューリック対シング/アップルビーだろう。ウッズ/フューリックは途中まで2アップでリードするも追いつかれ,逆に1ダウンとリードを奪われた16番パー4で、シングはショート・サイドのバンカー・ショットをカップを20フィート・オーヴァーさせるのが精一杯。一方ウッズは、グリーン奥の,ラフからとはいえまったく埋まっておらず,むしろ入れる気満々に見えた20フィートのチップ・ショットを打ち損ねて10フィート、ショート。アップルビーはかなり難しい左曲がりのパットを沈め,逆にフューリックはパー・パットをはずす。一打毎にアドヴァンテージの針が両極端に揺れた結果は、結局シング/アップルビーがホールをとって,残り2ホールで2アップ。


勝負あったかに見えたが,17番パー4でウッズが第2打をピンそば3フィートにつけ、フューリックがバーディ・パットを決めて一つ返す。18番パー4では、今度はフューリックが第2打を3フィートにつけ、ウッズがパットを沈めて,ついにタイにまで持ち込んだ。今回はアメリカでの開催であり,当然ギャラリーのほとんどはウッズ/フューリックを応援しているとはいえ,こういう追い上げはいかにも盛り上がる。


さらに直後のデイヴィス・ラヴ3世/シンク組は,途中までウィアー/イメルマン組を4アップでリードしておきながら追い上げられる。ラヴ/シンク1アップで迎えた17番では、シンクのピンそば1フィートにつける第2打に対し,「Good shot」と言ったウィアーの発言を「It's good」と解したラヴがボールをピック・アップしてしまい,俺はコンシードしていないとするウィアーのアピールにより、一時は関係者全員グリーン上に集まって騒然とした。結局ウィアー/イメルマンはラヴ/シンクのバーディを認めるも、ウィアーもバーディ・パットを沈め,ラヴ/シンク1アップのまま勝負は18番へ。グリーンで先にパットを打ったシンクは1フィート・ショートでパーはコンシード。これを入れないと負けてしまうイメルマンの20フィートのバーディ・パットは,入ったかと思った瞬間にカップ左端に弾かれ,1アップでラヴ/シンクが勝った。


一応ジェントルマンらしく皆プレイしているのだが,勝負は勝負。こうやってゴルファーの勝とうとする気持ちが出てきて勝負に執着し始めると、見てる方としては面白くなるのは当然だ。これで3日目の午前を終わって勝負は両者8 1/2ポイントと,デッド・イーヴン。面白くなってきたぞ。


午後のフォーボールもどちらも譲らない。ウッズ/フューリックはまたまたシング/アップルビーと対戦,午前でミス・ショットを打ってしまった16番で、ウッズは今度はバーディ・パットを決めて1アップ。得意のガッツ・ポーズが出ると,ギャラリーからUSA、USAの歓声が上がる。勝負に燃えるのはいいが、あまり国粋主義に走るのもな。とはいえオリンピックと同じく、こういう国別対抗だからチーム一丸となって勝負が白熱するという面は確かにある。しかしシングが面白く思ってないのは確かで,16番でたぶんウッズがパットを決めるのを予感したんだろう、その前に彼は17番ティに歩いて行ってしまっていた。その前のホールではフューリックがパットを決めると割れるような歓声なのに,直後にシングがパットを決めてもぱらぱらとした拍手だけで、シングは耳に手を当てて俺に拍手は? のパフォーマンス。拍手くらいしてやれよ。結局勝負の方は18番でシング/アップルビーが共にバーディのチャンスをミスった時点で勝負をタイに持ち込む可能性もなくなり、その後のウッズのパットを待たずにコンシード,公式記録はウッズ/フューリックの2アップということになった。


しかしそれにしても、今回はインターナショナルに膝の故障でアーニー・エルスがいない。そのため特にインターナショナル側では焦点はシングに当たるのだが,ギャラリーの対応は冷たいよねえ。いずれにしても午後の勝負もどちらも2勝2敗1分けで、両者11ポイントのまま明日の最終シングルスを迎える。さて今回のプレジデンツ・カップはどういう結末を迎えるのか。



最終日: シングルス

プレイが始まってからしばらくはほとんどのマッチをUSAが支配,12マッチ中9マッチをUSAがリードしてしまい,おいおい,なんだよ,ここまで期待させといて,最後はこんな大味で締めくくるつもりかよとがっくりしてしまう。実際,日曜日,USAは最初のレナードから3マッチ連続勝利で、最後の1時間まではUSAの勝利は盤石に見えた。それがいったいいかなる勝負の女神のいたずらか,ほとんどUSA支配に見えたシングルスが最後の最後になってインターナショナルの挽回によって縺れ始める。


好調に見えたウッズが、淡々としたグーセンの驚異的な60フィートのロング・パットによって (しかも2回も!) 1&2で負けたのが、もしかしたらと思わせる契機だったかもしれない。リードされていたウィアーがヴァープランクに逆転勝ちしたのもあったかもしれない。いずれにしても、気がつくと勝負はUSA17ポイント,インターナショナル15ポイントで、最後の2マッチ、USAミッケルソン vs インターナショナル エンゲル・カブレラ,およびラストのインターナショナルのアップルビー次第となっていた。しかもこの両方とも前半はUSAがリードしていたのを,後半になってカブレラとアップルビーがバーディ・ラッシュで猛追して追いつくという手に汗握る展開で,よくはわからんがインターナショナルにもチャンスがまだ残っているようだ。


しかし逆転されたミッケルソンが,18番で今度はバーディをとってマッチをオール・スクエアに戻し,USAがハーフ・ポイントを追加してポイント過半数の17 1/2ポイントに達し,ついに勝負に決着がついたかに見えたらそうじゃなかった。要するに前回のカップのタイでの灰色決着をなくすためか、どうやら今回のシングルスにはハーヴドはないようだ。ミッケルソンとカブレラはお互いに勝負は終わったもんだと思って握手までかわしていたのに,そうじゃないとオフィシャルから言われて,二人とも慌てて1番ティへ向かう。なんだ,終わってないのかと目を丸くして驚いていたミッケルソンが印象的だった。しかしこの辺,実際どうもよくルールがわからない。このまま勝負を続けてカブレラとアップルビーが勝ってしまった場合,そうするとポイントは両チーム17ポイントで並んでしまう。そうなったらそこでまた誰か代表を出してプレイオフがあるのか。どうもよくわからない。


いずれにしてもミッケルソンとカブレラが1番グリーンにいる時,18番グリーンではアップルビーがついに力尽きて1ダウンで破れ,その時点でUSAが18ポイントに達し,結局ミッケルソン vs カブレラはハーヴドになった。しかしそこで終わるくらいなら延長させた意味がないんじゃないの? やっぱりプレジデンツ・カップのルールは今イチ曖昧だ。次回もまたなんらかのルール改正は避けられないだろう。結局公式の最終スコアは、USA18 1/2ポイント、インターナショナル15 1/2ポイントとなった。


最終日は上記のグーセンのロング・パットを筆頭に,14番パー5で、バンカーからの下りの難しいイーグル・ショットを決めたイメルマンと、それにやはりイーグル・パットを決めて答えたトムズのマッチ,98年の最終マッチの繰り返しとなって、今回もやはりカップルスがシングをうっちゃった勝負、そして文句なしに最後の2マッチなどなど、印象的なマッチ、ショットが目白押しだった。近年はプレジデンツ・カップの方がライダー・カップより面白い。それにしてもエルスは,本当にプレイしたかったろうなあ。





< previous                                    HOME

 
 
inserted by FC2 system