PGAツアーで唯一モディファイド・ステイブルフォード・スコアリング・システム (バーディは2点、イーグルは5点、ダブル・イーグルは8点を加算、パーは0点で、ボギーは-1点、ダブル・ボギー以下はすべて-3点) を採用しているジ・インターナショナル、3日目終了時点で首位はクレイグ・バーロウで28ポイント、次いでスティーヴ・ロワリー27ポイント、マーク・ブルックス26ポイント、リッチ・ビーン25ポイントと続く。


最終日、TVを点けてみると全英優勝のアーニー・エルスや最近姿を見ないグレッグ・ノーマンが首位に絡んでおり、こいつはトーナメントを面白くしてくれるかと思っていたら、二人共ダブル・ボギーを叩くなどして沈んでいく。結局、スコアを伸ばしているのはビーンだけで、彼だけが30点台のポイントを稼ぎ、その他のゴルファーは全員20点台のポイント、その差も縮まるどころか広がっていくだけで、わりと大味なまま終わってしまうかと思われた。


それを面白くしたのはロワリーで、彼も一時は集団の中で四苦八苦していたのだが、まず、14番パー5で、第3打で池に落ちたが頭は見えているボールをひっぱたき、グリーン・フリンジに乗せ、バーディ・パットを決めてギャラリーを沸かせる。続く15番パー4では、バック・スピンのかかった第2打が直接カップ・インし、イーグル、14番、15番と合わせていきなり7点を加算して36点となり、その時16番を終わって39点のビーンに3点差と肉薄する。


しかし、ロワリーはアドレナリンが上がったか、16番パー3でカップを大きく行き過ぎてバック・ラフに入れてしまい、そこからのアップ&ダウンに失敗してボギー、マイナス1点で35点となり、ビーンと4点差となる。あのパー・パットは入ったと思ったんだけどなあ。カップに蹴られてしまった。一方、その直後にビーンは17番パー5でイーグルを決めてガッツ・ポーズ、これで5点を加算して44点、ロワリーとの差は9点となり、さすがに勝負あったか。


と思った直後にやってきたクライマックスは、ロワリーの17番パー5での第2打、ピンをデッドに狙ったショットは、1バウンド、2バウンドして転がり、吸い込まれるようにカップの中に消える。ダブル・イーグル!!!!!! ダブル・イーグルなんて、いつぞやのプレジデント・カップでカルロス・フランコが決めたのを見て以来、見るのは何年かぶりじゃないか。ロワリーはこれでプラス8点で、通算43点、ビーンとは一気に1点差となる。その時ビーンは18番のフェアウェイで第2打に入ろうとしているところ。17番でのギャラリーの大歓声を聞いてどう思ったか。しかし、いくらなんでもダブル・イーグルなんて夢にも思わなかったろう。最後の最後になって異様に盛り上がるパインズ・ロック、ビーンは逃げ切るか、それともロワリーが奇跡の逆転を見せるか??


ビーンは18番パー4をパーで上がるが、その時は既にリーダー・ボードでロワリーが1点差まで詰め寄っていることを知っている。ゴルファーがコース上では余裕でプレイしていたのに、コース・アウトしてから顔が緊張で引き締まってくる、なんてシーンは滅多に見れるもんじゃない。ロワリーは18番で第2打をピン左10フィートにつけ、バーディならプラス2点で、これ以上劇的な展開はあり得ない逆転サヨナラ優勝だ。慎重に右曲がりのラインを読むロワリー、しかし、そのパットはカップの上1インチで止まり、追撃もここまで、1点差でビーンの99年のケンパー・オープン以来のツアー通算2勝目が決まった。


いやあ、しかし面白かった。ゴルフ中継を見ながら、ああーっ、とか、うう、とか、おお、とか、こんだけ声を上げて見たのって、本当に久し振りだ。というか、初めてじゃないか。一昨年のペブル・ビーチ・プロ-アマで、タイガー・ウッズの奇跡の逆転勝ちを見た時も、あの時はウッズは最後のペアから大分早い時間にプレイを終えていたため、今回みたいな盛り上がり方はしなかった。ビーンは勝利を確信していたのに追い込まれ、一時は逆転負けを覚悟したところの薄氷の勝利で、向けられたマイクにも感極まって言葉が出なかった。いや、気持ちはよくわかる。今夜はビールがうまいだろう。







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インターナショナル

2002年8月1-4日   ★★★★

コロラド州キャッスル・ロック、キャッスル・パインズ・ゴルフ・クラブ

 
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