How I Met Your Mother   ママと恋に落ちるまで (ハウ・アイ・メット・ユア・マザー)

放送局: CBS

プレミア放送日: 9/15/2005 (Mon)

最終回放送日: 3/31/2014 (Mon) 20:00-21:00

製作: ベイズ&トーマス・プロダクションズ

製作総指揮: カーター・ベイズ、クレイグ・トーマス、パメラ・フライマン

出演: ジョシュ・ラドナー (テッド・モズビー)、ジェイソン・シーゲル (マーシャル・エリクソン)、アリソン・ハニガン (リリィ・アルドリン)、ニール・パトリック・ハリス (バーニー・スティンソン)、コビー・スマルダーズ (ロビン・シェバツキ)、クリスティン・ミリオティ (トレイシー・マコネル/マザー)

ナレーション: ボブ・サゲット


物語: テッドは息子と娘に彼らのママとテッドが出会った時の話を物語って聞かせていた。テッドがまだ若く、駆け出しの建築家としてキャリアを積み始めた頃、マンハッタンのバーでいつも一緒につるんでいた仲間たちがいた。マーシャルとリリィのカップル、プレイボーイのバーニー、そして初恋の人ロビン‥‥


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How I Met Your Mother


ママと恋に落ちるまで  ★★1/2

実はこれまで特に「ママと恋に落ちるまで」を熱心に見ていたわけではない。9シーズンも続いているわけだから中堅どころのシットコムで、わりと熱心なファンもいるのも知っていた。しかしこの番組、途中から見るとなんかよくわからない。


「ママと恋に落ちるまで」は、2030年にある男が、ティーンエイジャーの娘と息子を前に、パパがどうやってママと巡り会ったかを語り始める、というのがそもそもの話の発端だ。それは彼らがニューヨークで社会人として働き始めた頃に遡る。そうやって若かった頃のパパとママの若い頃の不行状が顕わになっていく、というのが番組の基本構成だ。


それはそれとしてこの番組、まず番組タイトルから想像するに、話は主人公のテッドが将来の妻と巡り会った時点で終わるという気がする。オリジナルのタイトルもそうだが、邦題だとさらにそうだ。その相手はたぶんロビン、と思わせといてバーニーを絡めた三角関係になった挙げ句、ロビンはバーニーと結婚を決意する。そして傷心のテッドは‥‥?


番組がテッドが自分の子供たちに話しかけているという構造である以上、テッドがいつか誰かと関係を結ぶのは間違いないが、やはりそれはロビンではないのか、だったらそれはいったい誰なのか。第8シーズンの終わりに登場した黄色い傘の女性なのか‥‥という視聴者の予想や希望的観測を覆しつつ、基本的に最終第9シーズンは、ほとんどこのロビン-バーニーのウェディング・ネタで推移する。


ジョシュ・ラドナー演じるテッドは主人公のはずだが、癖のある脇に囲まれ、実は彼が最も印象に残らない (角度によってはジミー・ファロンに似ている。) 番組は毎回、彼が子どもたちに「子どもたち‥‥ (Kids....)」と言って話しかけるシーンから始まるのだが、その声をラドナー自身でなくなぜかボブ・サゲットが担当しているなど、なぜ別人が本人としてしゃべらないといけないのかもよくわからない。そして実際、たぶん多くの者が、登場人物の中ではプレイボーイのバーニー役のニール・パトリック・ハリスを最もよく記憶するのではと思う。そして実はそれも私にとってはクエスチョン・マークだ。


最初に見た時から、どうも彼はこの役にはミスキャストではという印象が拭えない。もちろん歌って踊れてコメディもできて、近年のトニー賞のホスティングを見てもわかるように頭の回転も早く喋りもうまいとなれば、貶す点はほとんど見つからないのだが、それでも単純に、ハリスはプレイボーイという風には私の目には見えなかったりする。同様にロビンを演じるコビー・スマルダーズにもなんとなく違和感を感じるのは、たぶん私の目にはスマルダーズは、「アベンジャーズ (The Avengers)」のエージェントとしての印象の方が強いからだろう。


一方、マーシャルを演じるジェイソン・シーゲルとリリィを演じるアリソン・ハニガンは、はまっていると思う。シーゲルはこれでブレイクして「ザ・マペッツ (The Muppets)」に主演したし、ハニガンも、「バッフィ 恋する十字架 (Buffy the Vampire Slayer)」から順調に成長したという印象を受ける。



(注) 以下、最終回の展開に触れています。


そんなこんなで番組は最終回を迎える。実はこれが意外な展開で、近年では最も喧々囂々の論議を醸したと言ってもいいだろう。結局ロビンとバーニーは結婚し、テッドは勇を振るって黄色い傘の女性トレイシー (「ウルフ・オブ・ウォールストリート (The Wolf of Wall Street)」でレオナルド・ディカプリオの最初の妻を演じたクリスティン・ミリオティだ) に声をかける。二人は結婚式を挙げないまま、子供たちが生まれる。しかし仕合わせな生活は長くは続かず、子どもたちがティーンエイジャーになるかならないかのうちにトレイシーは病没する。一方、ロビンとバーニーも別れてしまう。マーシャルは判事になり、かつての仲間たちは、時折顔を合わすことがあるとはいえ、今ではお互い別々の道を歩いていた。


そしてさらに時は経ち2030年、テッドはかくして自分はママに会ったんだよという話を子供たちに語り終える。しかし子どもたちは現代っ子だ。パパに言う。それで? 結局パパはロビンに首ったけという話だわけ? パパの話にママはほとんど出てこなかったじゃない。


まさしく、私が番組に感じた違和感もここにある。結局、9年間もかけていかにしてパパがママと出会ったかという話をしていたはずなのに、そのママは、最終回を除いてほとんど登場しないのだ。しかも最後の最後にやっと登場したと思ったら、時は進んであっという間に死んでしまう。 あるいは、ママと出会うまでの話であるわけだから、これでいいのか。しかし9年間も焦らしに焦らされた挙げ句、これだけとはなんか釈然としない。


それなのに子どもたちは言う。パパ、ママはもう6年前に死んでしまったんだよ、もうロビンを誘ってもいいんじゃない? そうか、そうなのかと、テッドはロビンのアパートに赴き、窓下から青いフレンチ・ホルンを振って、ロビンと再会して番組は終わる (このみっともない青いホルンには曰くがあるに違いないが、残念ながらその由来は知らない。)


いや、さすがに、たとえ6年前に死去しているとはいえ、裏の主人公の扱いがこれではあまりにも悲しすぎる。もちろんそう感じたのは私だけではなく、これじゃマザーがあんまり可哀想という意見が殺到した。むろんロビンを応援していた者もいたため、喧々囂々かくかくしかじか、私はそう思う、いやオレはそう思わないという論争に発展した。近年ではHBOの「ザ・ソプラノズ (The Sopranos)」の最終回もかくやという大きな話題になった。


トレイシー派もロビン派も共に一歩も引かないため、番組プロデューサーのカーター・ベイズは、DVD発売時には、異なるエンディングの最終回も収録すると約束した。しかしそれでは、では、いったいどちらが公式のエンディングと解釈すればいいのか。両方正統なのか。ファンがこちらが正しいと言った方が正式なのか。もやもやは晴れない。










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