第87回全米プロ選手権

2005年8月15-19日   ★★★1/2

ニュー・ジャージー州スプリング・フィールド、バルタスロル・ゴルフ・クラブ

昨年、初日3オーヴァー75で回り、予選通過危うしとハラハラさせたタイガー・ウッズ、今年は既にメイジャーでも2勝しているしまさか大丈夫だろうと高をくくっていたら、昨年に輪をかけた初日の不調で、初日5オーヴァー75と、ほとんど目の前真っ暗。2日目もスコアを伸ばすことができず、足切りラインの3オーヴァーか4オ-ヴァーに届かない。それでもなんとかじりじりと一つ二つスコアを縮め4オーヴァーとなり、一応これで大丈夫かと思う。バルタスロルは最後の2ホールがパ-5のため、よほどのことがない限りロング・ヒッターのウッズが取りこぼすことはなかろう。


実際、600ヤード超という17番で、パーフェクトなドライヴを放ったウッズは、2オン狙いで行く。しかしその第2打はグリーン・サイドのバンカーのグリーンと逆側のあごに捕まり、第3打はグリーンを狙えない。そのためウッズはグリーンに背を向けてラフに向けて第3打を打たざるを得ず、結局そこからのアップ&ダウンに失敗して、このホール、まさかのボギーとなって、最終18番でバーディをとれなければ予選落ちという絶体絶命のピンチを迎える。昨年より厳しいじゃないか。


しかしウッズは18番、パーフェクトなドライヴと第2打で2オンし、そこから2パットのバーディで、最後の最後で首の皮一枚残す。しかし、どんなにロング・ヒッターに有利だからといって、バーディをとらなければダメという時点でよく本当にバーディがとれるもんだ。ウッズはこの日、ちょうど4番パー3を回っている時にグリーンそばの大木が倒れて怪我人が出るというアクシデントもあった。とにかくなんかあるよなあ。これが勝負師の星のもとに生まれたということなんだろう。


さて、勝負の方は初日に首位に立ったフィル・ミッケルソンが2日目も好調で、2日目終了時点で8アンダーと、5アンダーで2位のジェリー・ケリーに3打差をつける。パットが好調で、特に2日目は20-30フィートくらいの長めのパットが面白いくらい決まっていた。いくらなんでもこういう好調さが続くとは思えないとは思っていたが、実際ミッケルソンは3日目にもたつく。最初の6ホールで3ボギーを叩き、後半持ち直したものの結局この日2オーヴァー72で、3日目を終わってラヴと共に6アンダー首位タイに落ち着く。5アンダー3位はこの日7アンダ-63というコース・レコード・タイで回ったトマス・ビヨーン、4アンダー4位にはヴィージェイ・シング、スチュアート・アップルビー、スティーヴ・エルキントン、パット・ペレスが続く。ウッズはこの日4アンダー66で通算イーヴン・パーまで持ち直すも、首位に6打差は、いくらなんでも無理だろうなあ。


最終日はウッズは最初の3ホールを2オーヴァーで、いくらなんでも勝負あった。後半はカメラはもうウッズを映してくれなくなった。しかし、一方の上位陣も苦しむ。ミッケルソンもラヴもスコアを落としていき、一時はその間隙を突いてエルキントンが初めて5アンダーで単独首位に立つ一幕もあった。しかし結局またミッケルソンが踏ん張り、13番を終わった時点で4アンダーのミッケルソンがかろうじて首位を維持、エルキントン、ビヨーンが3アンダーで2位というところで、雨雲が近づいてきたためにトーナメントは順延、翌日に持ち越しとなった。しかもその時、2アンダーでラヴ、シングと共に暫定4位にいるのは、なんと最後の最後に挽回し、レギュレイションを終えていたウッズ。最初の方のボギーさえなければ今頃は首位に並んでいたのに!


しかし、それにしてもこの日の天気は、気温こそ100°F弱 (だいたい37℃前後) と、連日気温が体温と同じというレコードかレコード・タイの最高気温をマークした昨日一昨日より和らいだものの、湿度の方はいまだに高く、薄雲が上空を覆っており、いつ降り出してもおかしくなかった。実際ニューヨークでは夕方、二度にわたってかなりの豪雨となり、雷や稲妻が空を焦がした。ところがここからはそれほど離れていないはずのスプリングフィールドは、どんよりとした天気とはいえ雨は降り出してはいない。とはいえいつ崩れてもおかしくない天気であり、だからこそ途中順延を挟み、翌日まで延期が決定したわけだ。これでもしこのまま降らないままなら、翌日はグリーンはさらに固くなって難しくなりそうだが、バルタスロルのパー5が続く最後の2ホールは最も易しいホールで、さすがに上位陣がこれ以上崩れる可能性はあまりなさそうだ。やはり優勝はまだプレイを終えてない誰かから出るという気がする。


さて月曜日は16番パ-3でミッケルソンがまたボギーを叩き、ミッケルソン、エルキントンが3アンダーで並ぶ。その直後に17番でビヨーンがバーディを奪い、3人が3アンダー。エルキントンは18番の15フィートのバーディ・パットがカップ左をかすめ、3アンダーでレギュレイションを終える。その次のパーティでプレイするビヨーンも、同じく18番で、これは入ったと確信した20フィートのバーディ・パットが最後の最後でカップの右縁に弾かれる。


結局勝ったのは、その18番で、ラフからの第3打のチップをピンそば2フィートに寄せ、最後の最後でバーディを奪い、ただ一人4アンダーとなったミッケルソン。1打差3アンダー2位にエルキントンとビヨーン、2打差2アンダー4位にラヴとウッズが入った。ミッケルソンは最終日、2オーヴァー72と苦しみながらも、最初の2日間の貯金が効き、これで昨年のマスターズに続いてメイジャー2勝目。それにしても結局、終わってみるとミケルソンを筆頭に、ウッズ、シング、グーセンという世界ランキング上位ゴルファーがちゃんと全員、4打差10位以内に入っている。はやくアーニー・エルスにも膝を直して復帰してきてもらいたいもんだ。





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