Late Night with Seth Meyers   レイト・ナイト・ウィズ・セス・マイヤーズ

放送局: NBC

プレミア放送日: 2/25/2014 (Tue) 0:35-1:35

製作: ブロードウェイ・ヴィデオ、ユニヴァーサル・メディア・ステュディオス

製作総指揮: ローン・マイケルズ

ホスト: セス・マイヤーズ

バンド: ジ・8Gバンド


内容: ホストが代わったNBCの深夜トーク・ショウ。


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Late Night with Seth Meyers


レイト・ナイト・ウィズ・セス・マイヤーズ  ★★1/2

ホストの代替わりが続いたNBCの深夜トーク・ショウについて何度も書いてきたのも、この項で最後だ。ジェイ・レノが「トゥナイト (Tonight)」を降り後任にジミー・ファロンが就き、そのファロンの移動によって空位になった「レイト・ナイト」にセス・マイヤーズが就任、NBCに誤りがなければ今度の今度こそNBCの深夜トークは今後しばらくの間‥‥たぶん20年くらいは安泰のはずだ。


5年前にファロンが「レイト・ナイト」に就任した時に較べ、今回のマイヤーズの就任は、どちらかというとロウ・キーという印象を受けるものだった。マイヤーズがファロンの後を継いで「レイト・ナイト」ホストに就任するというのは昨夏には既に発表されていたわけだが、それが特に話題になったわけでもなく、今回の就任はほとんど淡々と進行したという感じだった。ファロンが「トゥナイト」に就任した時とは、雲泥という感じでマスコミの取り扱いが違った。


マイヤーズはファロン同様NBCの「サタデイ・ナイト・ライヴ (Saturday Night Live: SNL)」出身、それも共にニューズ報道仕立ての「ウィークエンド・アップデイト」コーナーを担当していた。ファロンが担当していたのは2000年から2004年、マイヤーズは2006年から、つい3週間前まで「SNL」にいた。


「ウィークエンド・アップデイト」というと、私としては最も印象に残っているのはファロンでもマイヤーズでもなく、ファロンの相方を長い間務めていたティナ・フェイだ。フェイはファロンがSNLを去った後も、今度はエイミー・ポーラーと組んで2006年まで「ウィークエンド・アップデイト」を担当していた。フェイはNBCで製作主演した「30ロック  (30  Rock)」も批評家受けがよかっただけでなく、当時の共和党副大統領候補のサラ・ペイリンと角度によっては瓜二つで、それもあって一時、時の人という感じで売れまくった。


ポーラーは、フェイが去った後、マイヤーズとペアを組んで2008年まで「ウィークエンド・アップデイト」を担当、その後NBCで「パークス・アンド・レクリエーション  (Parks and Recreation)」に製作主演している。つまり、ファロンとマイヤーズではなく、その二人に挟まれたフェイ‐ポーラー時代が、近年の「ウィークエンド・アップデイト」としては最も面白かったという印象がある。


マイヤーズはポーラーが「SNL」を去った後も、昨年シシリー・ストロングとペアを組むまでシングル・アンカーとして2008年から2013年まで「ウィークエンド・アップデイト」を担当、結果として、7シーズン半におよぶ「ウィークエンド・アップデイト」史上最も息の長いアンカーになった。特に印象に強く残るわけではないが、いつの間にか記録を作っていたというのがマイヤーズで、そういう個人的な資質が、今回のまったく派手派手しくない「レイト・ショウ」就任劇にもよく現れているという気がする。


マイヤーズの最後の「SNL」の「ウィークエンド・アップデイト」は、今年2月1日に放送された。月末には「レイト・ナイト」が始まるというのに、そんな悠長に構えててもいいのかと、他人事ながら気になる。あまりに平常通りに番組が進むので、もしかしてこれ、再放送かと思ったくらいだ。しかし最後には、マイヤーズによる「ウィークエンド・アップデイト」はこれが最後との発表があり、共同アンカーのストロングが思わず涙ぐんだり、かつての仲間であるポーラーやビル・ヘイダー、アンディ・サンバーグも姿を見せる。サンバーグはこの一週間後に、今度はファロンの「レイト・ナイト」の最後のゲストとしても登場する。最後にカメラの前を横切って行こうとしているのは、フレッド・アーミセンだ。


ファロンが「レイト・ナイト」から「トゥナイト」に移ってきた時は、「レイト・ナイト」最終回からほとんど間を開けずに「トゥナイト」が始まったのだが、基本的にほとんど同じ番組が時間帯と番組名を変え、マイナー・チェンジを施しただけだから、特に準備期間を必要とするわけではなかった。実際、ファロンが一番最初に「レイト・ナイト」を始めた時には、一年くらい準備期間を置き、周到に準備していた。もっとも、その割りには、というか時間があって考える時間があり過ぎたせいか、本番では緊張し過ぎて失敗していた。今回、マイヤーズによる「SNL」引退から「レイト・ナイト」開始までの時間がそれほどなかったのは、この時のファロンの経験が関係しているのかもしれない。準備期間をたっぷりとることよりも、生の観客の反応をアドリブで生かす反射神経を、休んで鈍らせてしまうデメリットの方が大きいという判断だ。


そのマイヤーズがホストの新「レイト・ナイト」は、冒頭、マイヤーズがファロンに謝辞を伝えるサンキュー・ノートを書いているという設定で幕を開ける。もちろんサンキュー・ノート・スキットはファロンの持ちネタで、いつもザ・ルーツ共々このギャグを展開している。そのパロディ、というかオマージュだ。


驚いたのが、ハウス・バンドのジ・8Gバンドのバンド・リーダーとしてギターを弾いている、やはり「SNL」出身のアーミセンだ。元々「SNL」出身のコメディアンは、多芸のファロンを例に挙げるまでもなく、歌えて踊れて楽器の弾ける者は多い。とはいえ、プロのバンドとして使えるくらいアーミセンがギターが弾けたとは知らなかった。


アーミセンというと、「SNL」では最もオフ・ビートという印象が強かった。そのアーミセンの最大の持ちネタが、デイヴィッド・パターソン元NY州知事だ。パターソンはほとんど目の見えない弱視で、そのせいで動きはぎこちない。そのパターソンをパロディにするアーミセン・ギャグは、それが実に特徴をよくとらえてそっくりであるだけにかなり危ないと思わせ、見ているこちらの方が心配になるくらいだった。実際、パターソンからクレームが入ったりしていた。しかし最後にはそのパターソン共々「SNL」に登場したりして、結局パターソン・ギャグを貫いた。なんつーか、お笑いの本質は反権力にあり、と思わせてくれた。


アーミセンはこの手のトーク・ショウのバンド・リーダーがそうであるように、時々ホストのマイヤーズとトークの掛け合いをする、サイド・キック的役割も受け持っている。しかし、その会話が噛み合っているようないないような、オフ・ビートな持ち味は変わらない。ついでに言うとアーミセンはインディペンデント・フィルム・チャンネルで、これまたオフ・ビートの味が充満しているコメディの「ポートランディア (Portlandia)」に主演中でもある。マイヤーズ共々、マイペースで着実にキャリアを築いているという印象を受ける。


番組第1回の最初のゲストはポーラーで、いかにもと思わせた。意外といえば意外、あるいはなるほどとも思わせたのが、次に登場したジョー・バイデン副大統領だ。バイデンはポーラーの「パークス・アンド・レクリエーション」にゲスト出演したことがあり、その縁だろう。最初の音楽ゲストはア・グレイト・ビッグ・ワールドで、クリスティーナ・アギレラなしで「セイ・サムシング (Say Something)」を歌う。「セイ・サムシング」は必ずいつもアギレラとのコラボとして歌うと決まっているわけではないようで、グレイト・ビッグ・ワールドがアギレラなしでこの歌を歌っているのを何度も目にしている。アギレラが客演しているという立場なんだろう。


第2回以降の第1週のゲストは以下の通り。最も印象に残ったのは土曜 (金曜深夜) に登場した イアン・マッケランとパトリック・スチュワートで、二人共ゲイであるわけだが、マッケランは昨年だかスチュワートの同性婚の仲人みたいなことをしたそうで、二人はプライヴェイトでは仲がいい。「X-メン (X-Men)」とはまるで違う。というか、「X-メン」でも最初は親友であったわけだから、それも当然か。



2/25 (Tue): エイミー・ポーラー、ジョー・バイデン米副大統領。音楽ゲスト:  ア・グレイト・ビッグ・ワールド

2/26 (Wed): カニエ・ウエスト、ラッセル・ウィルソン

2/27 (Thu): ケリー・リパ。音楽ゲスト:  ブラッド・ペイズリー

2/28 (Fri): レナ・ダンハム、アンソニー・マッキー。音楽ゲスト:  ジョン・メイヤー・トリオ

3/1 (Sat): イアン・マッケラン、パトリック・スチュワート、ソフィア・ブッシュ、マイケル・チェ











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