プレイヤーズ・チャンピオンシップ

2002年3月21-24日   ★★★★

フロリダ州ポンテ・ヴェドラ・ビーチ、TPCアット・ソウグラス

まずはフィル・ミッケルソンから始めなければなるまい。初日この難コースを8アンダー64で回り首位に立ちながら、2日目、そのアグレッシヴさが逆に災いして3オーヴァー75を叩き、5アンダーとなる。ミッケルソンが負ける時は、だいたいいつも独り相撲をとっての自滅と相場が決まっているので、2日目が終わった時点で、ミッケルソンはもうちょっとコンサーヴァティヴにプレイするのが、メイジャーに一番の近道じゃないのかと、また言われた。しかしミッケルソンはこれからも攻めのゴルフを展開すると言明した。


そして3日目、10番パー4のグリーン上での15フィートからの5パットは、またしてもミッケルソンを自滅に導いただけでなく、改めてミッケルソンのゲーム・メイキングに疑問を投げかける結果となった。私も見ていて自分の目が信じられなかった。3パットじゃない、5パットである。しかもマスターズじゃない。届かなければ入らないとばかりに強めに打つから、外れたらまた4フィート残す。最初の15フィート以外は、全部4フィートからの4パットだった。5パット目には解説のジョニー・ミラーが今、ミッケルソンの血は逆流しているに違いないと言っていたが、本当にそうだったと思う。結局ミッケルソンはこの日も75を叩き、優勝戦線から脱落した。私はミッケルソンのプレイ・スタイルは好きなのでいつかはメイジャーも手にしてもらいたいと思うが、本当に彼は自分のゴルフを見直す時が来ているかも知れない。


その3日目を終わって首位は、ツアー未勝利のカール・ポールソンが9アンダー、1打差8アンダーでやはり未勝利のニュージーランダー、クレイグ・パークスが続く。しかしこのトーナメント、これまでツアー未勝利のゴルファーが優勝したことはない。このままポールソンとパークスが上位に留まっていられるとは到底思えない。さりとてタイガー・ウッズも3アンダーと、ちょっと難しいか。


最終日、やはり思ってた通り、ポールソンとパークスが踏ん張ってはいるが、それでも徐々に沈みだす。しかしその他のゴルファーも集団から抜け出すまでには至らない。そのため、この日67のベスト・スコアを叩き出し、彼らより2時間も早くホール・アウトしたスティーヴン・エイムスが6アンダーとなって首位に立つ。これが目標スコアだ。


エイムスの他にはロッコ・メディエイトやビリー・アンドラーデ、ジェフ・スルマン、スコット・ホーク、マイク・ウィアー、セルジオ・ガルシア、デイヴィッド・トムス等が4アンダーや5アンダーで並んでいるが、ちょっとでも気を抜くとすぐボギーを叩いたり、17番パー3、18番パー4と続く最後の難所があるため、まったく誰が勝つかわからない。USオープン的な古典的な我慢較べが展開する。結局エイムスの6アンダーに誰も到達できないまま、これはエイムスが勝つかと思われた。


それをひっくり返したのは、直前までは一時的に沈み、もうダメかと思われたパークス。パークスはバック9に入って、2フィートのパー・パットを外すのが2回もあるなど、緊張の糸が切れたようでもうダメかと思われたのを、16番パー5で、池ぽちゃになるかと思われたがぎりぎりでラフにひっかかって止まった第3打を直接ホールに放り込んだイーグルで7アンダーと返り咲き、続く17番パー3でもバーディを奪い、いきなり8アンダーとなって、エイムスに2打差をつけてトップに立つ。2ストロークスあれば、続く18番でティ・ショットをフェアウェイ左側の池に落とさない限り、逃げ切れるか。


多分パークスもそう考えたのだろう、右を狙い過ぎたティ・ショットは大きくフェアウェイを外れ、第2打はフェアウェイに出すだけ、第3打もグリーン・オーヴァーしてしまい、ラフに埋まる。いくら2打リードしてても、これじゃまだまったくわからない。第4打のチップをよほど近くに寄せないと、ボギーどころかダブル・ボギーとなってプレイ・オフの可能性は非常に高い。


誰もがそう思った中を打ったパークスの第4打は軽く空中に上がり、グリーン上に落ちた後、するすると転がってカップに吸い込まれていった。16番のチップ・ショットを彷彿とさせる劇的なチップ・インで、16番だけでも一生に一度もんだと思われたのに、この短時間でそれを2度もやってのけたのだ。しかも17番の30フィートのバーディ・パットだって、私が見た限り、この日このホールでバーディを奪ったのはパークスだけだった。最後の3ホールのイーグル、バーディ、パー・フィニッシュは、確かいつぞやのこのトーナメントで、確かフレッド・カップルスがほとんど似たようなフィニッシュで優勝をさらったというのがあった。この難しいコースで、優勝がかかった最終日、最後の3ホールを3アンダーで上がれば、文句なしに優勝に値するだろう。しかもそのうちの2回はそれほど距離はなかったとはいえ、ラフから直接カップに放り込むという離れ業で、いやあ、見事でした。結局パークスは8アンダーで、エイムスに2打差をつけて初優勝、メディエイトが5アンダーで単独3位に入った。ウッズが優勝に絡んでこなかったのは残念だが、実に手に汗握る、白熱したいい勝負だった。







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