今年も昨年並みとは言わないが面白かった全米プロであるが、今回は最終日よりも3日目の方が面白かった。パー3でのニック・ファルドのホール・イン・ワン、タイガー・ウッズのパー4での第2打を直接カップ・インさせたイーグルや、フィル・ミッケルソンのあわやイーグルと見えた16番パー4での第2打など、スーパー・ショットが続出してギャラリーを沸かせてくれる。しかしその中でも白眉は、片山晋呉の18番490ヤードパー4での第2打、いったん池に落ちたボールが跳ね返って陸に上がったショットと、15番パー3でのデイヴィッド・トムスのホール・イン・ワンだろう。この二つのショットは中継中だけでなくて、夜のスポーツ・ニュースも合わせていったい何度見せられたことか。


それに較べれば最終日は、3日目の興奮をもう一度、と思いながら見ている一視聴者としては、もうちょっと盛り上がってくれてもいいのに、という感じで見ていた。もちろん面白くないわけではなく、首位のトムスとそれを追うミッケルソンの競り合いなど見所はあったんだが、昨年のウッズとボブ・メイの、共にバーディを奪い合いながらの死闘をまだ生々しく覚えている身としては、今年の競り合いは、それなりに興奮させるものではあるが、ボギーで追いついたり追いつかれたりの展開じゃなくて、ベストのゴルフを見せての競り合いなら‥‥とどうしても思ってしまう。


それでもトムスがミッケルソンを2打リードして迎えた15番パー3で、ボギーとなったトムスに対し、フリンジからの難しい下りの25フィートのチップ・ショットをカップ・インさせてバーディを奪い、共に15アンダーで並んだ辺りは興奮させてくれた。それほど感情を見せないミッケルソンの本気のガッツ・ポーズなんて、滅多に見れるものじゃない。あれで完全に流れはミッケルソンに傾いたと思ったんだが、しかしそのすぐ次でいきなりボギーを叩いてしまうところがミッケルソンなんだよなあ。本当に、彼はいつもこうだ。こういうポカさえなければ今頃はメイジャーの一つや二つは既に手にしているだろうに。


結局ミッケルソンは今度はこの差を挽回することができず、またもや初メイジャー制覇はお預けとなった。トムズは15アンダーでメイジャー初優勝。1打差でミッケルソンが続き、12アンダーのスティーヴ・ロアリーが3位、この日65のベスト・スコアをマークしたマーク・カルカヴェッキアと、パー・ラウンドの片山が10アンダーでそれに続いた。片山は3日目の17番と18番、最終日の15番と、池ぽちゃすれすれのボールがぎりぎりで乗っかるなどついてもいたが、最終日最終ホール、ついにツキ切れで第2打を池に落とし、単独3位から4位タイに下がった。わりとギャラリーにも人気で、2日目終了時点ではトムスと並んで首位タイと、もしやと思わせる善戦だったんだが。しかしあの変なカウボーイ・ハットは何とかならんもんかなあ。ミッケルソンは今年、コンパック・クラシックでリードしていて最終日に崩れて優勝をトムスにさらわれた記憶も新しいだけに、今回は雪辱に燃えていただろうが、「メイジャーに勝ったことのないベスト・ゴルファー」というレッテルをはがせる日はいったいいつ来るのか。







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83回全米プロ選手権

2001年8月16-19日   ★★★1/2

ジョージア州ドゥルース、アトランタ・アスレティック・クラブ

 
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