メイジャー後のトーナメントは、主要なゴルファーがだいたいオフをとる。今回のジョン・ディアも、リーダー・ボードに知っている名前がほとんどない。私がツアーを見始めてから何年にもなるが、それでも今回勝ったJ. L. ルイスは、少なくともここ数年、ツアーで優勝していないことは確か。TVをつけた時、あまりにも知らないゴルファーの名前ばかりがリーダー・ボードに並んでいるので、一見、間違えてシニアを見てるのかと思ってしまった。とういわけでもないが、今回は久し振りにラウンドした私の近況を書こうと思う。


先日一と月ぶりにラウンドしたのだが、アメリカのパブリックでシングルでラウンドすると、誰とフォーサムを組まされるかでラウンドの印象が大きく変わってくる。この日はたまたま仕事が半ドンで終わったので、近くの短めの (パー67) コースで久し振りにゴルフを楽しんだ。今アメリカでは、タイガー・ウッズがウェッジのフェイスででボールを落とさずに何度もバウンスさせ、最後にそれをスウィングして (その間ボールは一度も落とさない) ひっぱたくというナイキのコマーシャルが話題になっているのだが、コースに行ってみると、その真似をしているナイキのベイスボール・キャップを被ったアジア系の少年がいた。その彼と、40代の白人のおっさんとのスリーサムでラウンドすることになったのだが、この少年がすごかった。


私と白人のおっさんはレギュラー・ティーで廻ったのだが、彼はバック・ティーからティー・オフするくせにいつも私たちより飛ぶ。平均で280ヤードは出ていただろう。しかもフォームがまるでタイガー・ウッズなのだ。ビューティフルである。聞けばまだ16歳。プロになる気かと訊いたら笑っていたが、充分その気ありと見た。平日の午後一人でラウンドするティーンエイジャーがその気がないわけがない。いったいいつからゴルフを始めたのかと聞くと、2歳からと言っていた。タイガー・ウッズといいこの少年といい、やはり英才教育は必至だよな、私なんか真面目にやり始めたのはせいぜい2年前から、しかもこの一と月はコースを回ってない。これじゃうまくなんかならんよ。


このコースは18番ホールがパー5なのだが、彼は550ヤードを楽々と2オンさせていた。第2打はどう見ても5アイアン以上には見えなかった。追い風でドライバーの落下地点が下りとなっていて距離を稼いだにしても、ドライバー320ヤード、5アイアン230ヤードの計算である。ほとんどタイガー・ウッズ並み。第3打で寄せて楽勝バーディ。一度だけダブル・ボギーを打った他はすべてバーディ、パー、たまさかボギーで廻っていた。凄いものだ。私なんてもう少しで3桁だったのに。彼のバッグのタッグにクリス・パークと書かれてあったので、君はあのグレイス・パーク(第2のセ・リ・パクと騒がれている新進女子プロ)と関係があるのかと聞いたら、全然そんなことはないという。彼は韓国人で、セ・リ・パクのパク(Pak)もグレイス・パークのパーク(Park)も同じ字を書き、韓国にはありふれた名前なのだそうだ。そうか、彼等はみんなパクさんだったのか。そう言えば昔、韓国ではボクさんとかキムさんとか、主要な5つか6つの名字だけで全国民の名前の80%をカバーすると聞いたことがある。


話は逸れたが、この時一緒に廻った白人のおっさんエディはパワー・カートに一人で乗って廻り、少年はバッグを担ぎ、私はプル・カートでバッグを引っ張りながらラウンドした。アメリカのパブリック・コースではこのように各自好き勝手に自分のスタイルでラウンドさせてくれるので好きである。疲労しやすい中年以降はパワー・カートに乗ればいいし、一応エクササイズの一種だと考えている私は歩きたいと思うし、プロを目指すようなシリアスなゴルファーは大概X字型のストラップを使ってバッグを肩から担いでいる。以前田舎で親父と一緒にラウンドした時、必ず4人のパーティで予約すること、半ズボンは駄目 (沖縄だぜ沖縄)、パワー・カートにバッグを乗せてキャディ付きが必須だと聞いて仰天した記憶がある。しかもラウンド1万2,000円! アメリカに来てフィーの安さ (パブリックだと普通18ホールで20-30ドル前後) に魅せられてゴルフを始めた身には、日本のゴルフはスポーツじゃないと思ったものだ。


ラウンドの話に戻るが、普通同じパーティの誰かがよいショットを打った時は、「ナイス・ショット」とか「グッド・ヒット」とか言うのが礼儀なのだが、この時一緒に廻った白人のおっさんエディは、少年が次から次にプロ並みのショットを連発するものでいい加減「ナイス・ショット」と言うのに飽きが来て、「俺はもう「ナイス・ショット」と言うのにはうんざりだ」と心底真面目にぼやいていたので私は腹を抱えて笑ってしまった。一人でラウンドすると、このような意外な楽しい経験をするのでやめられない。







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ジョン・ディア・クラシック

99年7月22日-25日   ★1/2

イリノイ州コール・ヴァリー

 
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