ホンダ・クラシック

2007年3月1日-3月5日   ★★★1/2

フロリダ州パーム・ビーチ・ガーデンス、PGAナショナル、ザ・チャンピオン・コース

台形グリーンのミラソルに代わって今年からホンダ・クラシックの舞台に選ばれたのは、PGAナショナル、ザ・チャンピオン・コース。ミラソルのこぼれるグリーンというのも勝負を面白くして私は結構好きだったのだが、歴史のあるチャンピオンは、特にジャック・ニクラウスがリデザインした水の絡む15番パー3、16番パー4、17番パー3の「ベア・トラップ」が見物。実際、ちょっとでも風が吹くとかなり難しいようで、特に15番と17番のパー3ホールでは、面白いくらい池ポチャが連発していた。

そのためスコアの方は伸びず、3日目を終わって首位は、6アンダーのマーク・ウィルソン。5アンダーでブー・ウィークリー、4アンダーでダニエル・チョプラ、3アンダーでスティーヴ・ストリッカーとチャーリー・ウィ、2アンダーでロバート・アレンビーが続く。

最終日はウィルソン、ウィークリーに、最終日伸びてきたアレンビー、カミーロ・ヴィジェイガス、ホゼ・コゼレスが絡むという展開。この中ではまずベア・トラップに捕まったアレンビーがまず脱落するが、あとの4人は踏ん張る。ウィルソンは16番で50フィートのパー・パットを沈め、ヴィジェイガスも18番で難しいラフに埋まった第3打をきちりとピンそばに寄せ、パー・セイヴを拾う。その中でただ一人17番でバーディを奪って単独トップに立ったウィークリーが勝つ可能性は高かったが、ウィークリーは最後の最後の18番パー5でこれを決めたら優勝という3フィートのパー・パットを外す。しかも返しのボギー・パットは4フィートとこれまた外し頃だったが、ウィークリーは今度はこれを沈め、勝負は5アンダーのヴィジェイガス、コゼレス、ウィルソン、それにウィークリーの4人でのプレイオフとなった。

18番でのプレイオフは、かすかでもバーディ・チャンスのあったのはコゼレスだけだったが、コゼレスがこれを外し、全員パーで上がったところで日没のため勝負は翌朝に持ち越しになった。

翌朝8時半のプレイオフ2ホール目は、10番500ヤード、パー4。ウィークリーはティ・ショットを深いラフに入れてしまい、3オン後のパー・パットを外し、まず一人脱落。コゼレスは第2打がグリーン手前バンカーに捕まるが、そこからのアップ&ダウンを決めてパー。ヴィジェイガスは第2打を引っかけて左奥ラフへ。タイガー・ウッズばりのフロップ・ショットはピンそば3フィートにつけるもパー・パットを外してもう一人脱落。たった一人バーディ・チャンスのあったウィルソンとコゼレスの二人がパーで、勝負は17番パー3へ。

コゼレスが6フィート、ウィルソンが8フィートと二人ともバーディ圏内につけ、まずウィルソンがバーディ・パットを決める。続くコゼレスのパットがカップ右に弾かれた時点で、ウィルソンのツアー初優勝が決まった。ウィルソンは最終日の後半、戦線から脱落しそうになった瞬間が何度もあったが、その度にクラッチ・パットを決めて首の皮一枚で繋がり続けての根性勝ち。レギュレイションの16番でのロング・パットもすごかったが、プレイオフ最初の18番ではティ・ショットをほとんど池に打ち込み、第2打はフェアウェイに出すだけだったところからまた30フィートのパー・パットを沈めて生き残った。

一方、9分9厘勝ったと思ったところから勝利をとりこぼしたウィークリーと、同様にプレイオフ最初のホールで優勝パットのチャンス、および最後のホールでもウィルソンに並ぶチャンスのあったコゼレスもさぞや落胆だったろう。特にウィークリーは、レギュレイションの最後の3フィートのパットを外した瞬間、まるっきり別人みたいな憔悴した顔になって、傍目からでもショックがでかかったのがありありだった。勝負は終わるまでわからない。



 
 
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