先週のベイ・ヒル招待も勝って、最近17戦中11勝、優勝率6割以上という驚異的な勝ち星街道を突っ走るタイガー・ウッズ。しかしウッズはアマチュア時代はともかく、プロになってからというものプレイヤーズ・チャンピオンシップが開催されるソウグラスTPCではあまりいい成績を上げてなく、過去3年12ラウンドして一度も60台で回ったことがない。しかし最近のウッズを見ていると、今年こそはなんかやってくれそうな気がしていた。


最初の2日間を見る限り、ウッズは71-71と今年もまだ完全にソウグラスを攻略できていない。しかし今回のプレイヤーズ・チャンピオンシップ、最大の見せ場は3日目にやってきた。この日、ついにソウグラスと折り合いをつけたウッズは、1イーグルを含む66で回り、一挙に8アンダーまでスコアを伸ばす。しかし初日から首位を走るハル・サットンはウッズ以上にできがいい。69-69で折り返したサットンの3日目のパッティングは絶好調。20フィート以内ならすべて沈める。好調のウッズのさらに上をいき、12アンダー、2位のウッズに一時は6打差をつける。サットンがこの調子を維持するなら、掴まえるのはいくらウッズであろうともまず不可能。いずれにしても勝負は完全にこの二人に絞られた。


そして終盤、ソウグラス最大の見せ場である17番、アイランド・グリーンのパー3を迎える。ウッズのショットはグリーン奥のファースト・カットでバウンドした後バック・スピンが効いて戻り、一瞬ひやっとするが無事パーで終える。しかしサットンの場合は状況が違う。この日最終組で一緒にラウンドしたオマー・ユーレスティは、当然崩れるだろうとは思っていたが予想以上の大崩れで、なんと80を叩く。そうするとどうしても一緒にプレイするサットンにもそこはかとなく影響が出てくる。


17番、目の前で池ぽちゃのユースティを見たサットンはつられるかのように自分も池に落としてしまう。さらにドロップしたボールをまたグリーン・オーヴァーで池に落としたユーレスティを見たサットンは、反動でグリーン手前に落とし、バック・スピンのかかったボールは池に落ちる手前まで戻ってラフに引っ掛かってやっと止まる。しかしほとんど池に落ちるぎりぎりのところで、足場がない。無理やりパットしたボールは30フィートもショート。そこから2パットして痛恨のトリプル・ボギー6。9アンダーまでスコアを落とし、8アンダーで終えたウッズとなんと1打差。最終日に大期待で3日目を終える。明日が待ち遠しい!


最終日はサットン、ウッズ両者ともパットが決まらず、共にスコアを伸ばすことができないまま迎えた12番ホールで雷雨が近づいてきたため翌日に順延。ウッズのパットの調子が悪く、逆転するどころか再び3打差になるなどちょっとめりはりを欠いていたから、その方がよかったかも。しかし月曜朝9時から始まった残りのラウンドでも二人とも今一つの出来。ウッズはいきなり3パットして、差を4打差まで広げてしまう。しかし15番パー3でバーディを奪って3打差に戻した後のクライマックスは、16番パー5でやってきた。残り195ヤードの5アイアン・ショットは、右に池があるグリーンの、その右端に切ってあるカップのさらに右に向かう。「ピンの右に向かっている‥‥」という実況を聞きながら、えっ、えっ、と一瞬言葉を失う。しかしボールはグリーン・エッジで止まり、カップまで15フィートのイーグル・チャンス。


一方のサットンはドライヴァーをラフに入れたため、手堅く3オン。バーディ・パットも外す。そしてウッズのイーグル・パット。後にサットンもウッズは絶対入れてくると思ったと言ったように、ウッズのパットはカップを目指してきれいな弧を描く。そしてボールがカップに沈む前から、出ましたウッズ得意の摺り足ガッツ・ポーズ!イーグル!そして1打差!しかもサットンはまだプレッシャーのかかったパー・パットが待っている!しかしサットンは手堅くこれを沈めて1打リードしたまま17番アイランド・ホールへ。


ウッズのティ・ショットはグリーン回りのラフに引っ掛かってしまう。これを見たサットンは安全策をとってグリーン中央狙い。二人ともパーで終えた後は最終18番。二人ともフェアウェイをキープ、2アイアンでティ・オフしたためサットンよりも短い距離しか出ていないウッズが先に第2打を打つ。これがグリーン・オーヴァー。万事休したか。サットンはピン手前10フィートにぴたりと寄せる。バーディ圏内。最悪でも2パットで上がれるのは確実。ウッズがプレイオフに持ち込むためには、30フィートのチップ・ショットを直接カップに放り込むしかない。しかしこれが僅かに反れ、この瞬間、サットンの優勝が決定した。


ううん、くそう、惜しかったなあ、せめてもう少し勝負所でパットを決めることができてたらなあ。しかし、ここはこらえにこらえたサットンを誉めるべきだろう。ウッズに1打差と迫られた後で最終日最終組。普通のゴルファーならとっくに自滅してるよ。特に16番、ウッズがイーグルをとって完全に流れがウッズに傾いたかと思えたところを強引に引き戻したところなんて、流石ヴェテランの味。余人の真似できる技じゃあない。ここは素直にサットンを讚えよう。いずれにしても今年のマスターズは面白くなりそうだ。







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プレイヤーズ・チャンピオンシップ

2000年3月23-27日   ★★★1/2

フロリダ州ポンテ・ヴェドラ・ビーチ、TPCアット・ソウグラス

 
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