Jon and Kate Plus 8  ジョン・アンド・ケイト・プラス8

放送局: TLC

プレミア放送日: 4/23/2007 (Mon) 21:00-21:30

第4シーズン・プレミア放送日: 6/23/2008

製作: フィギュア8フィルムス

製作総指揮: ビル・ヘイズ

製作: ジェン・ストックス

出演: ジョン・ゴセリン、ケイト・ゴセリン、ケイラ・ゴセリン、マデリン・ゴセリン、アレクシス・ゴセリン・アーデン・ゴセリン、コリン・ゴセリン、リア・ゴセリン、ハナ・ゴセリン、ジョエル・ゴセリン


内容: 双子と6つ子、計8人の子供に囲まれ毎日殺人的忙しさに追われるゴセリン家に密着するリアリティ・ショウ。


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「ジョン・アンド・ケイト・プラス・エイト」を放送しているTLCは、ディスカバリー・チャンネルの姉妹チャンネルであり、チャンネル名のTLCとはThe Learning Channelを意味する、生涯教育チャンネルがそもそもの始まりだ。もっとも、今では番組ラインナップのほとんどをリアリティ・ショウが占める。現時点でTLCで最も人気のあるのも、リアリティ・ショウの「リトル・ピープル・ビッグ・ワールド (Little People, Big World)」だ。


一方TLCの近年の日中の編成は、出産の喜びをとらえる「バース・デイ (Birth Day)」、生まれたばかりの子と共に初めてうちに帰る「ブリンギング・ホーム・ベイビー (Bringing Home Baby)」等の、子供関係の番組が多い。たぶん日中は20-30代の主婦層が見ているため、自然とその層に最もアピールする番組作りへとシフトしていったものと思われる。


プライムタイムでも、メイクオーヴァー・リアリティの「ホワット・ナット・トゥ・ウェア (What not to Wear)」「トレイディング・スペイスズ (Trading Spaces)」等、やはり20-40代くらいの女性をターゲットにしている番組が多い。いずれにしてもベイビーはその年代の女性にとって主要な関心事であり、近年はその延長線上で、家族そのものがテーマのリアリティ・ショウも出てきた。「リトル・ピープル・ビッグ・ワールド」もその一つで、「ジョン・アンド・ケイト・プラス・エイト」が続き、さらにもう一本、こちらは子供が18人でまだ増える可能性があるという、これまた驚異的な家族を追った「エイティーン・キッズ・アンド・カウンティング (18 Kids and Counting)」という番組まで現れた。


「ジョン・アンド・ケイト・プラス・エイト」の場合、一昨年の2007年から放送は始まっている。番組は夫ジョンと妻ケイト、それに彼らの子供たち、最初に生まれた現在8歳になる双子の女の子ケイラとマデリン、そしてその4年後に生まれた男の子と女の子3人ずつの6つ子アレクシス、アーデン、コリン、リア、ハナ、ジョエルのプラス8人、計10人家族が日々格闘する様をとらえるリアリティ・ショウだ。


番組が始まった当初は、私はその他もろもろの同系統番組と共に、特にこの番組に注意を払ってはいなかった。正直言って、私自身は子供、特に他人の子供にはまったく興味はなく、大量の子供となるともう何をかいわんやである。冗談じゃない、真っ平ごめんという気持ちの方が強かった。何を好き好んでわらわらとあちらこちらで泣き喚いているに違いない、他人の子供を主体としたリアリティ・ショウを見なきゃならんのだと思っていた。一昨年の放送開始時のプレミア・エピソードだけは見たが、うわあ大変そうと思っただけで、それきり忘れていた。


そしたらこの番組、あれよあれよという間に「リトル・ピープル・ビッグ・ワールド」に匹敵する、TLCの人気番組に成長してしまった。最近は週末になるとかなりの頻度で「ジョン・アンド・ケイト」のマラソン放送をしている。様々な媒体でも番組がとり上げられて紹介されるようになっている。これは食わず嫌いで見ないでいる場合じゃないかもしれない。


とまあそんなわけで最新シーズンのプレミア・エピソードでもまた見てみるかと思ってチェックしてみて驚いたのだが、この番組、公式には現在第4シーズンということになっているが、事実上2007年秋の第2シーズンからほぼ毎週新エピソードの放送が続いている。いくら早撮りが可能で撮り溜めが利くリアリティ・ショウといえども、この放送頻度は半端じゃない。人気のある証拠だとはいえ、エピソード数の増え方が尋常じゃないのだ。


第1シーズンのエピソード数10話、第2シーズン10話、第3シーズン31話、一応昨夏からとされる第4シーズンは現在36話目が放送され、さらに継続放送中と、いったいどこまで続くのかわからない。放送が始まってまだ2年経たないのに、既に100話に手が届きそうな勢いなのだ。プライムタイム編成番組では、ドラマだと年間平均20-24本、リアリティ・ショウでも行ってせいぜいその1.5倍のエピソード数が常識のアメリカTV界において、こんなにエピソード数のある番組なんてまずめったにお目にかかれない。


それでそんなに人気があるならシーズン・プレミアみたいなキリのいいところからと思ってたのだが、しょうがないので、マラソンで放送されているエピソードから適当に何本か見てみた。まず最初に、たった2年弱で一方の主人公である旦那のジョンの髪の生え際が、いきなり激しく後退しているのに気づく。特に番組自体が記憶に残っているわけではない私が目にした瞬間に、思わず、こいつ禿げたと思わせるのだから、かなり髪が薄くなっているのは確かだ。


同時に、ジョンの顔がかなり疲れているのにも気づく。最初から特に明朗快活な外見とは言えなかったが、かなり顔に疲労が蓄積されているのだ。心なし口数も減ったようだ。うるさい盛りのガキ8人だからな、そりゃストレス溜まるだろうし髪も薄くなれば口数も減るか。というか、本当に最もストレスが溜まるのは、家庭の中に常時そばに撮影クルーがいることにあると思う。とはいえ彼等が払ってくれるギャラは、8人の子の将来のためにも是非必要だと思って我慢しているに違いない。ジョンは韓国系アメリカ人で、その辺のメンタリティも関係していそうだ。白人か黒人、あるいはラテン系ののアメリカ人なら、他人がそばにいても機嫌の悪い時は怒鳴り散らしてストレスを発散しそうな気がする。


一方のケイトは白人なのだが、実際こちらは2年間で特に変化は見られない。心もち体重が増えたような気もするが、最近うちの女房につき合ってデブの減量リアリティ・ショウ「ザ・ビギスト・ルーザー (The Biggest Loser)」を見ており、体重過多に鈍感になりつつあるので、正直言うとケイトを見ても特にウエイト・オーヴァーには見えない。8人の子に囲まれて痩せないで太っていきそうなことに逆に感心するだけだ。そういえば「ビギスト・ルーザー」でも、子が多い母親ほど太っていた。ストレスで食べるタイプだったり、あるいは子供に食事を上げる時に味見しながらきっと自分も食べちゃうんだろう。それを8回繰り返せば充分太る。


番組の冒頭部ではケイトのおなかの中にその6人の子がいる時の映像を一瞬見せるのだが、これがすごい。いきなりおなかの部分だけ前方に突出しているのだ。胸の部分の身体の厚みのゆうに3倍はある。あれが下に弛んでいくというよりも、重力に逆らって前に前に出ようとしているのがすごい。こんなに皮膚が伸びてもいいのかという気もするが、実際ケイトは出産後、かなりおなかが緩んでしまったらしい。それを手術で矯正したそうだ。さもありなんと思う。


アメリカには異人種間のカップルは掃いて捨てるほどいるが、私見では親が異なる人種であると、子は可愛くなる、あるいはハンサムな子が生まれる確率が非常に高い。私の近くにも異人種間カップルは何組もいるが、だいたい揃って子は可愛い。他人の子と近づきになるなんて真っ平だと思っている私が言うのだから、まずこの意見は多くの賛同を得ることができると思う。人間はサラブレッドとは違って、血が混じるほどよくなることの証明だ。


実際、ジョンとケイトの子供たちも非常に可愛い。これはTVで、実際にうるさいシーンを直接体験しているわけではないから言えるのだろうが、それでも混血の子は可愛いと思う。そして小さいなりにそれぞれがキャラクターを持ち、行動するので、いったん番組に感情移入して見てしまうと、かなり中毒するだろうというのは言えると思う。


そして最近番組の話題をよく聞く理由の一つとして、話題の8つ子を産んだオクトマム (Octumom) の存在も無視できない。要するに8つ子 (Octuplets) を産んだママだからオクトマムなのだが、本人の名前なんか覚えてなくても、「オクトマム」という単語はあまりに流布しているのでしっかりと頭に刻まれてしまった。このオクトマム、なんでもアンジェリーナ・ジョリーに心酔するあまり、彼女の真似をできる、あるいは凌駕できるのは子供を産むことだけと、自分の経済状態なんかまるで考えずに、既に6人の子を産んでいるのにもかかわらず、とにかく大量の子を生むことだけを考えて人工授精したらしい。おかげで14人の子持ちとなってしまった。いったいどうやって育てるんだ。


顔も整形してジョリーに似せたのはどうやら間違いなく、マスコミからだけでなく、親を含めて世間一般からなに考えているんだこいつ、と叩かれまくりなのだが、いっこうに反省する素振りなど見せずに平気でTVに登場したりしている。開いた口が塞がらない。いつかジョリー対オクトマム・チームのベイスボールだかサッカーのゲームが組まれるに違いない。いずれにしても、昨年から既に人気番組の仲間入りしていたとはいえ、こういう世間の子沢山の家庭に対する関心が、「ジョン・アンド・ケイト」の最近の人気急上昇に一役買っているのは間違いないと思われる。


だがしかし、こういう副次的ストーリーはあるにせよ、実は番組が人気のある本当の理由はそこにはない。それは番組に対して意見を述べている者たちが書いているのを読めばよくわかる。視聴者の本当の関心は、6つ子ではなく、ジョンとケイトの結婚生活の方にあるのだ。


いくらアメリカといえども、異人種間の結婚でしかも8人の子持ちなんて家庭は、いくらなんでもそれほどはない。しかも夫がどちらかというとあまり表情や自分の意見を外に現さないアジア系で、妻が歯に衣着せないタイプの女性であった場合、夫が妻の尻に敷かれる確率はかなり高いと言える。実際にそう見えるのだ。だいたいジョンは、ケイトのああしてこうしてという依頼というよりは命令に、不承不承従っているように見える。


あるエピソードではジョンの寝息だかぜいぜいする呼気音だかが癇に障ったケイトが、ジョンに向かって息をしないでと叫び、それに対してジョンは呼吸してごめんなさいと謝っていたそうだ。これではジョンのストレス、鬱屈は溜まるだろう。そして番組に関連して現在巷を賑わせている最新ニューズが、ジョンが自宅から遠く離れたバーで酒を飲んで、そこで意気投合した近くの女学生に誘われるまま、かなり酔っ払って羽目を外したというもので、そこでジョンがもしかしたら離婚するかも、と口を滑らせてしまったらしい。


この事件に対する番組ファンの反応の多くが、やっぱり、というものだったというのが、視聴者がどういう視点で番組を見ているのかを窺わせる。さて、番組は今後も無事夫婦の危機を乗り越えて続いていくことができるのか。最近ゴセリン家はTV局から手に入れた金を元に1億円以上の新築の家を建てそこに引っ越しており、私の意見ではジョンの性格から見て、多少のストレスはあっても子供のことも考えて本気で離婚することはないと思うが、こればかりは本人にしか本当のところはわからない。



追記 (2009年11月)


先頃、やはりという巷の憶測を裏付けるように別居したジョンとケイト、そのアナウンスをしたエピソードの視聴率は、TLCの記録を塗り替えた。特にいつの間にやら外に新しいガールフレンドを作っていたジョンが、意外に性格が悪いことが次々に露呈する。勝手に二人の口座から20万ドルにおよぶ金を引き出してケイトの訴えにより裁判所から返金命令が出たり、ジョンなしで番組を継続して製作放送しようとしていたTLCに対し、彼らは自分の息子娘たちでもあるのだから、勝手にTVに出すことは許さないと申し出た。TLCは契約不履行でジョンを訴えれば、ジョンもカウンター訴訟でやり返すなど、もう泥沼だ。結局TLCとしてもジョンの同意なくしては子供たちをTVに出すことは諦めざるを得ず、このほど番組は正式に最終回を迎えた。TLCは来春には「ケイト・プラス・エイト」を製作したいとしているが、またジョンからの横槍が入るのだろうか。



追記 (2010年6月)


ついに始まったジョン抜きの「ケイト・プラス・エイト (Kate Plus 8)」、ケイトは番組放送開始前にはABCの人気勝ち抜きリアリティ「ダンシング・ウィズ・ザ・スターズ (Dancing with the Stars)」にも出るなど注目度を高めたおかげで、番組はそこそこの成績を得ている。しかしケイトのダンスは案の定見られたものではなかった。いずれにしても驚くのは子供たちの成長の速さで、特に男の子は既にもう可愛いとは言えなくなってきた。それともなんとなくジョンに似てきたからそう思うのだろうか。








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ジョン・アンド・ケイト・プラス・エイト   ★★1/2

 
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