9月11日のテロリスト・アタックによってアメリカはゴルフどころではなくなってしまった。中止になった先週のアメリカン・エキスプレス・チャンピオンシップに引き続き、ついにライダー・カップまで延期になってしまった。アメリカン・エキスプレス・チャンピオンシップは、2年続いたスペインのヴァルデラマから今年は舞台をアメリカに移しての最初の大会で、結構興味深かったんだが、アメリカ中が喪に服しているのにゴルフどころではないというPGAの裁断により、早々と中止が発表。なんでもPGAイヴェントが中止になったのは、第2次大戦時を除けば、今を去ることうん十年前にコロニアルが大雨により中止されて以来だということである。


しかし、それでも個人戦のアメリカン・エキスプレス・チャンピオンシップはともかく、国の威信のかかるライダー・カップは、そう簡単に中止というわけにもいかず、また、延期というのも難しい。毎回その年のマネー・リストの上位から出場ゴルファーが選ばれるライダー・カップは、延期になったからといって、はいそうですかと簡単に調整するわけにはいかない。開催日が変われば、当然出場資格を得るゴルファーに変動が起こるのだ。上位で安泰のタイガー・ウッズやフィル・ミッケルソン、デイヴィッド・デュヴォール、デイヴィス・ラヴとかを除くと、結構順位が入れ替わるのは間違いない。アメリカン・エキスプレス・チャンピオンシップ同様中止とするのか。もし延期になったら、隔年毎にプレジデンツ・カップと交互に開催されるため、その兼ね合いもある。そういうのはどうするのか。


結局、最終的に、今年開催のはずのライダー・カップは、来年同時期まで延期ということになった。プレジデンツ・カップもそれに合わせて自動的に延期となり、これまで奇数年開催のライダー・カップは偶数年開催となり、同様に偶数年開催のプレジデンツ・カップは、今後奇数年開催となる。最も懸念されていた出場ゴルファーのメンツであるが、これは、今年出場が決まっていたゴルファーをそのまま動かさないでメンバーとして来年プレイさせることになった。


まあ、しょうがないか。いったん決まっていたメンバーに入っていたゴルファーが、延期によって来年、選から漏れるというのは可哀想だし。ただ、それだと、今調子がいいからといって、来年も調子がいいとは限らないゴルファーもいるということが当然考えられる。今プレイしたら活躍したかも知れないが、来年調子を落として、ぼろぼろになるゴルファーも出てくるかも知れない。先のわからないスポーツの醍醐味の一つとはいえ、来年のライダー・カップは荒れそうだなあ。


さて、ペンシルヴァニア・クラシックであるが、今回は各ホールのフラッグがホール番号を書いた通常のフラッグではなく、全ホールとも星条旗になっていたのが印象的だった。アメリカで何か予想もしなかったことが起こった時によく思うのだが、こういう反応の仕方にはセンスを感じる。日本で何か起こったとして、それまでのしきたりを変えるのは並大抵の努力が必要だろう。各ホールのフラッグを日の丸にしようと誰かが発想したとしても、それを実現するためのリーダーシップを持っている者がいるとはあまり思えない。何をするにしても根回しが必要な日本社会では、こういう柔軟な発想は生まれにくい。


プレイの方はほぼ毎日雨と霧にたたられ日没順延になるので、ロバート・アレンビーがリードしているのはわかるのだが、どうもしゃっきりしない。結局、アレンビーは最終日も順調にスコアを伸ばし、19アンダーで危なげなく優勝。これで今季、日産オープンに次いで2勝目である。2位は16アンダーのラリー・マイズとロッコ・メディエイトで、私は久し振りに優勝に絡むマイズを応援していたんだが、届かなかった。しかし、今年マイズは予選落ちばかりで、来年ツアー・カードを失う怖れすらあったから、これで一安心というところだろう。







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マルコニ・ペンシルヴァニア・クラシック

2001年9月20-23日   ★1/2

ペンシルヴァニア州リゴニア、ローレル・ヴァリー・ゴルフ・クラブ

 
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