MCIヘリテイジ

2003年4月17-20日   ★★★★

サウス・キャロライナ州ヒルトン・ヘッド・アイランド、ハーバー・タウン・ゴルフ・リンクス

一昨年MCIヘリテイジからワールドコム・クラシックと改名したこのトーナメント、今年からまた元通りのMCIヘリテイジだ。米通信業界の慌ただしさは、こういうところにも現れている。さて、トーナメントの方は、2日目終了時点で10アンダーで首位に立ったスチュワート・シンクが、3日目終了時点でも12アンダーで首位を譲らない。シンクは3年前にもこのトーナメントに勝っているし、わりと相性がいいようだ。


しかし最終日、TVをつけてみるといきなり首位に立っているのは、この日フロント9を6アンダー30で回り、一挙に14アンダーまでスコアを伸ばしたアーニー・エルス。本当に今季はビッグ・ネイムが活躍する。しかしエルスはシンクが勝ったその3年前のトーナメントで、一度はつかんだと思われた優勝を後半崩れて逃している。また同じ展開になるんじゃないだろうな。


と思いながら見ていたら、本当にエルスは16番パー4でドライヴァーでのティ・ショットをOBにしてしまい、ダブル・ボギーを叩いてしまう。短めのパー4で、他の、エルスよりショート・ヒッターのゴルファーですら3ウッドかアイアンでティ・オフしているのに、何もここでわざわざドライヴァーを使って墓穴を掘らなくても‥‥。なんか、先週のマスターズで、最終日に短めの3番パー4でやはりドライヴァーでティ・オフして林に打ち込み、ダブル・ボギーを叩いて自ら優勝のチャンスを潰したタイガー・ウッズを思い出してしまった。エルスは一気にがっくりときたか、続く17番パー3、18番パー4と連続ボギーを叩き、最後の3ホールで4オーヴァーとなり、10アンダーまで後退、優勝戦線から脱落した。


そのため、今度はいきなり大混戦となり、一時は12アンダーに8人が並ぶ。そこから抜け出したのはハル・サットンとウッディ・オースティンで、二人が13アンダーとなって首位に立つ。しかしサットンは18番で第2打をバンカーに入れ、そこからのアップ&ダウンに失敗、ボギーとなって脱落する。その直後に今度は13アンダーまでスコアを伸ばし、首位タイに並んだのはデイヴィス・ラヴ3世で、グリーンそばからの70フィートのチップ・ショットを直接カップ・インさせるスーパー・ショットでギャラリーを沸かす。一方のオースティンも13アンダーでレギュレイションを終えたため、勝負は二人のプレイオフになった。


18番でのプレイオフは、先に打ったオースティンがまず左に引っかけ、幅60ヤード以上ある、PGAツアー一広いフェアウェイの左沼地ぎりぎりで止まるも、OB杭の外側。もうほとんど勝負は決まったかと思われた。しかしラヴは安全に行きすぎたか、第3打はまた先程とほとんど同じように大きくグリーンをはずし、さらに今度はチップ・ショットも12フィートショートする。しかしオースティンはドロップした後の第3打もグリーンをとらえきれず、第4打も寄せただけでボギーは確実なため、その12フィートを入れれば勝ちだ。しかし、ラヴのパットはカップの左に蹴られ、結局二人ともボギーとなってしまう。


16番のプレイオフ2ホール目は、今度はオースティンが優勝を決める8フィートのバーディ・パットのチャンスを得る。そしたら今度はこのパットがカップの右に蹴られ、二人ともパー。17番パー3では二人ともティ・ショットがグリーンをはずれ、ラヴはグリーン左バンカー、オースティンはグリーン右のラフへ。二人ともうまいリカヴァリー・ショットを見せ、ラヴ6フィート、オースティン4フィートにつける。これは二人ともパー・セイヴで勝負はまだ続くかと思っていたら、まずラヴがパー・パットを外す。またまたチャンス到来のオースティン、今度こそと気負ったか、こちらも引っかけてしまい、二人ともボギーとなって、勝負はプレイオフ4ホール目の、再度18番へ。


ここでラヴの第2打は、ピンに直接当たる絶妙のショットで、ピンそば3フィート。一方のオースティンも第2打を20フィートにつけるが、いくらなんでもラヴがこのパットを外す可能性はほとんどない。オースティンは慎重にパットするが、カップの下側に僅かにそれる。オースティンは返しのパットを入れてパーで上がるが、ラヴは3フィートのバーディ・パットをきっちりと決め、87年、91年、92年、98年に続き、このトーナメント5度目の優勝。これこそコースと相性がいいというんだろう。12アンダー3位には、サットン、デイヴィッド・ゴセット、ジオフ・オグリヴィ、クリス・ライリーら4人が並んだ。これでラヴは今季タイガー・ウッズ、マイク・ウィアーに続き、早くも3人目のツアー3勝ゴルファーとなった。もしエルスが勝っていたとしても、やはり今季3勝目だったわけで、本当に今季はヴェテランが活躍する。







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