Jimmy Kimmel Live   ジミー・キメル (キンメル)・ライヴ

放送局: ABC

プレミア放送日: 1/27/2003 (Mon) 0:05-1:05

マット・デイモン・テイクオーヴァー・エピソード放送日: 1/24/2013 (Thu) 23:35-0:35

製作: ジャックホール・インダストリーズ、タッチストーンTV

製作総指揮: ジミー・キメル、ダニエル・ケリソン

ホスト: ジミー・キメル


内容: マット・デイモンに乗っ取られた深夜トーク・ショウ。

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Jimmy Kimmel Live


ジミー・キメル・ライヴ   ★★★

ジミー・キメルがまたやった。キメルの「ジミー・キメル・ライヴ」が編成時間帯が変更になり、三大ネットワークが夜11時半から揃って深夜トーク・ショウを編成したことは、こないだ書いたばかりだ。 

 

新生「ジミー・キメル」は最初は注目度の高さもあって好成績を収めたが、すぐにそれも落ち着き、今では予想通り、NBCのジェイ・レノの「トゥナイト (Tonight)」、CBSのデイヴィッド・レターマンの「レイト・ショウ (Late Show)」に次ぐ時間帯3位が定着しつつある。 

 

実は「ジミー・キメル」、2005年にLAに遊びに行った時、収録を見るチャンスがあった。私たち夫婦はお上りさんらしくハリウッド・ブールヴァードを歩いていたところ、呼び込みに声をかけられた。「ジミー・キメル」を見に来ないかというのだ。 

 

その時点で始まって既に2年以上経過していたが、それでも「ジミー・キメル」は視聴者に定着しているとは言えず、まだ暗中模索中という状態だった。収録前にハリウッド・ブールヴァードで、ステュディオを客でいっぱいにするために表に出て手当たり次第に声をかけていることからも、そのことが窺える。これがレノやレターマンなら、キャンセル待ちで早くから列に並んでいなければならない。 

 

番組がジミー・キメルここにありと初めて視聴者に印象づけた最初のデイモン・ネタである「アイム・フxxキング・ベン・アフレック」が登場するのはさらにこの2年半後の2008年冬であるから、この時の私がキメルを軽視していても、特に文句は言われないと思う。キメル、あの、ほとんど誰も見ていないキメルか、いいや、それよりはお上りさんらしくチャイニーズ・シアターを見て食事しに行こうと考えたとしても、別に責められないと思う。要するにこの時の「ジミー・キメル」の知名度というのは、このくらいの程度でしかなかった。 

 

そのキメル株が急上昇した「アイム・フxxキング・ベン・アフレック」、および続くデイモン・ネタの由来はこちらで詳しく書いたから参照してもらうとして、このネタ、番組の放送時間帯が移動してもやるのかなと思っていたら、案の定まだ続けている。毎回、番組の最後に必ず、ゲストのデイモンに話を聞く時間がなくなってしまいました、と、最初から呼んてもいないデイモンをコケにして番組を終わる。当分辞めるつもりはないようだ。本当にしつこい。 

 

それにしても事情を知らない視聴者が見たら、なんのことやら意味がわからない。というか、そのままそうでしたかとスルーして終わりだろう。何度も番組を見て初めて、またデイモン? これはなんかおかしい、と気づく算段になっている。 

 

いずれにしても面白くないのは毎日コケにされるデイモンで、今回、ついにデイモンが逆襲を試み、番組を乗っ取ったという設定で、スペシャル版が放送された。それが今回の「マット・デイモン・テイクオーヴァー」エピソードだ。どちらかというと時間帯が変わってもデイモン・ギャグを辞めないから怒ったデイモンが番組乗っ取りを企んだというより、企画が既にあって動き出していたのが今回たまたま実現しただけという方があり得そうな気がするが、しかしタイミングとしては、このスタントは番組にさらに注目を集めるという点で大きな効果があった。 

 

このエピソードの冒頭に現れたデイモンは、カメラに向かってキメルに対していかにはらわたが煮えくり返っているかを述べると、次の瞬間、カメラに手を伸ばし横に振る。すると、そこに映っているのは猿轡を噛まされ、椅子にダクト・テープでぐるぐる巻きにされているキメルではないか。次のシーンではその猿轡を噛まされたままのキメルをキャスター付きの椅子ごと押しながらデイモンがステュディオに登場、番組はオレが乗っ取ったと宣言、一言も発することもできないキメルをずっとステュディオの中にほったらかしにしながら、デイモンがホストとなって番組を進める。 

 

驚くべくは、とはいえ自分はホスト業が本業じゃないからその分豪華なゲストを用意したと言う通り、ゲストとして登場したセレブリティの数々で、確かにこれはいつものキメルよりこちらの方が見映えがする。まず最初に登場したのは、アシスタントのギレルモの代わりを務めるアンディ・ガルシア。ギレルモと同じスパニッシュ系とはいえ、格の差は歴然。バンド・リーダーも首をすげ替える。番組外では知られていないクレトを追放、代わりに現れたのはシェリル・クロウだ。 

 

さらにデイモンはキュー・カードを読みながら番組を進行する‥‥と、なぜだかカードに書かれているのはキメルを誉める言葉ばかり。なに、と思ったデイモンがそのキュー・カード係に目を向けると、その男は誰あろうベン・アフレックではないか。アフレックはキメルにこんな仕打ちはできない、と捨てゼリフを残して去る。 

 

次は深夜トークのホストに必須の、時事関連のモノローグのジョークだ。しかし自分はコメディアンではないからとしてデイモンは内ポケットからiPhoneを取り出すと、Siriに向かって、近くにいる著名コメディアンはいないかと尋ねる。ちょうどいいのがすぐ近くにいる、よし、呼んでくれということでステュディオに入ってきたのは、ロビン・ウィリアムスだ。 

 

その後もゲストは綺羅星の如くで、ヴィデオ・レターで登場したのはジェニファー・ロペス、サリー・フィールド、ジョン・クラシンスキ、ロバート・デニーロ、ドン・チードル、オプラ・ウィンフリー等々。さらに昔キメルは俳優志望の時代があったとして、オーディション・フィルムにエミリー・ブラントやグレッグ・キニアが出てくる。 

 

そしてステュディオに現れた最初のゲストは、ニコール・キッドマン。次に登場したのはゲイリー・オールドマン、間髪を入れずにエイミー・アダムズも現れる。さらに街頭に出たガルシアが、ハリウッドでは石を投げたらセレブリティに当たると試しに投げてみると、その石に当たって登場したのはリース・ウィザースプーン。次に当たったのはデミ・ムーアだ。しかしムーアの顔ってなにか手を入れたのがありありで、かなり人工的な顔になっている。アシュトン・クッチャーとの離婚話もこじれているようだし。 

 

そして最後のゲストは、デイモン-キメル不和のそもそもの原因となったサラ・シルヴァーマンが登場、最後はクロウが新曲を歌って締める。その間キメルはずっと猿轡を噛まされて椅子に縛られたままで、最後には額に口紅でLoserと落書きまでされている。いや、それにしても超豪華な面々であった。 

 

「ジミー・キメル」はこないだも現在ケーブルで最も人気のあるリアリティ・ショウのA&Eの「ダック・ダイナスティ  (Duck Dynasty)」の出演者の面々をゲストに呼んだ時、同じ日にパフォーマンス予定だったモリッシーが、出演をキャンセルしてニューズ・ネタになっていた。要するにあの番組は生物、端的にカモを殺戮しているということに対する抗議だったそうだ。 

 

そのことの是非はともかく、おかげで「ジミー・キメル」はまた注目された。番組とはまったく関係のないモリッシーの行動だったわけだが、「ジミー・キメル」はまた話題になった。物事が上り調子で波に乗っている時というのは、こんな風になんでも追い風になる。 

 

さて、現在、来年で契約の切れる「トゥナイト」のレノの代わりに、直後の「レイト・ナイト (Late Night)」ホストのジミー・ファロンを新「トゥナイト」のホストとして持ってくるという話が業界を席巻している。ファロンなき「レイト・ナイト」の後釜には、同じくNBCの「サタデイ・ナイト・ライヴ (Saturday Night Live)」出身のセス・マイヤーズという案が濃厚らしい。一時期安定するかに見えて激震が襲い、今度こそ安定するかと思えたものがまた地盤が揺らいだ深夜トーク界、まだまだ目が離せない状況が続く。 









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