第71回マスターズ

2007年4月5日-4月8日   ★★★1/2

ジョージア州オーガスタ、オーガスタ・ナショナル・ゴルフ・クラブ

昨年、一昨年のように雨は降らないが、今年のマスターズは風が吹いて気温が低い。その上、乾いた速いグリーンのせいで大叩きをするゴルファーが続出、初日から3日目までの平均スコアは75-77と、この40年で最も大きな数字となった。3日目を終わって首位はスチュワート・アップルビーの2オーヴァーと、この分ではたぶん優勝スコアはイーヴン・パー内外と、マスターズというよりは我慢較べのUSオープンを見ているみたいな展開となった。

実際、スコアを伸ばすというよりは落とさないで他のゴルファーが脱落していくのを待つみたいな展開となった3日目、最大のショックはその時までただ一人1アンダーとアンダー・パーでプレイしていたアップルビーが、別に水が絡むわけでもない17番パー4でティ・ショットを大きく左に曲げて隣りの7番のグリーン周りのバンカーに入れ、第2打はバンカーのあごに捕まってしまい距離を稼げず、第3打はグリーン左バンカーに捕まり、結局4オン3パットのトリプル・ボギー7となっていきなり3つもスコアを落としてオーヴァー・パーに滑り落ちたというシーンだろう。これで一人もアンダー・パー・ゴルファーがいなくなった。そのため首位は1オーヴァーのジャスティン・ローズになったのだが、そのローズも直後に16番パー3、17番と連続でボギーを叩く。

その後、15番パー5でバーディを奪ったヴォーン・テイラーが代わって1オーヴァーで単独首位に立つも、やはりその後3つ連続でボギーを叩き、4オーヴァーまで後退する。結局荒れた第3日目を終わり、2オーヴァーで首位はアップルビー。1打差3オーヴァーにタイガー・ウッズとローズ、4オーヴァー4位にテイラー、ザック・ジョンソン、パドレイグ・ハリントンら3人が並ぶという展開になった。おいおい、結局ウッズは首位に絡んでいるじゃないか。ウッズは17番、18番と連続ボギーだったのだが、それがなかったら単独首位だ。とはいえやはりこの日最大のドラマはアップルビーの17番だろう。それにしてもアップルビーはこのホール、なんで7つも叩いたのか自分でもわけがわからないに違いない。

最終ラウンドは最初の方でジョンソン、ウッズ、ロリ・サバティーニ、レティフ・グーセンらが20分毎に交互に首位に立つ混戦模様となる。その後、グーセン、アップルビー、ジョンソン、サバティーニら4人が2オーヴァーで並び、そこから抜け出たのは13番パー5、14番パー4で連続バーディを奪い、1オーヴァーとなって後続に2打差をつけたジョンソン。その直後に今度は沈み始めていたウッズが13番でイーグルを奪って3オーヴァーとなり、14番でもあわやバーディと反撃の兆しを見せて盛り上がると思えたが、ジョンソンはさらに16番パー3でもバーディを奪い、一人イーヴン・パーとなって後続に3打差となり、一方ウッズは15番で池越えの第2打を池に落とし、これで8割方勝負が決まった。

ジョンソンは17番でボギーを叩いたが、1オーヴァーでレギュレイションを終える。結局誰もこのスコアに届かず、ジョンソンがメイジャー初制覇となった。3オーヴァー2位にウッズ、グーセン、サバティーニ、4オーヴァー5位にローズとジェリー・ケリー、5オーヴァー7位にアップルビーとパドレイグ・ハリントンが入った。ローズは最初の3ホールで二つのダブル・ボギー、さらに17番でもダブル・ボギーを叩いており、このうち一つないだけでも単独2位、二つなければ優勝というスコアだった。また、クラブを木に打ちつけて叩き折りながら打ったウッズの11番の第2打や、サバティーニの大きく弧を描いてカップに吸い込まれていった8番のイーグル・パットなど印象的なショットが目白押しで、今年のマスターズも面白かった。なんでも優勝スコアがオーヴァー・パーなのは1956年以来51年ぶりだそうだ。



 
 
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