第85回全米プロ選手権

2003年8月14-17日   ★★★1/2

ニューヨーク州ロチェスター、オーク・ヒル・カントリー・クラブ

初日4アンダーで首位はフィル・ミッケルソンとロッド・パンプリング。パンプリングはともかく、ついにミッケルソンがメイジャー初制覇を成し遂げるか。しかしミッケルソンは2日目に沈み、代わって2アンダーで首位に立ったのはショーン・ミキール。全英のベン・カーティスも初優勝がメイジャーだったし、今回はミッケルソンと思わせといて、またツアー初優勝がメイジャーのゴルファーの誕生って筋書きか。


さらに3日目は、そのミキールに、やはりツアー未勝利のチャド・キャンベルが絡み、共に4アンダーで首位に立つ。しかし、そのすぐ下には今季マスターズ制覇のマイク・ウィアーやアーニー・エルス、ヴィージェイ・シング等も圏内におり、まだわからない。とはいえこの日のミキールなんて、見てると全米のジム・フューリックや全英のベン・カーティスみたいな、ほとんど完璧なゴルフをしていた。しかし、一時は一人7アンダーまでスコアを伸ばし、逃げ切りかと思わせといて、最後の3ホールを連続してボギーを叩いてしまうところが、いかにも未勝利ゴルファーらしいと思わせた。ま、おかげで勝負としては面白くなったが。


最終日はミキール、キャンベルに、さらにこれまたツアー未勝利のティモシー・クラークと、EPGAのアレックス・チェッカが絡むという展開。キャンベルが最初少しもたついたため、早くにチャージをかけたクラークは、一時3アンダーまでスコアを伸ばして、ミキールと共に首位に立つ。ウィアーは1番から5連続ボギーというウィアーらしからぬゴルフで沈んでいき、エルスも今一つ。そのため、全英に続き、またまたツアー初優勝をメイジャーで飾るゴルファーの出現という可能性が俄然高くなった。


見てる立場から言うと、未勝利ゴルファーだけでなく、それにヴェテランが絡む方が勝負としては味が出て盛り上がるのだが、未勝利ゴルファーが首位争いをするのを見るのも、それなりに面白味はある。だいたいにおいて未勝利ゴルファーというのは、緊張やプレッシャーに耐えられなくなっていきなり崩れる可能性が高く、 今に崩れるんじゃないかと、見てるこちらもどきどきしてきたりするからだ。


今回は先にクラークが崩れ、結局ミキールとキャンベルの争いになる。一時キャンベルも崩れそうな気配を見せたが、持ち直し、15番パー3で、ミキールがボギー、キャンベルがバーディを奪った時点で、ミキール3アンダー、キャンベル2アンダーと1打差。しかしミキールは16番パー4でバーディを奪い、4アンダーとなって2打差。しかし17番パー4でボギーで、また1打差。そして迎えた最終18番パー4で、ミキールの175ヤード7アイアンの第2打がほとんどイーグルかと思われるほどカップに寄り、3インチそばに止まった時点で、ミキールの優勝が決まった。最終スコアはミキール4アンダー、キャンベル2アンダー、クラーク1アンダー、チェッカがイーヴンだった。


エルスはジェイ・ハーズと共に2オーヴァーで5位タイ、ウィアーは4オーヴァーで7位タイ、ミッケルソンは結局、最終的に8オーヴァーまでスコアを落とし、シングは最終日79で通算11オーヴァーで終わった。ウッズは12オーヴァーで、98年以来5年ぶりに、一度もメイジャーを勝てなかったシーズンとなった。ウッズの今回の39位というのは、プロ入り後のワースト記録。それでも、いまだに予選連続通過記録を更新中なのはさすがと言えるが。


ところで今回の全米プロは、木曜のラウンドの途中、コースのあるニューヨーク州ロチェスターだけでなく、アメリカ北東部およびカナダの一部を巻き込んだ大規模のブラックアウト (停電) が起こった。サブウェイも走らなかったので、私はその日はマンハッタンオフィスから歩いてアパートまで帰らざるを得なくなった。いろいろあって、午後5時にオフィスを出て、アパートにたどりついたのは夜11時過ぎで、へとへとになりながらも、録画してあったとこ (もちろん停電した瞬間に録画はストップしていた) までは見た。結局ブラックアウトは翌日の朝早く頃から徐々に復旧しだし、全米プロも遅滞なく進んだ。


このブラックアウトのおかげでサブウェイが完全ストップしたため、金曜はオフィスは臨時に休みとなり、なんと自宅で生中継が見られたのであった。しかし、木曜の晩はロチェスターでもパワーはなく、ゴルファーの泊まっているホテルだって真っ暗、メシやバス、トイレも支障があったはずだ。ブラックアウトがもし、もうあと一日続いたとしたら、トーナメントが続いたかどうか非常に疑わしい。そういう場合はやり直しになるのか、それとも木曜日の結果は持ち越しになるのか、とても興味をそそられたのであった。ここまで苦労を強いられたんだ。どうせなら、そういう場合にどうなるのか見てみたかった。







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