PGAグランド・スラム・オブ・ゴルフ

2004年11月24-25日   ★★★

ハワイ州カウアイ、ポイプ・ベイ・ゴルフ・コース

今年のメイジャーを制したゴルファーによる36ホールのエキシビション的色彩の濃いこのイヴェント、平日開催ということもあり、週末にふと気づくと既に終わっていたりして、昨年、一昨年と見逃していたりしたのだが、今年はなんとなく日程を憶えていた。まあ、そういうこともある。今年の出場ゴルファーは、マスターズ制覇のフィル・ミッケルソン、全英のトッド・ハミルトン、全米のレティーフ・グーセン、それに全米プロのヴィージェイ・シングだ。


初日18ホールを終えた時点で首位は7アンダー65のグーセンで、1打差でシング、4アンダーでミッケルソン、2アンダーでハミルトンが続く。グーセンは先週末に奥さんが女の子を出産したばかりで、もう半日生まれるのが遅れたらハワイ行きを断念していたと言っていた。なんか、何年か前の全米の時にミッケルソンが似たような状況に置かれていたな。グーセンの奥さんは、生まれたばかりの子供と自分をほっといて地球の裏側に行ってしまうグーセンにいい顔していなかったというが、いずれにしても今回はグーセンのトーナメントか。


と思っていたら、2日目にバーディ・ラッシュを見せたミッケルソンがその予想を簡単に覆す。フロント・ナインを、イーグルと6つのバーディで、なんと8アンダー28で回る。このままバック・ナインも行けば56だ。あり得ないだろうとは思うものの、こりゃあどこまでスコアを伸ばしてくれるのか。そのバック・ナイン、少しは失速したものの、それでもティからグリーンまでほとんど完璧なゴルフを見せるミッケルソンの調子は悪くなく、17番を終わった時点でこの日12アンダー55ストロークスと驚異的なスコア。最終18番はパー5なため、ロング・ヒッターのミッケルソンがバーディをとる確率は非常に高い。イーグルだって狙える。そしたら前人未到の58だ。そんなのがあってもいいのか。


このトーナメント、エキシビジョン的で皆リラックスしてゴルフする上に、最下位でもかなりの金が入ってくるから全員デッドにピンを狙ってくる。さらにコースのポイプ・ベイはラフもほとんどない上に、今回は2日間連続で風もなかったという好条件が重なった。そういえばタイガー・ウッズがいつぞやこのコースで61を出していた。


そういうわけで、いきなり興味の焦点はもう結果が知れた勝負の行方ではなく、果たしてミッケルソンが59を出せるか、あるいはあわよくば58という記録を達成できるかのみに絞られる。その18番、ミッケルソンは完璧なドライヴ、完璧な第2打で、ピンまで8フィートにつける。いきなり58が現実味が出てきた。もしかしたら私は今、歴史的な瞬間を目にしているのかもしれない。そのイーグル・パットは、しかし、左曲がりの弧を描いてわずかにカップの下側に反れ、惜しくも58ならず、結局ミッケルソンはタップ・イン・バーディで59に甘んじた。59で回って甘んじたも何もないが、しかし実際に58が狙える機会というのは、世界の一流プロでも一生にそう何度もないだろう。それなのにミッケルソンは手を伸ばせばそれがつかめるところまで来ていたのだ。私の疑問は、さてミッケルソンは今晩口惜しくて寝られないか、それとも満足して寝ついたかということだが、なんかTVで見る限りでは満足していたみたいだった。しかし、絶対後で逃した魚の大きさに気づいて歯ぎしりするんだぜ。


これでミッケルソンは、77年のアル・ガイバーガー、91年のチップ・ベック、99年のデイヴィッド・デュヴォール、2001年のアニカ・ソーレンスタムに次いでの「59クラブ」入り。いつぞやの全米オープン予選で確か丸山茂樹も59を出したはずだが、TNTのTV中継では丸山には言及していなかった。あれは公式記録とはならないのか。でも、それなら、グランド・スラムだってほとんどエキシビジョンだし、どちらかと言うと丸山の記録が公式記録で、こちらの方が参考記録という気がするんだが。あ、そういえばグランド・スラムの方は当然ミッケルソンが17アンダーで圧勝、2位がシングで12アンダー、3位グーセン11アンダー、4位ハミルトン1オーヴァーという結果になった。もう誰も気にしてもいなかったと思うけど。







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