3日目終了時点で首位は9アンダーのジャスティン・レナードで、6アンダーで2位のリッチ・ビームに3打差をつける。5アンダーで3位はフレッド・ファンク、4アンダー4位はタイガー・ウッズとマーク・カルカヴェッキア、3アンダー6位はクリス・ライリーで、まがりなりにも優勝の可能性があるのはここまでだろう。レナード、ウッズ、カルカヴェッキアは既にメイジャー制覇の経験があり、ビームはこないだのインターナショナルも勝って上り調子、そしてファンクみたいな超ヴェテランも踏ん張ってトーナメントを盛り上げ、メンツとしては文句なし。


最終日、最初の数ホールは動きはないが、徐々にではあるがスコアを伸ばすのがビームとウッズ。一方レナードはスコア・メイクに苦しみ、ボギー、バーディを繰り返した後、8番パー3でボールを池に落としてダブル・ボギー、代わってビームが首位に立つ。フロント9を終わった時点でビーム8アンダー、ウッズ7アンダー、レナード6アンダーと、このままレナードがずるずると後退していくなら、勝負はビームとウッズの一騎打ちになるかと思われた。こないだのインターナショナルの時は、おお、とか、ああ、とか声を上げながら観戦していたが、今日は手に汗握るという感じの接戦で、ただただ黙ってTVの画面を見続ける。やっぱりメイジャーはこうでなくっちゃ。


しかしウッズはスコアを伸ばすチャンスであるはずの11番パー5をパーでしか上がれず、直後のパーティのビームがティ・ショット、第2打の3ウッド共絶妙のショットを見せイーグルを奪い、10アンダーとなってウッズに3打差をつける。一方のウッズは13番パー3でもティ・ショットをピン・ハイの7フィートにぴたりとつけておきながら、そこからまさかの3パット・ボギー、続く14番の安牌のはずのショートのパー4でもまさかのボギーを叩き、その時6アンダーのライリーとレナードの後塵を拝す5アンダーまで後退する。ビームは13番でバーディをとるが、14番でボギーを叩く。しかしまだ貯金は4つあり、勝負はこれまでかと思われた。


しかしウッズは勝負を諦めず、15番パー5、16番パー4、17番パー3、18番パー4と4連続バーディをもぎ取り、9アンダーでコース・アウト。こんなことができるのになんで13番でボギーなんか叩くんだ。ああ、13番と14番さえなければ! 一方のビームは16番で35フィートの難しいロング・パットを沈め、また11アンダーとなって最終18番を迎える。ボギーで優勝、ダブル・ボギーでもプレイ・オフだ。ビームは18番を予定通り安全に3パット・ボギーで終え、結局10アンダーでコース・アウト、ウッズを1打差で抑え、メイジャー初優勝を飾った。5アンダーで3位はライリー、4アンダー4位にはレナードとファンク、3アンダー6位にはロッコ・メディエイトが入った。ビームは16番のバーディが効いた。こないだのインターナショナルといい、ウッズ並みの勝負を演出してくれるじゃないか。なんでもビームは6年前にはカー・ステレオを売っていたセールスマンだったそうで、いやあ才能があったんだな。3年前にケンパー・オープンで初優勝したのを見た時、初勝利にしては堂に入ったゴルフをするなあと思ったのを思い出した。これからもドラマティックなゴルフを見せてくれ。







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84回全米プロ選手権

2002年8月15-18日   ★★★★

ミネソタ州チャスカ、ヘイゼルティン・ナショナル・ゴルフ・クラブ

 
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