第69回マスターズ

2005年4月7-10日   ★★★★

ジョージア州オーガスタ、オーガスタ・ナショナル・ゴルフ・クラブ

今年アメリカ中を混乱に陥れている雨は、たとえマスターズだからといっても容赦はしない。初日から雨のせいで順延、土曜を終わってもゴルファーはまだ第3ラウンドのプレイの途中だ。焦点のビッグ4は、土曜終了時点でタイガー・ウッズが首位に4打差の9アンダーで単独2位、ヴィージェイ・シングが4アンダーで4位タイ、フィル・ミッケルソンが3アンダーで7位タイ、アーニー・エルスが6オーヴァーで43位タイと、エルスのチャンスは潰え、シングとミッケルソンも難しい。


上位はウッズのすぐ下8アンダーにトマス・ビヨーンで、その下は4アンダーとなってしまうため、上位3人の間で決着がつく可能性が高い。特にウッズは初日、2オーヴァー74というスコアからの挽回で、最終日が楽しみだ。13番パー5で、下りのイーグル・パットを強く打ちすぎ、イーグルどころかそのままクリークに落としてしまいボギー、7番パー3ではグリーン手前からのパットがカップまで届かず、ほとんどパットした同じ位置まで戻ってしまい、やはりボギーと、本調子とはあまり思えなかったために、この挽回はエキサイトさせてくれる。今回はようやっとウッズのトーナメントになるか。


そして日曜日、TVをつけてみたら、午前中に終えた第3ラウンドでウッズが前日からの続きを含むマスターズ・タイの7連続バーディ等で、7アンダー65、通算11アンダーまでスコアを伸ばし、ついに単独1位に躍り出たことを知る。その下2位は8アンダーと、3打差をつけての最終日だ。これはウッズが3年ぶりにマスターズを制覇する可能性は非常に高いと見た。その下は7アンダーでビヨーン、5アンダーにミッケルソンとトレヴァー・イメルマン、4アンダーにシングとマーク・ヘンスビー、3アンダーにマイク・ウィアーが続く。


最終ラウンドは案の定誰もスコアを伸ばせず、単独3位だったビヨーンもずるずると後退したことで、フロント・ナインで完全にウッズら二人の勝負になる。朝好調だったはずのウッズが午後は特に調子がいいとも思えず、スコアを落とさない守りのゴルフに入ったことで2位との差が縮まり、ウッズはなんとか13アンダーで1打リードしたまま勝負は16番パー3へ。ウッズのそのティ・ショットはグリーンをオーヴァーしてしまう。デリケートな返しのチップ・ショットはスロープを利用してホールに向かってゆるゆると転がる。ほとんどカップ手前1mmで止まる絶妙のショット。と思った瞬間に、ふらりと揺らめいたボールは吸い込まれるようにカップに消えた。ほとんど映画かなんかの演出かと思える嘘みたいに劇的なバーディで、ギャラリーが沸く沸く。私も思わずカウチの上で叫んでしまった。


これでまた2打差となり、ウッズ盤石かと見えたが、しかしウッズは続く17番パー4でティ・ショットを引っかけてボギー。また1打差となり18番パー4へ。ティ・ショットを左ラフに入れたウッズのセカンドはグリーン右バンカーへ。サンド・ショットは10フィート残す。一方プレイング・パートナーはグリーン手前からフラッグを直撃する絶妙の第3打、これが入っていたらウッズに並び、その後のウッズのパー・パット次第では優勝だったのだが、弾かれる。ウッズはパー・パットを外し、結局二人は共に12アンダーでプレイオフとなった。


18番でのプレイオフは、ウッズは並ばれたことで逆にそれまでの肩の力が抜けたか、完璧なティ・ショットと第2打で、ピン奥15フィートへ。下りのバーディ・パットも見事に沈め、マスターズ4勝目、メイジャー通算9勝目を手にした。7打差がついた5アンダー3位にはレティーフ・グーセンと、この日イーグルを2本奪ったルーク・ドナルドが、4アンダー5位にはシング、ウィアー、ヘンスビー、イメルマン、ロッド・パンプリングが入った。ミッケルソンは結局この日2オーヴァー74、通算3アンダーの単独10位に終わった。ウッズはこれでまたまたワールド・ランキング・ナンバー1と、今シーズン、シングとウッズとでまたまたランキング1位の交代劇が続く。とにかく最終日、直接カップに放り込んだウッズの16番のバーディ・チップが今マスターズのハイライトだった。あのショットは歴史に残るだろう。 





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