Mechanic: Resurrection


メカニック: ワールドミッション  (2016年9月)

ところで現在公開中の「クボ・アンド・ザ・トゥ・ストリングス (Kubo and the Two Strings)」って映画はなんだ? 近年とんとアニメーションから足が遠去かっているのでほとんど視野に入っていなかったのだが、よく見ると、これ、なんだか日本の時代劇ものっぽい。Kuboって、もしかして久保、窪、あるいは久宝っていう名字か? それとも九人兄弟の末子を九坊って呼んでいた? それにしても今変換したら窮乏って出た。昔九人も兄弟がいたらそりゃ貧しいだろう、とまあ、どんな映画かわからないだけにやたらと妄想が飛躍する。


とまれ妄想だけは膨らませといて、結局「メカニック: ワールドミッション」に足を運ぶ。実は「ワールドミッション」は、「メカニック (The Mechanic)」の続編だ。とはいえこの際、「ワールドミッション」に前作があろうとなかろうと、あまり関係ない。なんとなれば主人公に扮するジェイソン・ステイタムは、どの作品に出ていようともジェイソン・ステイタムで、彼が出た映画を後で思い出そうとすると、結局すべて同じものになってしまう。


さらに「メカニック」自体がチャールズ・ブロンソン主演映画のリメイクだから、今回はよけいに既視感がつきまとう。そういや「ワールドミッション」には、先週見た「ヘル・オア・ハイ・ウォーター (Hell or High Water)」のベン・フォスターも出ていたなと、関係ない作品まで巻き込んで混乱させる。


その上冒頭アーサーが身を隠しているのは、リオデジャネイロだ。オリンピックで嫌というほど目にさせられたリオの海岸の映像を、またまた見せられる。とにかくあれもこれもデジャ・ヴュだらけで、本気でオレはどこかで見た映画をまた見に来てんじゃないだろうなという気にさせられる。


「ワールドミッション」では、どうしてもアーサー (ステイサム) の腕を借りたいクレイン (サム・ヘイゼルディン) が、策を弄して囮の女性ジーナ (ジェシカ・アルバ) を送り込み、難攻不落の要塞のような場所にいる3人の武器商人を始末するよう要請する。武器商人であるからして、彼らは自分の身を守ることに細心の注意を払っており、はっきり言って彼らに近づくだけでも至難の技だ。それに加えて、彼らを殺すのではなく、あくまでも事故で死んだように見せかけるという無理難題までついている。


最初のターゲットは、まるでアルカトラズ、というよりも「パピヨン」みたいに断崖絶壁に囲まれた孤島の刑務所の中から指令を出している。刑務所というのは、自分に居心地のいいように君臨できるなら、逆に武装した官憲たちがわざわざ自分の身を守ってくれているとも言える。官吏に袖の下を送ったり脅したり身内を置いたりして、彼らも味方に引き入れることができるなら、より完璧だ。コロンビアの麻薬王パブロ・エスコバルのようなものだ。


2番目のターゲットは、今度は逆に高層ビルの高層階に住んでいる。外に出る時は常に側に厳重に見張りが付いており、唯一チャンスに見える日課のプールでの水泳時も、狙撃するには遠過ぎるし、何よりもそれでは事故死に見せかけられない。どうするか。


3番目のターゲットは、今度は寒村の地下の要塞だ。難攻不落を絵に描いたような施設で、段々マンガティックというか、ダニエル・クレイグ以前のあり得ないミッションを遂行するトンデモ系007的な展開になってきた。やがて宇宙での仕事の依頼が舞い込んできそうだ。この3番目のターゲットに扮するのがトミー・リー・ジョーンズで、つい最近「クリミナル (Criminal)」「ジェイソン・ボーン (Jason Bourne)」と、目にする機会が多い。


これらの、ゴルゴ13でも絶対不可能に見える難業にどう挑むかが腕の見せ所だ。それぞれ、侵入不可能な密室的現場に忍び込み、事故に見せかけて始末する。それぞれの暗殺方法が、なかなか遊び心をくすぐって結構個人的にはツボなのだが、その中では物理的な小細工を弄して仕事を遂行する2番目のターゲットの殺害方法が、最も印象に残った。いや、ああやって死にたかないな。


今回ステイサムのラヴ・インテレストとして登場するのがジェシカ・アルバ。もう30代だろうに、いまだに可愛いという形容詞が似合う。それに仄かな色気も加わった。確か子供もいたよな。










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アーサー・ビショップ (ジェイソン・ステイタム) は、リオデジャネイロで人目を避けてハーバーに係留してあるヨット暮らしをしていたが、そこにも彼の腕を見込んだ依頼人や追っ手が現れる。アーサーはタイの人里離れた海沿いの宿泊施設に旧知のメイ (ミシェル・ヨー) を訪れ、そこでDVで苦しんでいたジーナ (ジェシカ・アルバ) を助ける。しかしジーナもまたアーサーなんとしてでも仕事を引き受けさせたいクレイン (サム・ヘイゼルディン) によって送り込まれていた。ジーナはカンボジアで恵まれない子供達の施設を経営していたが、クレインの狼藉によって言いなりにならざるを得なかった。事情を知ったアーサーは、ジーナを自由にすることを条件に、クレインの依頼を引き受ける。しかしそれは途方もない難題だった‥‥


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