Intervention    インターヴェンション (インターベンション)

放送局: A&E

プレミア放送日: 3/6/2005 (Sun)

製作: GRBエンタテインメント、A&E

製作総指揮: コリーン・コンウェイ、ロバート・シェアナウ、ダン・パートランド、サム・メトラー、マイケル・ブラントン、ゲアリ・ベンツ


Addicted    アディクティド

放送局: TLC

プレミア放送日: 3/17/2010 (Wed) 22:00-23:00

製作: アサイラム・エンタテインメント

製作総指揮: ジョナサン・コッチ、スティーヴン・マイケルズ


内容: ドラッグやアルコールに中毒した者をとらえ、矯正させようとするドキュメンタリー/リアリティ・ショウ2本。


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こないだTLCはA&Eの「ホーダーズ (Hoarders)」の真似をして「ホーディング (Hoarding)」というほぼ同じに見える番組の製作放送を始めたことについて書いたが、実はTLCがA&Eを真似た番組を始めたのはそれだけではない。それだけでなく、TLCはほとんど同時期に、A&Eが2005年から放送している「インターヴェンション」を真似た番組、「アディクティド」の放送も開始した。


「インターヴェンション」は、ドラッグやアルコール等に依存、中毒している者に介入 (インターヴェント) して矯正の手助けをするという番組だ。近年、物事に仲介して手助けをするという意味で「インターヴェント」、「インターヴェンション」という単語を頻繁に耳にするようになったが、これはひとえに番組の知名度がものを言っている。昨年はついにエミー賞のリアリティ・ショウ部門を制するなど、近年とみに注目されている番組だ。TLCはそこに目をつけた。


一方「ホーダーズ」と「ホーディング」の場合は、放送開始時期は半年程度しか離れてなく、ここ数年で急激に注目を集めるようになった話題ということもあり、似たような番組があちこちで散見された。そのため、同系統の番組の企画製作を進めたのは偶然と言えないこともなかった。


しかし「アディクティド」が手本にしている「インターヴェンション」は、既に5年前から放送が始まっている。その番組と同様の番組を製作したら、盗作、物真似と言われてもしょうがない。そこでTLCがとった方便は、差異化を図るために「アディクティド」に「インターヴェンション」にはないホストを据えたことにある。


元々A&Eの「インターヴェンション」と「ホーダーズ」は、問題を持つ人々に密着するリアリティ/ドキュメンタリーという同じ一連の流れの上で製作された。そのため、番組進行上の体裁はほとんど同じだ。最初にその回にフィーチャーされる人物が現れ、その人物に密着することで問題を浮かび上がらせる。要所要所には一枚の字幕テロップが入り、ポイントを述べる。番組後半は両番組共インターヴェンショニスト、もしくはカウンセラーが登場し、一緒になって問題解決を図る。うまく行く時もあるし行かない時もある。「ホーディング」は、テロップの代わりにナレーションが入るという点が大きく異なるが、正直言ってそれ以外は進行は「ホーダーズ」とまったく一緒だ。


「アディクティド」の場合は、今さら同様の番組を製作してしまうと盗用の謗りを免れ得ない。そこで番組ホスト兼インターヴェンショニストのクリスティーナ・ワンジラクを番組の冒頭から投入、彼女に番組の進行も受け持たせることで、差異化を図っている。そのため、今回の「ホーダーズ」-「ホーディング」、「インターヴェンション」-「アディクティド」という一連の流れの中で、ワンジラクという同じ顔が毎回番組内に登場する「アディクティド」だけが、番組構成の上では異彩を放っている。


ワンジラクは番組冒頭でも述べる通り、自身がアルコール/ドラッグ・アディクトだった。13歳でアルコール、15歳でメス (Meth) に手を出し、18歳の時についに親から見捨てられる。ホームレスになり、身体を売ってドラッグを買う金を手にし、シェルターでほとんど臨死体験をした後、ようやく21歳の時に立ち直る。以来、様々な中毒患者の手助けをしてきたという経歴の持ち主だ。


とはいえ結局、これも「ホーダーズ」-「ホーディング」同様、多少の便宜上の番組構成はさほど問題ではなく、番組が面白いか面白くないかは、ひとえに登場する人物如何にかかっている。ホストがいたから内容がより深くなったり面白くなったりするものではないのだ。


むろん「インターヴェンション」と「アディクティド」では、少なくともホストが前面に出てくるか出てこないかによる視覚的な差異は、明らかにある。「インターヴェンション」に先に馴染んでしまった視聴者にとっては、「アディクティド」のワンジラクを多少煩いと感じる者もいると思われる。私の場合は、彼女の存在が逆に番組の流れを止めてしまうという逆効果を感じた。もっとも、「インターヴェンション」を知らない者が見たら、特に違和感を感じるというものでもなかろうというくらいの、ほんの些細なものでしかない。最終的には、何度も言うようだがやはり番組に登場してくる人物如何だろう。


例えば「インターヴェンション」に登場するアリソンは、子供の頃の性的な虐待と両親の離婚がきっかけで薬物に中毒するようになった。彼女がアディクトしているのは、精密機器の埃を飛ばすエア・ダスターと呼ばれる缶入りのスプレーだ。つまり、その溶剤として用いられているトルエン中毒だ。昔のシンナーと一緒だ。その缶スプレーの噴き出し口を口に含み、しゅっとやってとろんとする。即効性があるが、その効果が持続するのは数分間だけでしかないという。そのためアリソンは、家族の者が言うには一日中缶スプレーを手から離さない。


アリソンは一見すると現在HBOの「トゥルー・ブラッド (True Blood)」に主演しているアナ・パクインにそっくりだ。ついでに言うと彼女の妹もパクインに似ている。つまり、それなりに目鼻立ちのくっきりした印象的な顔立ちをしている。その彼女がほとんど変装してコンピュータ・ショップにエア・ダスターを買いに行き、この瞬間が最も昂揚すると述べる。


最終的にアリソンは警察官の手によって暴れるのを取り押さえられ、手錠をされて強制的に病院に連れて行かれ、その後リハビリ・センター行きが決定する。2か月後、次に我々の目の前に登場したアリソンは、黒髪をブロンドに染めて垂らしている。変わろうという意志の表れだろう。リハビリ開始以来、薬物には手を出していないというが、今後のことは誰にもわからない。


「アディクティド」に登場したクレアは、今二十歳前後だろうが、10代前半でマリファナ、コカイン、14歳でメスと、10代半ばで既に立派なアディクトのでき上がりだ。妹のところに居候しているが、特に歓迎しているようでもない。部屋の中でクスリなんかされるのは、それは誰だって嫌だろう。彼女も自分の身体を売ってクスリを手に入れる金を得ている。結局クレアはワンジラクと共に90日間のトリートメントを行い、その後施設のようなところに引っ越す。これまた結局、彼女がその後もしらふでいられるかどうかは本人次第としか言いようがない。


「インターヴェンション」は既に5年という歴史があることもあり、番組に登場した人物のその後を追うフォロー・アップ・エピソードも何人分か放送されている。興味深いのは確かで、そういえばあの子はその後どうなったんだろうと思わせられる。始まったばかりの「アディクティド」の場合は、さすがにまだそういうわけにはいかない。


「ホーダーズ」と「ホーディング」では、ほとんど横一線で始まったこともあってどっちがいいとも言えなかったりしたが、「インターヴェンション」と「アディクティド」では、これまでに蓄積してきたものの差で、現時点では明らかに「インターヴェンション」の方に分があるものと思われる。むろん今後のことはわからない。案外とホストがいる方が、番組にとっつきやすいということにならないとも限らない。しかしTLC、次はいったいどの番組を真似するつもりか。A&Eには、他に様々な強迫神経症を持つ人々に密着する「オブセスト (Obsessed)」なる番組もある。これあたりなんか可能性高そうだ。「スティーヴン・セガール・ロウマン (Steven Seagal Lawman)」のパクリはさすがにやりようがないと思われるが。








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Intervention          

インターヴェンション   ★★★

Addicted        

アディクティド   ★★1/2

 
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