アメリカで唯一本当のリンクス・コースに見えるホイッスリング・ストレイツで開催される今年のPGAチャンピオンシップ、初日と2日目は濃霧のためにプレイが中断されるなど、海、ではなく湖沿いだが、いかにも水回りのコースという感じだ。


勝負の方は3日目を終わって13アンダーで首位はニック・ワトニー、10アンダーでロリ・マキロイとダスティン・ジョンソン、9アンダーにジェイソン・デイ、マーティン・カイマー、ウェンチョン・リャンが続く。


最終日は1番パー4でいきなりワトニーがダブル・ボギー、一方ジョンソンがバーディの3ショット・スウィングでいきなり二人が11アンダーで並ぶ。ジョンソンは今年のUSオープンで今回のワトニーと同じようなことをして沈んでいったが、今回は逆の展開。ということは今回はジョンソンが優勝する番か。ワトニーは7番パー3ではトリプル・ボギーを叩き、完全に脱落する。


しかしそのジョンソンも中盤もたつき、代わって首位に立ったのはカイマー。カイマーは12アンダーまでスコアを伸ばし一時後続に2打差つけるも、追ってきたバッバ・ワトソンに並ばれ、抜かれる。しかしワトソンは17番パー3でボギー、一打後退して11アンダーでレギュレイションを終える。


その後もカイマーを筆頭にスティーヴ・エルキントン、マキロイ、ザック・ジョンソンらが代わる代わる首位を脅かし、予想もつかない展開。いや、やっぱりメイジャーはこういう風に競ってもらわなくては。特にエルキントンが勝てば史上最高齢のPGA制覇だろうし、マキロイが勝てば逆に史上最年少だ。こいつは面白い。


カイマーは15番パー4でこの日唯一のボギーを叩き11アンダー、迎えた18番パー4では12フィートのパー・パットを沈め、ワトソンと同じ11アンダーでレギュレイションを終える。しかしD. ジョンソンは16番パー5、そして非常に難しい235ヤードの17番パー3でもバーディを奪い、一人12アンダーとなって18番を迎える。


ジョンソンのティ・ショットはフェアウェイを大きく右に外し、バンカーに捕まる。しかしその辺りはギャラリーが踏みならしており、てっきりバンカーではなく単なる砂地とカン違いしたジョンソンは、クラブ・ヘッドをバンカーに降ろしてしまい、そのままボギーで18番を上がった、とジョンソンは思っていた。


もちろん違う。バンカー内でクラブをサンドにつければ2ストロークスのペナルティだ。ボギーで11アンダー、これでワトソン、カイマーと共に3人でプレイオフだと思っていたジョンソンはこのホール、公式にはトリプル・ボギー7をつけられる。ああ、ジョンソン、あれは確かにバンカーだったよ。結局勝負は11アンダーのワトソンとカイマーで10番パー4、17番、18番の3ホールのプレイオフとなる。


ワトソンは10番でバーディを奪うが、カイマーも譲らず17番でバーディと並ぶ。18番でラフから強引にグリーンを狙ったワトソンの第2打はグリーン手前のクリークに落ちる。これを見たカイマーは同様にラフからグリーン手前まで持っていくことすらせずフェアウェイに出すだけ。第3打を無事グリーンに乗せて15フィートのパー・パットを残す。


一方ワトソンのドロップしての第4打はグリーン奥のバンカーに捕まる。入れるしかないそのサンド・ショットは、なんとピンに当たって弾かれる。入ったと思った。久しぶりにゴルフを見ながらおおーっと声を上げてカウチから飛び上がった。思えば最近ゴルフでこんなに興奮させてくれたのはなかった。2パットで優勝のカイマーは着実に2パットでメイジャー初優勝。こうなるとレギュレイションの18番での最後のパー・パットは本当にでかかった。


10アンダー3位にはZ. ジョンソンとマキロイ、9アンダー5位にD. ジョンソン、エルキントン、ジェイソン・ダフナー、8アンダー8位にリャンとカミーロ・ヴィジェイガスが入った。ワトニーはこの日9オーヴァー81で4アンダー、18位タイまで後退、フィル・ミッケルソンは8アンダー12位タイ、タイガー・ウッズは2アンダー28位タイ。復活は来年まで持ち越しか、それとも復活してくるのか。








 

第92回全米プロ選手権   ★★★★

2010年8月12日-8月15日、ウィスコンシン州コーラー

ホイッスリング・ストレイツ

 
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