20年前に製作され、大ヒットしたSF「インデペンデンス・デイ」の続編「リサージェンス」が公開された。別に特に惹かれていたわけでもなく、評もいいというわけではないが、ま、インデペンデンス・デイだしお祭り気分だし、いいかと腰を上げる。

前回と今回の出演者で最大の違いが、主演の一人だったウィル・スミスが今回は出演していないことにある。逆に言うとスミス以外はほとんどまた出ており、なんとはなしに同窓会に出席しているみたいな気分になる。久し振りに会う旧友の一人一人に、おお、元気だったか、あんたも、お互い髪に白いものが増えたなと労いの言葉をかけたくなる。

とはいえ20年だ。元気な者もいればそうでない者もいる。ほぼ主演のゴールドブラムは元気に各地を動き回るが、一方で前作で主演級のホイットモア大統領を演じたビル・プルマンは足腰弱ってほぼ寝たきりだし、オークン博士に扮したブレント・スピナーに至っては、その後20年間昏睡状態に陥っていた。ウィル・スミスの演じたヒラーはその後事故死し、今では息子のディランが父の後を継いで成長しているという筋書きだ。なぜだか前回からあまり歳をとっているように見えないジャド・ハーシュの存在が、最もSFっぽいかもしれない。

一方今回新しく主演級で登場するのは、リアム・ヘムズワース、マイカ・モンロー、ジェシ・アッシャーといった面々。ヘムズワースは「ハンガー・ゲーム (The Hunger Games)」レギュラーであるだけでなく、兄のクリスは「マイティ・ソー (Thor)」を演じているなど、兄弟で地球の守護神となりつつある。その恋人パトリシアに扮するマイカ・モンローは、「イット・フォローズ (It Follows)」の記憶もまだ新しい。インディ・ホラーからハリウッド大作SFへ抜擢で、ギャラは一挙に100倍にはなったろう。ディランを演じるジェシ・アッシャーは、現在スターズのNBAを舞台とするスポーツ・コメディ・ドラマ「サヴァイヴァーズ・リモース (Survivor’s Remorse)」に主演中だ。

科学者の一人として登場するシャルロット・ゲンズブールは、どういう経緯でいかにもミス・マッチというあんたが出ているのかは知らないが、それでもやはり懐かしいという感じがするのが不思議。

相対するエイリアンもなぜだかあまり怖いという感じがしないのは、怖いエイリアンに滅ぼされて地球に警告を発しに来たという人類と同じ側に立つエイリアンがいたり、仲間が来たと騒ぎ出す囚われのエイリアンが人間と感応して昏睡状態の人間を目覚めさせたり、女王バチだか働きバチだかみたいに、エイリアンがエイリアンというよりも地球上の生物と似たような行動を見せるためだ。逆に敵というよりもシンパシーに近いものを感じさせてしまう。

結果として「リサージェンス」は、今度こその種の生き残りを賭けた人類とエイリアンとの最終決戦というよりも、かつての敵味方がまた相見える、スポーツのライヴァル同士の対戦みたいな印象の方が色濃く出てしまった。出てくる奴らに危機感があまり感じられないのは、やはりかつての戦友たちが、迫り来る敵よりも旧友との再会を先に祝しているからだろう。実際、20年振りに旧知の者と再会したら、まず何よりもお互いのそれまでの暮らし振りを訊くと思う。エイリアンの対応策はそれからだ。

そういう、なんだかのほほんとした再会祝賀ムードが全体を覆っているため、エイリアンが今度は人類殲滅を計画して攻めてきているというのに、なんだか危機感がないというか盛り上がらない。これは私一人がそうだったのではなく、こういうパニックSFをわりと静かに見ていた観客も、そういう風に感じていたと思う。普通、アメリカ人の観客はこの手の映画では歓声を上げたり拍手したりしながらノリノリで楽しむものだが、私が見た時は、わりと人は入っていたのに静かなもんで、いつの間にアメリカの客はこんなに行儀がよくなったのかと不思議に思ったくらいだ。

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20年前、人類はエイリアンに対してからくも勝利を収めたが、それでエイリアンが侵略を諦めたと思っていたわけではなかった。デイヴィッド (ジェフ・ゴールドブラム) はキャサリン(シャルロット・ゲンズブール) と共にアフリカに放置されていた宇宙船の残骸を調べ、なんらかの信号が宇宙に向かけ発信されていることを突き止め、近いうちにまたエイリアンの侵攻があることを確信する。一方、月面にもエイリアン侵攻に備え軍事基地が建設されており、エース・パイロットのジェイク (リアム・ヘムズワース) をはじめ多くの者が任務に就いていた。ジェイクは地球に戻ると、恋人でありファースト・ドーターでもあるパトリシア (マイカ・モンロー)、そしてライヴァルでありかつて地球を救った英雄ヒラーの息子ディラン (ジェシ・アッシャー) らと共に、エイリアンの侵略から地球を守る第一線に立つ。そしてついにエイリアンの大型母船が現れるが、デイヴィッドはそれに何か違和感を感じていた‥‥

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