放送局: UPN

プレミア放送日: 11/16/2001 (Fri) 21:00-22:00

製作: ラリー・トンプソン・オーガニゼイション、ライオンズ・ゲイト・エンタテインメント

製作総指揮: ラリー・トンプソン

監督: ジム・ユキッチ、バド・シェイトズル

音楽: ジェイ・ファーガソン

美術: スティーヴ・バス

ホスト (チェアマン): ウィリアム・シャトナー

アイアン・シェフ・フレンチ: ジャン・フランソワ・メティーナー

アイアン・シェフ・イタリアン: アレッサンドロ・ストラッタ

アイアン・シェフ・アメリカン: トッド・イングリッシュ

アイアン・シェフ・エイジアン: ロイ・ヤマグチ

挑戦者: ケリー・サイモン

解説: マイケル・バーガー

解説: アンソニー・ディアス・ブルー

フィールド・レポーター: シシィ・ビガース


内容: ラスヴェガス、MGMグランド・ホテルで開催されたアメリカ版「料理の鉄人」こと「アイアン・シェフUSA」を収録。


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「料理の鉄人」ではない。「アイアン・シェフ」である。フジTVが製作した「料理の鉄人」は「アイアン・シェフ」と題され、アメリカでもケーブルTVのフード・チャンネルが放送、一部でカルト的人気を獲得した。フード・チャンネルを一部の料理好きや主婦しか知らないニッチェ・チャンネルから全米規模に知名度を推し上げたは、ひとえに「料理の鉄人」と、今、NBCでシットコムに主演するまでになったセレブリティ・シェフ、エメリル・ラガッシの貢献の賜物である。


「料理の鉄人」のような番組はアメリカではひとからげにしてリアリティ・ショウと呼ばれ、広く人気を博している。CBSの「サバイバー」、ABCの「フー・ウォンツ・トゥ・ビー・ア・ミリオネア」、FOXの「誘惑の島」等、全部がリアリティ・ショウというカテゴリーでくくられ、高い視聴率を獲得している。これらのリアリティ・ショウに共通なのは、人気が出るとその番組の製作フォーマットだけを輸出したり輸入したりして、世界各地でその国のテイストにもっとマッチした現地版が製作されることだ。「ミリオネア」やNBCで放送されているクイズ番組の「ウィークスト・リンク」は元々イギリスで放送されて人気の出た番組をアメリカで製作しているものだし、CBSの「サバイバー」はスウェーデン製、「ビッグ・ブラザー」はオランダで放送され人気の出た番組をアメリカで製作したものだ。


そして今、ついにアメリカ版「アイアン・シェフ」が登場した。今回の「アイアン・シェフUSA」の放送が画期的であるのは、それがアメリカの6大ネットワークのうちの一つであるUPNで放送されたことだ。UPNはまだ放送を開始して5年にしかならない新興ネットワークだが、それでもネットワークであることには変わりない。ケーブルや衛星放送の力に頼らずとも、地上波による電波だけで北米大陸の全TV人口の100%近くに達するネットワークのUPNは、全TV人口の70%程度にしか達しないケーブルTVの1チャンネルにしか過ぎないフード・チャンネルとは、潜在的視聴者の数において比較にならないのだ。今回は様子見のためにたった1回きりの特番であるとはいえ、もう一回分収録しているわけだし、人気が出れば毎週の編成に加わる可能性もある。今後の展開が興味津々だ。


さて、その「アイアン・シェフ」、鹿賀丈史がやっていたMC役をアメリカ版でやっているのは、「スタートレック」のカーク船長でお馴染みのウィリアム・シャトナーである。「料理の鉄人」では鹿賀の職名は確か美食アカデミー主宰となっていたと思うが、「アイアン・シェフ」でのシャトナーはチェアマン (会長) ということになっている。鹿賀ほど派手じゃないが、それでも結構目立つ衣装を着ている。それよりも何よりも最大の違いは、「料理の鉄人」でフレンチ、イタリアン、チャイニーズ、ジャパニーズと分かれていたアイアン・シェフが、「アイアン・シェフ」ではフレンチ、イタリアン、エイジアン、アメリカンの4人になっていることだ。


フレンチとイタリアンはともかく、アイアン・シェフ・エイジアンは和風も中華も担当するんだろう。それよりもアイアン・シェフ・アメリカンって、いったい何だ? アメリカ料理というのがこの世に存在したのか。知らなかった。初耳だぞ。もしかしてそれってマクドナルドとかケンタッキー・フライド・チキンとかホット・ドッグのことか? あるいはハーシーズとかM&Mとかリグリーズのチューインガムは確かにアメリカを代表する食品と言えないことはないだろうが、アメリカ料理とは言えまい。アメリカで作るからにはアイアン・シェフ・アメリカンを捏造しなければならなかったのはよくわかるが、しかし、アメリカ人ですらアメリカ料理と言われても何を指しているのかよくわからないだろう。


番組では挑戦者のケリー・サイモンが相手に指名するのがそのアイアン・シェフ・アメリカンのトッド・イングリッシュで、はは、ま、当然そうなるだろうとは思ったよ。しかし、その挑戦者もなかなかの曲者で、ロックン・ロール・シェフとか呼ばれている長髪のシェフで、オートバイに乗って会場入りするのだ。別に長髪であること自体はどうでもいいのだが、おまえ、やはり調理する時は帽子を被るなり束ねるなりしろよ。気になるだろ。因みに気になる第1回目の食材は、ダンジネス・クラブだった。


キッチン・スタジアムもさすがアメリカといった感じでスケール・アップされており、ヴェガスのMGMグランドの中に設置された特設アリーナは、「料理の鉄人」のそれの何倍もの大きさがあり、観客席が設置されている。1,000人はいないかも知れないが、少なくとも数百人の観客が、ショウが始まる前から歓声で盛り上げる。「料理の鉄人」では勝負する二人はお互いに背中合わせで相手が何を料理しているかはわからなかったと思うが、「アイアン・シェフ」では真正面とは言わないまでも斜向かいとなって相手を視界にしっかりととらえながら料理することになり、時々相手の様子を窺いながらガンをつけたりしている。


調理中のシェフに話を訊いてしまうのもアメリカ版らしい。シェフもそれにちゃんと答えている。解説席からシェフに呼びかけると、シェフがそれに答えて料理途中のディッシュを解説席までわざわざ運んだりする。調理後のディッシュの採点も細分化されており、テイスト50%、オリジナリティ25%、プレゼンテイション25%で採点され、総合点の高い者が勝ちとなる。プレゼンテイションも勝負を決める大きな要素のうちだから、イングリッシュはなんとでき上がったディッシュに花火を立ててショウ・アップしていた。これって一応料理番組だよな。


解説の仕方は、まるでアメリカン・フットボール中継の解説と同じである。TV画面上でこのプレイヤーがこう動き、そうするとこのプレイヤーはこう動いて‥‥と画面上に印を入れて動きを解説するプレイ・バイ・プレイというフットボール中継ではお馴染みの方法をそのまま「アイアン・シェフ」でも取り入れ、シェフがいったいどういう動きをして食材を準備しているかを解説する。つまり、「アイアン・シェフ」のノリはスポーツに近く、私が受けた感触としては、観客サーヴィスが第一のプロレスという感じが濃厚にした。「料理の鉄人」ではシェフを手伝うヘルプの人たちは完全に黒子という感じで縁の下の力持ちに徹していたが、「アイアン・シェフ」ではシェフとヘルプの人たちはお互いにこぶしを合わせてやる気を確認しあう。これはもう完全にチーム・スポーツだ。


実は「アイアン・シェフUSA」が放送されたのは、金曜夜9時からだった。その後10時からは、フード・チャンネルで吹き替え版の「料理の鉄人」が放送されている。私は「アイアン・シェフ」で満腹したので、腹ごなしのような気分でオリジナルの「料理の鉄人」を見てみた。いや、これって、基本的に同じ番組にはまったく見えない。「料理の鉄人」は演出されているとはいえ、やはりまだ料理番組と言えるが、「アイアン・シェフ」は、あれはエンタテインメント番組である。「料理の鉄人」は、見ると少なからず勉強になるところがあり、自分も後で何か作ってみようかな、という気にさせられるが、「アイアン・シェフ」ではそういう風にはならない。見た後は、ああ面白かった、で終わりである。


だいたい実際にシェフが料理をしているシーンの撮影なんてあまり見せてくれなかった。それよりもその回りのショウ・アップされているところを撮影するのに忙しく、そのくせあと数分というカウント・ダウンに入ったら、今度はやたらと引き延ばす引き延ばす。最後の1分ってとこから2、3分くらい続いたような気がする。試食の方も判定を下す全員が全員二線級の役者かコメディアンで、「料理の鉄人」に必ず一人はいた美食家や料理評論家のような、その道の通がいない。おかげでコメントにも説得力がなく、なんか、信用する気になれない。


「東京ぺログリ日記」では田中康夫が「料理の鉄人」のことを罵倒していたが、「アイアン・シェフ」の方も本家に劣らず既に結構非難されている。まず本家に同じくアイアン・シェフの人選の根拠がはっきりしないことが一つ。この点については、私はそれほど食通でもなく、業界の知識もあまりないので何とも言えない。しかし、「アイアン・シェフ」の撮影で、調理の終わったディッシュを判定者に試食してもらう前に、技術的問題からカメラが近くに寄れず、でき上がった料理をほっといたまま1時間近く待たせたという話を聞いた時は、さもありなんと思った。やはりねえ、でき上がった料理をその場ですぐ食さないのでは、公平な判定なぞ望むべくもないよ。


あ、最後に。栄えある第1回目の対決は、花火でディッシュをショウ・アップして観客のみならず判定者の気をも引くことに成功したイングリッシュが、大差で挑戦者のサイモンを下した。見てた感じじゃ、味よりも演出の仕方で勝ったって印象の方が強かったなあ。







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Iron Chef USA: Showdown in Las Vegas

アイアン・シェフUSA: ショウダウン・イン・ラスヴェガス   ★★1/2

 
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