Nikita   ニキータ

放送局: CW

プレミア放送日: 9/9/2010 (Thu) 21:00-22:00

製作: ワーナー・ブラザースTV、ワンダーランド・サウンド・アンド・ヴィジョン

製作総指揮: クレイグ・シルヴァースタイン、デイヴィッド・レヴィンソン、ダニー・キャノン、マックG、ピーター・ジョンソン

出演: マギーQ (ニキータ)、リンジー・フォンセカ (アレックス)、シェイン・ウエスト (マイケル)、アーロン・スタンフォード (バーコフ)、アシュトン・ホームズ (ソム)、ティファニー・ハインズ (ジェイデン)、メリンダ・クラーク (アマンダ)、ザンダー・バークリー (パーシー)


物語: ディヴィジョンの手を逃れ行方をくらましていたニキータが再び活動を開始する。しかしそれはディヴィジョンの指令によって再び暗殺に手を染めるのではなく、愛する者を殺されたニキータが、ディヴィジョンに対し復讐を誓い、壊滅させるために行動を開始したのだ。故意に育ての親の前に姿を現したニキータは、ディヴィジョンを誘って翻弄する。一方、ディヴィジョンも手をこまねいてニキータの反撃を見ているわけではなかった。本部ではニキータに続く新しい暗殺者の養成が着々と続いており、ニキータ同様、つらい過去を持つ少女アレックスも殺人マシーンとして教育されていた‥‥


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「ニキータ」とは、もちろんリュック・ベッソンの出世作となった、あの「ニキータ」のことだ。少女の顔を持つプロのアサシン、ニキータの活躍を描いた「ニキータ」は世界的ヒットとなり、アメリカでもブリジッド・フォンダを配してリメイク「アサシン (Point of No Return/The Assassin)」が製作された。


さらに場所を代えてTVでもUSAがペータ・ウィルソンを主演に「ニキータ (La Femme Nikita)」を製作、5シーズン続くそこそこのヒットとなった。そして今回CWが放送するのが、主人公ニキータにマギーQを配した、新「ニキータ」だ。


「ニキータ」が番組プロデューサーをいたく刺激するのはよくわかる。運命に翻弄させるまだ若い、幼いとすら言える女の子が暗殺者となって活動する。社会からは抹殺された存在で、ディヴィジョンという秘密組織にすがって生きるしかないが、それでも人を好きになったりする人間としての心の欲求は抑えられない。組織か、愛かの板挟みになって苦しむニキータ。番組製作者としては食指をそそられる素材であることは間違いない。


少なくともオリジナルとフォンダ版リメイクのニキータは、少女色を持っていることが特色だったが、ウィルソン版ニキータは、その少女っぽさがだいぶ薄れたために、オリジナルのファンからはあまり歓迎されなかった。それでもしばらく続いたのは、やはり女性アサシンという根本の設定の魅力が大きかったからだろう。この流れは、ジェニファー・ガーナーがダブル・スパイを演じたABCの「エイリアス (Alias)」や、今USAが放送している「コヴァート・アフェアーズ (Covert Affairs)」といった女性スパイものに綿々と受け継がれている。


今回のニキータにはマギーQが扮しており、これまでのニキータの中では、最も大人の色気を感じさせる。ウィルソンやガーナー、「コヴァート・アフェアーズ」主演のパイパー・ペラーボといった、少女というよりもアクションをこなせるスタイリッシュな大人の女性によるアクションにも需要があると見た、製作者側の判断だろう。特にこれまでの白人系から黒髪エイジアンと大きく見かけが変わったことで、エキゾティックな、これまでとはまた一味違うニキータを造型している。


Qは「MI3」「ダイ・ハード 4.0  (Live Free or Die Hard)」辺りではどうしても主人公の引き立て役という印象から逃れられなかったが、主演の今回こそ勝負といったところだろう。そして外向的というよりも内に秘めた情熱を感じさせるという点で、Qのニキータは、実はオリジナルのニキータを演じたアンヌ・パリローと共通点がある。パリローは白人といってもブルネットだし、特に現在のパリローとQを比較すると、結構似た雰囲気を感じさせる。つまり、Qのニキータは悪くない。完全に少女色を消し去ったことが吉と出ているという印象を受ける。


ニキータのトレイナーだったディヴィジョンのマイケルに扮するのは、NBCの「ER」に出ていたシェイン・ウエスト。たぶん近い将来にニキータを追う強敵となるだろうアレックスには、ソープ出身のリンジー・フォンセカが扮している。


意外なのは、この「ニキータ」が、ティーンエイジャー向け番組専門のCWで放送されていることだ。編成されている番組の主人公のほぼ全員がティーンエイジャー (という設定) のCW番組の中で、一人だけ大人の色気を放つQのニキータは異彩を放っている。正直言って、チアリーダーが主人公の学園ドラマ「ヘルキャッツ (Hellcats)」を見て、そのままチャンネルを替えずに「ニキータ」を見るというのは、ちょっと歳が行っている視聴者だと、かなり苦しいだろう。どうしても「ニキータ」だけにチャンネルを合わせると思う。


一方、今シーズンは先の「エイリアス」を製作した、今のアメリカTV界の売れっ子プロデューサーの一人であるJ. J. エイブラムスの新アクション・スパイ・ドラマ「アンダーカヴァーズ (Undercovers)」が、視聴者にアピールせずに既にキャンセルされている。何がヒットして何が失敗するか、たとえ売れっ子プロデューサーが製作しようとも、必ずしもヒットが約束されている訳ではない。








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Nikita


ニキータ   ★★1/2

 
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