House, M. D.    ドクター・ハウス

放送局: FOX

プレミア放送日: 11/16/2004 (Tue) 21:00-22:00

最終回放送日: 5/21/2012 (Mon) 21:00-22:00

製作: ショアZプロダクションズ、バッド・ハット・ハリー・プロダクションズ

製作総指揮: デイヴィッド・ショア、ブライアン・シンガー

出演: ヒュー・ローリー (グレゴリー・ハウス)、リサ・エデルスタイン (リサ・カディ)、ロバート・ショーン・レナード (ジェームス・ウィルソン)、オマー・エップス (エリック・フォアマン)、ジェニファー・モリソン (アリソン・キャメロン)、ジェシー・スペンサー (ロバート・チェイス)、オリヴィア・ワイルド (レミー・“サーティーン”・ハドリー)、ピーター・ジェイコブソン (クリス・タウブ)、カル・ペン (ローレンス・カトナー)


物語: カリーに振られた腹いせにカリーの家にクルマごと突っ込んだハウスは、更正施設に入れられ、やっとのことで仮釈放になって病院に戻る。ハウスはグリーン・カードを取得しようとするドミニカと結婚したことにし、移民局の目を欺こうとする。カリーに去られたハウスにとって、心を開ける人間はウィルソンただ一人だけだったが、そのウィルソンがガンを患っていることが判明する‥‥


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House, M. D.


ドクター・ハウス   ★★★

FOXの「ハウス」は、番組が始まった当初はよく見ていた。腕はいいけれども性格に欠陥のある医者とかのスペシャリストの話はこれまでにも掃いて捨てるほどあったが、「ハウス」は、傲岸独善的な主人公グレゴリー・ハウスのキャラクターと演じるヒュー・ローリーが絶妙にマッチして、かなり面白かった。


2004年から始まった「ハウス」の、そもそものプレミア・エピソードを今でも結構よく覚えているのは、やはりそういう主人公の造型が印象的だったからだろう。人を人とも思わない傲慢な奴でありながら、医者としての腕は一流であるため、なにかと問題を起こしながらも重宝され、的確に患者の症状を判断する。


特にプレミア・エピソードをよく覚えているのは、番組冒頭で登場したそのエピソードの主人公/患者が、その後CBSの人気ドラマ「ザ・メンタリスト (The Mentalist)」に準主演で登場するロビン・タニーであったことも大きい。「メンタリスト」を見た時、あ、こいつ、「ハウス」の第1回で授業中倒れた先生だ、と思い出したこともあって、記憶が焼き直されて頭の中に残った。因みにその第1回を演出したのは、「スーパーマン (Superman)」のブライアン・シンガーだ。


当初の「ハウス」は、まず冒頭でそのエピソードで扱われる患者が発症し、その理由をハウスを筆頭とするドクター・チームが突き止めていくという展開が多かった。どちらかというとミステリ、謎解きものの感覚に近く、私には特にそれが面白かった。かつてのNBCの「ミディアム (Medium)」もそうだったが、とにかく、見る者の興味を惹起するそのつかみが抜群だった。


しかし面白かった、抜群だった、と過去形になってしまうのは、そのハウスのキャラクターの幅をもっと広げようとして、逆に面白味が拡散してしまったからだ。端的に、ハウスがドラッグ・アディクトであること、および彼の上司に当たるカディとの恋愛模様を絡めたことが裏目に出た。最初の方こそハウスのキャラクターを深めて話ももっと面白くなるかなと思ったが、期待のように行かなかったことは、今では明らかだ。


なんとなれば、最終的に視聴者が見たいのは、やはり快刀乱麻の如く病状や謎を整理して正確な診断を下すハウスなのであって、女に振られて突発的破壊行動に走る -- というのは、まあ面白くないわけではないが、しかし、めそめそしたり自虐的になり過ぎると、見ている方としてはいい加減にしてくれないかなと思う。色恋の挟まる医療ドラマは、ABCの「グレイズ・アナトミー (Grey’s Anatomy)」だけでげっぷが出るほど充分だ。「ハウス」が真似る必要はさらさらない。


特にできがよかったというよりも、個人的に印象に残っているのが、医療スタッフの一人を演じていたカル・ペンがいきなり自殺してしまったという第5シーズンのエピソード、および精神病棟に入れられてしまったハウスを描く第6シーズンのプレミア・エピソード等だ。実はその頃には「ハウス」のピークはもう過ぎていたという感じがするが、特に後者は、久しぶりに「ボーン」シリーズのフランカ・ポテンテが見れたことが嬉しかった。


ペンはちょうどその頃にワシントンD.C.でホワイトハウス関係で働くという話が持ち上がったために、いきなり番組を辞めることになった。しかしそれを自殺で辞めさせたというのが強烈。たぶんいきなり辞めると言われたために、プロデューサーが頭に来て、後で気が変わっても二度と番組に復帰できないように話を持ってったに違いない。昨年もプロデューサーと揉め、CBSの「ハーパー★ボーイズ (Two and a Half Men)」をクビになったチャーリー・シーンが、その後のエピソードで鉄道事故で死んだという設定にしてあった。プロデューサーを怒らせると後が怖い。


最初の7シーズンのレギュラーだったジェニファー・モリソンは、今ではABCの「ワンス・アポン・ア・タイム (Once Upon a Time)」の主人公だ。彼女に代わってレギュラーに収まったという感のあるオリヴィア・ワイルドは、現在ハリウッドで引く手数多という印象があり、「タイム (In Time)」等、出演作も多い。ポール・ハギス製作の「ザ・ブラック・ドネリーズ (The Black Donnellys)」以来目をつけていたので、これだけ活躍すると、やっぱりという気がする。



(注: 以下、最終回の展開に触れてます。)


そんなこんなでカディもいなくなった最終シーズンは、ハウスのたった一人の友人と呼べるウィルソンがガンを患ってほとんど治癒不能ということが判明、動揺するハウスを中心に展開する。ウィルソンがガンというのは早い段階から判明していたので、最終回は、たぶんそのウィルソンの死を中心に描かれるのだろうと巷では囁かれていた。


ハウスとウィルソンはオートバイに乗ってのタンデム旅行を計画するが、自分の都合のいいようにカルテを捏造し、病院に物理的ダメージを負わせたハウスは、まだ仮釈放中の身であったため、更正施設に逆戻りを余儀なくされる。今度は半年間は出られず、それでは余命数か月と診断されていたウィルソンに間に合わない。それでハウスは、今度は自分の死を演出し、死んだことにしてウィルソンと二人してバイクに乗って旅に出る、というところで幕になる。


結局ウィルソンは、奇跡が起きて治癒するのでもなく、死んだわけでもなかった。とはいえやがてウィルソンが死ぬのは間違いないが、それでも最後は二人して旅に出かけることで、ヘンに暗くじめじめした感じはなく、からっと前向きな印象で締めくくっており、この終わり方はなかなか悪くないと思わせた。


ところで、番組最終回に合わせて、FOXは直前の1時間を割いて、「ハウス」総集編みたいな特集を組んだ。それが実はあまり誉められたものではなく、ヘンに浮き足立って収拾がつかないという感じで、総集編というよりは手前味噌の内輪受けという風にしか見えない。だから、こんな感じで自画自賛するようなことをするから番組も面白くなくなってしまったんじゃないのか。あんまり視聴者の役に立ってないぞと思ってしまった。









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