放送局: オキシジェン

プレミア放送日: 5/30/2003 (Fri) 19:30-20:00

製作: ハーフ・ベイクド・プロダクションズ、ライム・パブリック・リレイションズ+プロダクション

製作総指揮: アイラ・コーエン、デイヴ・フリーマン、リチャード・カーシェンバウム、エリース・ロス

製作: ソニア・ワインセット、ダンリク・ウッズ

監督: エリース・ロス

ホスト: アナベル・ガーウィッチ

ホスト猫: スティンキー


内容: 猫とその飼い主を対象とするヴァラエティ・ショウ。


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「ミャウTV」、日本語風に言うと「ニャーTV」というけったいなタイトルを持つこの番組、タイトルが示す通り、猫関係の番組だ。しかし、ここでこの番組が猫をよく知るための番組だとカン違いしては困る。実はこの番組、文字通り、猫を対象とした、猫に見せるために作られた番組なのだ。


「ミャウTV」を放送しているのは、女性向けの番組専門チャンネルのオキシジェン (Oxygen) である。女性番組専門チャンネルには、既にライフタイムという大手があり、かなり人気がある。オキシジェンはこの一角に食い込むべく、2000年2月からサーヴィスを開始した新興チャンネルだ。チャンネル発起人の一人には、現在シンジケーションでのトーク番組としては最大の人気を誇る「オプラ」のホスト、オプラ・ウィンフリーも名を連ねている。とはいえまだ新参の、はっきり言ってチャンネル名を聞いたこともないという人の方が多いくらいの知名度しかない。


「ミャウTV」のスポンサーは、キャット・フード会社のミャウ・ミックスである。同社の調査によると、全米3,500万軒で飼われている8,500万匹の飼い猫の、3分の1はTVを見ることを楽しんでいるそうで、ならば、キャット・フードを売るために猫の飼い主にアピールするよりも、猫本人 (?) に直接アピールした方が手っ取り早い。「ミャウTV」を見ている猫が、コマーシャルとして挿入されるキャット・フードを見て、うまそうだな、あれ食べたいみゃーと飼い主を見て訴えることができるなら、それこそ望むところだ。というわけで、主として猫相手の番組を試しに作ってみたのが、「ミャウTV」なのだ。


で、その内容はというと、ホストのアナベルと、その相棒の黒猫のスティンキーがカウチに座って、様々な猫関係のセグメントを次々と紹介していくという体裁をとっている。リスや金魚の画像を延々と追うのは、猫の野生の本能をうずかせ、ライオンやチータの映像は仲間意識? に訴えるのだろうか。それ以外にも、当然飼い主のペット自慢コーナーや、猫が主人公の連続ドラマ? のコーナーがある他、猫ヨガのコーナーでは、身体の柔らかい猫が色々なポーズをとっている。猫俳句のコーナーでは、猫を読み込んだ、あまりできのいいとも思えない作品を読み上げる。うーむ、とりたてて面白いとも思えないなあ。猫に対しても人間に対しても。


猫に調教を施している人を紹介するコーナーでは、わざわざヴェロクロ・テープで前脚にフォークやスプーン、果ては箸までをくっつけ、それらを使用してキャット・フードを食べさせようとする奴がいるし、猫を風呂に入れたり、サーフ・ボードに乗っけている奴もいる。別にそれらの猫が嫌そうである様子には見えなかったが、それでも、これって愛情というよりは虐待じゃないの、と思ってしまう。見ていてあまり気分はよくない。


猫関係用品の通販コーナーまであって、どう見ても実際の使用に耐えるとは思えないような、猫用の遊具等の変なアイディア商品を売っていたりする。電話番号まで出てくるので、下手なジョークだなあと思いつつも試しにその電話番号にかけてみたら、本当に「はい、ミャウTV」と言って相手が出たので、慌ててしまい、いや、どうも、その、間違えました、と言って切ってしまった。あれはジョークじゃなくて、本当に売っていたのか。


ところで、そういうことはともかく、問題は、番組の本当の狙いである、猫が実際にこの番組を見るのかということだ。実は、うちの猫はほとんどTVに興味を示さない。ごくたまに、PBSやナショナル・ジオグラフィック・チャンネルの自然や動物関係番組にチャンネルを合わせていた場合に、猫科の動物や、あるいは鳥の映像が映った場合、一瞬TVに目を向けることもある。しかし、だいたいの場合において、それは動物や鳥の声がするので一瞬反応するだけであって、実物がそこになければ、すぐに興味をなくす。


それで、「ミャウTV」はどうかと、興味津々でうちの猫に見せてみた。すると、他の猫に対して対抗意識を持つのか、画面に猫が出てきた時は、曲がりなりにも興味を惹かれるようで、一瞬目を向けるのだが、画面が変わってホストのアナベルが喋りだすと、途端に興味を失って、いきなり毛繕いを始めたりする (因みに上の写真はうちの猫ではありません)。確かに、猫のためだけの番組だったら、わざわざ人間が出てくる必要はなく、ホストなぞ要らないだろう。ヘンに人間の視聴者にも目配せをすることなどせず、猫のためだけに絞って番組を作ればよかったのだ。


しかし、一方でうちの猫は、私が深夜コンピュータに向かってタイプを叩いていると、キーボードの上に乗ってきて、スクリーン上を縦横に動き回るするカーソルにえらく気を惹かれていることがある。面白くてわざとカーソルとびゅんびゅん動かすと、スクリーンの上に爪を立てようとする。要するに、何か、すばやくスクリーン上を動くものなら何でもよく、それは別にリスや鳥や金魚の映像でなくてもいいのだ。しかしまあ、私が猫を飼ったのは今回が初めてであるし、それほど猫に詳しいわけでもないので、場合によっては、TVに熱中する猫もいるかもしれない。


そういう疑問に答えるべく、あるマスコミは、「ミャウTV」の効果を審議すべく、猫相手の試写会を個人的に行ってみたそうだ。その結果、一応TVを見る猫たちもいたが、うちの猫と同じように、完全に無視して毛づくろいに余念がなかったり、そのうちに寝てしまった猫もいたらしい (これが上の写真)。TVを見なかった方の猫は、単純に、「ミャウTV」は面白くないと思っただけかもしれない。


ところで「ミャウTV」はミャウ・ミックスが唯一のスポンサーだと思っていたら、そうではなかった。当然キャット・フードのミャウ・ミックスのコマーシャルが一番多く、たかだか30分間に同じコマーシャルが4回は流れたと思う。しかし、これまた当然だろうが、猫向け番組とはいえ、ライヴァル・キャット・フードのコマーシャルを入れるわけにはいかなかっただろうし、結果として、ペット用品チェーン店のコマーシャルなんかもありはしたが、その合い間に人間用エクササイズ用品のコマーシャルなんかもあったりする。多分、猫同様カウチに横になっているせいでぶよぶよの飼い主を当て込んでいるのだろうとは思ったが、しかし、これはどう見ても猫向きではないよなあ。


番組ホストを担当するアナベル・ガーウィッチは、TBS (アメリカのケーブル局。東京放送ではない) の映画放送枠の「ディナー・アンド・ア・ムーヴィ」の共同ホストを担当しているが、通常、ベイシックのケーブル・チャンネルが放送する映画は、私が我慢できる許容範囲を超えてコマーシャルが挿入されるので、私はほとんど見たことがなく、今回、初めてまともに彼女の顔を見た。共同ホストのスティンキーが本当に彼女の飼い猫かどうかはわからない。


また、番組では、今後、FOXの「アメリカン・アイドル」で一躍有名人になったジュリア・ダマトがゲストとして登場するそうである。ジュリアは最初の方だけ人々の同情を買っておきながら、「アメリカン・アイドル」では早々と消えた。実は猫ちゃんたちよりも、ジュリアがどういう風にTVに再登場してくるかの方がよほど気がかりだったりして。







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ミャウTV   ★1/2

 
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