今年のメイジャーを制覇した4人で争われる36ホール・ストローク・プレイのPGAの非公式イヴェント。今年はタイガー・ウッズが4つのうちマスターズを除く3つを制してしまったため、ウッズとマスターズを勝ったヴィージェイ・シング以外の二人、トム・レーマンとポール・エイジンガーは今年のメイジャーでの成績による推薦となる。本当はまず真っ先にアーニー・エルスが選ばれるべきだったのだが、先々週のアメリカン・エキスプレス・チャンピオンシップで痛めた腰痛が完治せず、出場辞退となった。


いくら今年のメイジャーを制したトップ・ゴルファーによるゴルフといえども、このイヴェントはエキシビションの色彩が濃く、全員腰に集音マイクをつけながらのリラックスした雰囲気でプレイする、まあ、半分遊びである。いつのイヴェントだったかウッズがグリーン上でパットのアドレスに入った時、ウッズの視界内で動いていたウッズの母、クチルダに、ウッズが「母さん動かないで!」と言ってギャラリーを笑わせながらパットを決めていたシーンがあったが、要するに、まあ、ゴルファーはそれほどシリアスではないわけだ。


だから毎年恒例となってしまったイヴェントだから私もなんとなくチャンネルを合わせたとはいえ、それほど期待して見てたわけではない。実際、いくらトップ・ゴルファーのゴルフといえども、遊びのゴルフに付き合っていられるほどこちらも暇なわけではないのだ。まあ、と言いつつも見ちゃうところがゴルフ・ファンの哀しい性なのではありますが。


しかし、今回の2日目(このイヴェントは2日間、36ホールで争われる)のクライマックスは結構面白かった。シングがウッズを1打リードして迎えた最終18番パー5、ウッズは完璧な第2打でピンそば5フィートにつけ、イーグル・チャンス。ドライヴァーをラフに入れたシングはレイアップを余儀なくされ、第3打目もピンをオーヴァーして、ウッズより遠くにつける。これで先にパットするシングがバーディ・パットを外し、ウッズが決めれば最終ホールでの劇的な逆転となる。しかしシングは15フィートのこのパットを沈め、今度は5フィートを決めなければ追い付かないウッズにプレッシャーをかける。ウッズはこのパットを手堅く決め、勝負はプレイオフに。


同じ18番で行われたプレイオフ、二人とも第2打をグリーンに乗せ、イーグル・チャンス。特にウッズはほとんど先刻同様のパーフェクトなアイアン・ショットで、ほとんど同じ位置、先程よりは僅かに遠いピンそば7フィートにつける。先にイーグル・パットを打って外したシングの目前でウッズはこのパットを沈め、驚異のイーグル・イーグル・フィニッシュでシングをうっちゃった。ほーう、たとえエキシビジョンでもこういうエキサイティングな展開にしちゃうところがウッズから眼が離せない理由だよなあ。


ウッズは実は、先週母クチルダの母国、タイで開催されたジョニー・ウォーカー・クラシックでも優勝しており、それとこれも数えると今年11勝ということになる。しかもPGAグランド・スラムは火曜水曜開催のため、ジョニー・ウォーカーを終えたウッズがハワイに着いたのはティ・タイム2時間前。それから練習を少ししてすぐティ・オフ、それで勝っちゃうんだから。言葉もないとしか言い様がない。







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PGAグランド・スラム

2000年11月21-22日   ★★1/2

ハワイ州ポイプ・ビーチ、ポイプ・ベイ・ゴルフ・コース

 
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